表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/374

#2 言葉は通じずとも

「うわああああああ、分からん!!!!」


 翠は椅子からのけぞって作業を投げた。目の前の銀髪少女は驚いていたが、そんなことは知る由もない。

 数時間ぶっ続けで、頻度解析と、それに沿って音韻を当ててをやっていたが、意味不明な文字列しか出てこないのである。少女はその間、翠にお茶(この異世界にもお茶があるのか、やっぱり都合が良いように出来ているらしい)を出していたり、翠を眺めていたが決して焦ったり、翠を追い出そうとするような行動に出ることはなかった。

 だからこそ、作業に集中できていたのだが、


「ははぁ…………。」


 さっぱりである。

 文字はどうやら40数種ほどあるらしく、そのうちのアルファベットのuっぽい字形が一番出て来る回数が多かった。これに日本語の仮名だと仮定して「い」を当てはめたり、ローマ字の「a」を当てはめても、全くお目当ての日本語訳が出てこない。

 これだけ時間を掛けても出てこないのであれば、やっている場合ではないのではないかと翠は思い始めた。

 少女はいつまでも翠を見つめ続けるが、人間は腹も減るし、寝場所を探さなくてはならない。それをここにするにしても、無言で寝食べするほど翠の人間性は腐っていないのである。


 しかし、最初のコミュニケーションをどうするかというのは割と問題である。


 少女を眺めると、目が合った。

 翡翠のように綺麗な青い目、地球では見られないような銀色に輝く美しい髪に目を奪われる。作品の世界ではいくらでも見てきたそれを実際に目の前にするとまた違った感情を抱くものである。


(さて、最初のコミュニケーションか)


 最初のコミュニケーションも有意義である必要がある。

 少女が今まで翠の頻度解析の作業を邪魔したりしていないところを見ると敵意は持っていないし、自分の作業を眺めているところを見ると興味を持っているまでに見える。

 言葉が通じつとも、言葉を通じさせることが出来る――というのは、昔関西に飛ばされたとある先輩が言っていた言葉であった。


「俺は八ヶ崎翠。やつがざき、せん。」


 自分の顔を人差し指で指して言う。

 次は少女を指して。


「君の名前は?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Xace fua co'd la vxorlnajten!
Co's fgirrg'i sulilo at alpileon veles la slaxers. Xace.
Fiteteselesal folx lecu isal nyey(小説家になろう 勝手にランキング)'l tysne!
cont_access.php?citi_cont_id=499590840&size=88
― 新着の感想 ―
[良い点] どうやら本当に安全な、相手のようだ。(状況は不明) [気になる点] ろくな挨拶もなしに勝手に他人の本を読み始めて、突然大声出すとか私よりひどいぞ。 [一言] ……いや、相手がアメリカ人でも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ