表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
没2  作者: 零眼のメルト
29/36

追跡

時間は遡り、ねい達がトロスパート捕獲作戦に出発した頃に戻る。

「それじゃあトロスパート捕獲作戦行ってきます。」

「行ってらっしゃい。頑張ってね。」

ねいさん、ゲインスさん、ケイ君が出発した。

「それじゃあ、私達も頑張ろうか。」

「まだあの任務は終わっていないからな。」

「ベヒタス、奴を捕まえることがこの任務だからね。」

私達は取調室に向かった。ベヒタス率いる破壊暴力団のメンバーが拘束、取り調べを受けている。今まで盗んだものや余罪について聴取しているが、未だに答えることは無い。ベヒタスの居場所を聞いても皆口々に逃げ出した、見捨てたと言っている。

「こんにちは、知夏さんに吾大さん、そして海汰さん。」

取調室にいる世界中心機関の役員が挨拶をした。私たち3人は礼をした。

「ベヒタスの居場所について何か分かりましたか。」

「いいえ、何も分かっておりません。しかし、恐らく側近であろう者からはまだ時間の関係上取り調べが出来ていなくて…」

「もしかしたらそこから情報が聞き出せるかもしれないわね。私が取り調べを行うわ。」

吾大と海汰が少し不安そうな顔をした。

「知夏、あまり感情的になるなよ。」

「あまり詰め寄りすぎるとかえって情報が聞き出せなくなっちゃうからね。」

「吾大も海汰も心配し過ぎ。私だって抑える時は抑えるって」

取調室の役員の方が微笑んでいた。少し恥ずかしかった。

「それではこちらへどうぞ。この中に今回の取り調べの対象がいます。破壊暴力団の幹部であるが故にかなり攻撃的で手錠や椅子への括りつけが行われてますが、それでも多少危険が残るため、吾大さんと海汰さんに同行してもらえませんか。」

「ああ、大丈夫だ。」

「僕も構いませんよ。」

「それでは宜しくお願いします。」

取調室に私から入った。中には顔以外を拘束具で固定されている男性がいた。顔の南十字星の刺青が目立っている。私はその男の向かい側に座った。部屋の私から見て後ろの二つの隅に吾大と海汰が立っている。

「まず、名前と年齢を教えてください。」

「歳は21、名前はサザンクロスだ。」

なるほど、顔の刺青はそういう意味ね。

「本当の名前ですか?」

「これが今の本当の名前。昔の名は捨てた。」

「そうですか…では、あなたは暴力団に於いてどのような立場に当たりますか?」

「幹部の中でも最高峰に至る地位。謂わばNo.2だ。あの方に最も信頼され、あの方を最も信頼している。」

「あの方というのはベヒタスですか。」

男は顔を急にあげた。その表情は怒りに満ち、身を乗り出した。

「様をつけろ。失礼だ。」

その声はハスキーボイスだが怒りはハッキリと伝わった。男は元の姿勢に戻った。後ろにいた2人がホッとしたようにため息をついた。

「すみません。では、質問をします。その方がどこへ行ったか知りませんか。」

男はまたゆっくりと顔をあげた。しかし、さっきの様な怒りに満ちた表情ではなく、無表情で、但し期待の混じった様な目だった。

「あの方を探しているのか。」

「ええ、もちろん。何か知っているの?」

「…あの方は攫われた。」

私は驚いた。恐らくその声を聞いた人は皆驚いただろう。

「私はあの方が攫われるのをこの目で見た。2人の人物が大きな袋をもち、ステルスドローンに乗り、逃げるところを。」

「その事が起こる前の状況を聞かせてくれませんか?」

男は少し思い出しているように目を瞑った。

「確か、廊下を歩いていた時、戦いに出てるはずの下級兵にあった。引き止め、事情を聞くとお前が侵入してきたと報告を受けた。」

「私がですか?」

「そうだ。その後奴らを通した。そして5分後位に連絡が入った。敵の投げた槍が障壁を突破した可能性があると。」

私は後ろにいる2人と目を合わせた。

「恐らく、私が壁の中に侵入したのはその槍が投げられたあとよ。」

男は驚愕の表情を見せた。

「あの2人は嘘をついてあの方に近づいたってことだな。俺としたことが…」

「何かその人物について心当たりはありますか?」

「奴らは死神だろう。しかも熟練の。死神がわざわざ自らの正体を知らせるわけがない。俺は知らない。」

少しの沈黙が続く。すると男は何か気づいたように目を見開いた。

「あった、アレだ。」

「何?」

「あの方はアイツに恨まれていた。事前に知らせていたのにあの貴族もどきがさっさと娘を退けなかったのが悪いのにな。きっとアイツが死神を雇って送り付けたに違いない。」

「その『アイツ』って言うのは誰?」

「よく聞いてくれ。そいつの名はタタリ=キベネス。」

「タタリ=キベネス…あの大資産家の!?そうと分かったら1度取り調べは終了よ。スグに捜索をするわ。」

私が椅子から立ち、部屋を出ようとした時、あの男が話しかけた。

「こんな頼み事をするのもオカシイが見つけてくれ、あの方を。」

「分かったわ。それはあなたにとっても私たちにとっても好都合だわ。情報ありがとう。」

ベヒタス捕獲作戦第2作戦への第1歩。果たして、事件は終わりを迎えるのか。次回へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ