#153 色と言葉と国歌の歌詞と
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1. 4.
Viojassasti! shrlo is zantanascheu.
Farviles stoxiet farvil'i no'ceu.
Viojssasti! fe ydicel la lex.
Fqa es luarta elmo da.
Snerien ladirccosti! Verxen nyrtatasti!
Sysnulustan es klantez co'd axelixfantil.
Lecu text bli'erchavil faller siburl'd snenik.
Ispienermedarneust shrlo da enomionas!
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シャリヤが開いた本の中には先程歌われていた歌詞らしきものがあった。次のページには2. 3.と歌詞が続いている。1. 4.と書かれているということはまず最初にこの歌詞を歌ってから二・三番を歌って、また最初に戻ってくるという形式が正式なのだろう。今見てみるとよく分からない単語ばかりであるが、ある程度構造は分かる文章もある。少なくとも最初に歌を聞いたときよりかは、分かりやすくなっているはずだ。
"Fal panqa, harmie co firlex niv faller acirlo'd kraxaiun?"
シャリヤは一・四番の歌詞を指さした。翠は答えるようにノートにわからない単語を書き連ねていった。
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zantanascheu
farviles - farvil
stoxiet
-'ceu
fe
ydicel
luarta
da
snerien
ladircco
verxen
nyrtat
-stan
klantez
axelixfantil
bli'erchavil
siburl
ispienermedarneust
enomionas
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書き出してみると分らない単語は意外に多い。シャリヤも悩みながらも、ノートに書かれたいくつかの単語の横に絵を描いていた。"farvil"からリパライン語風の先端の片方が欠けた矢印が引かれ、その先には風になびく旗が書かれた。"farvil"に"-es"が付いた"farviles"は国歌に使われるような動詞とすれば「旗を掲げる」のような意味だろう。わざわざ動詞語尾が付いているということは"farvil"自体は名詞なのだろうか。
つづいてシャリヤは"nyrtat"から矢印を引いて、その先に柵で囲まれた、菜園のような場所が書かれた。多分"nyrtat"は「庭」という意味なのだろう。歌詞の中では"-sti"が付いていて、子音が連続するから緩衝母音の"-a-"が挿入されているらしい。
シャリヤは自分の手持ちの筆箱から何本か色鉛筆を取り出していた。学校で使うことがあるのだろうか、結構多い種類の色鉛筆であった。"stoxiet"の横に青色の四角を描く。その横にもどんどん色名が書かれていく。"stoxiet" 青色、"ralde" 赤色、"pevust" 黄色、"deln" 黒、"forla" 灰色、"kosnust" 白、"altiu" 桃色、"cpatirt" クリーム色、"nelen" 茶色、"lespli" 深緑、"varn" 水色、"estvarn" 水色より白に近い青、"syduj" 紫、"tamdejix" ごく暗い青緑……。
描いているシャリヤは楽しそうだったが次から次へと色の名前が書かれていくのを見ていると混乱しそうだった。シャリヤも固まっている翠に気づいたのか、色鉛筆を置いて、他の単語の説明のために矢印をまた引いた。
今度の単語は"snerien"だった。可愛らしい笑顔のマークが矢印の先に書かれる。歌詞の中では"Snerien ladirccosti!"というように名詞に付いているので、動詞の命令か形容詞という辺だろう。つまり、「笑顔の」か「笑顔になる」だ。
"Axelixfantil es liestu zu laozia icco mal blir'erchavil es liestu zelx liaxu fhasfa mol vynut iulo."
"Hmm."
"axelixfantil"は「建国の時」、"bli'erchavil"は「幸運の時」とでも訳されるのだろうか。
そういえば、歌詞では" bli'erchavil"といっていたが、シャリヤは"blir'erchavil"と言った。きっとどちらでも許容される発音になっているのだろう。単語の理解とはあまり関係ないが、興味深い。
"Fqassa'd et'it plasio es sniertij ja......"
残った13の形態素を見ながら、難しそうな顔をしてシャリヤは呟いた。きっと残った単語たちは抽象的な概念だから難しいのだろう。特に"-'ceu"や"-stan"のような接辞は、機能語的であるほどその言語で外国人学習者に教えようとするのが難しくなるのは当然だ。日本語の機能語の言語学的な話を日本語でJLPT-N5レベルの外国人学習者にダラダラと喋っても無駄であろう。
"Pa, mi anfi'erlenon kanti la lexess gelx edixa mi lkurf xale la lex."
シャリヤは翠がテーブルに置いていた辞書をひったくるように取ってバラバラとめくり始めた。最初に文字列で目星をつけて辞書を引く方法よりも非効率な検索方法だ。しかし、そんな探し方もシャリヤっぽいというか、ともかくこういう何処か抜けているところに人間は惹かれるのだろう。
そんなことをふと思いながらも、翠はシャリヤの辞書を一生懸命引く様子をしばらく眺めることになった。




