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没2  作者: 零眼のメルト
28/36

決戦 トロスパート

「ゲインス、こっちは私に任せてケイ君と向かって。」

「了解だ、リーダー。」

ゲインスとケイは駆け出した。ケイはスナイパーライフルをリロードし、ゲインスもハンドガンに弾を込めている。出口から出ると皆同じ方向を見ている。その方向には子供だましの様な光景があった。トロスパートが3人いたのだ。

「怪盗トロスパート、今ここに舞い降りた。何度やっても無駄だということを思い知らせてやる。まあ、構ってもらえると盗む方も楽しいけどね。」

ゲンベルト国の警察も第2番隊も銃を構えたまま撃たない。2人が疑問に思っているとまた大声が聞こえた。

「この中で偽物は2人。間違った方を選べば全員ボカンだ。さあ、本物を撃ってみろ。」

怪盗トロスパートは高笑いした。ケイはスナイパーライフルで3人を1人ずつ見た。1人目、2人目…3人目……ケイは銃を下ろし指を指して言った。

「あれは三つともダミーだ!本物はもう逃げている!」

全員がハッとしたその刹那また、爆発。かろうじて負傷者はいなかったが、完全に見失った。

「いたぞ!!トロスパートがこっちにいたぞ!!」

大声のした方にゲンベルト国の警察がいた。彼が駆け出すと近くにいた人達は一斉にそちらへ向かって駆け出した。そして全員角を曲がった瞬間また、閃光に包まれた。ケイは吹き飛ばされたが、火傷や怪我はしなかった。

「ケイ、大丈夫か。」

「僕は大丈夫ですが、他の方達が…」

ゲインスが顔を上げるとそこには負傷した警察や第2番隊隊員がいた。

「ケイ、お前はヘリコプターに乗って上空から監視しな。頼めば乗せてくれるはずだ。」

「了解です。こちらも医者の助けを呼んだ方がいいですか?」

「暇があれば言ってくれると嬉しいが、とにかく急げ。」

ケイは頷き、駆け出した。ゲインスは負傷者の治療に当たるべく、道具を取り出した。その瞬間、手に持った包帯が消えて手に持っていたのはトイレットペーパーだった。

「こっちだよこっち。」

声が聞こえた方を見るとそこにはトロスパートがいた。その手にはさっきまでゲインスが持っていた包帯があった。

「厄介だな、その能力。普段ならハンドガンを構えるところだがな…」

「どっちみち君、悪人面してるけど医者なんでしょ。」

「そうだが。」

「じゃあこれ返してあげるよ。」

トロスパートは包帯を投げた。ゲインスは身構えた。しかし、何も起きなかった。きっと爆発でもされるのではと思った。してやられた、そう思いながら包帯をとり、治療に当たった。


───────────────────


『第2番隊、負傷者6名。トロスパートの爆発によるものです。』

『リーダー、ゲインスだ。治療に当たっている。まだ信じられないが、奴は二つの能力を持っている可能性が高い。気をつけろ。』

2人のリーダーはより焦った。

「すまない。リーダーである自分が不甲斐ないばかりに…」

「気にしないで、これからが本番よ。」

ビンセントの周りに冷気が漂った。

「館長には申し訳ないけど、私たちがやりやすい環境にさせて貰おう。」

ねいは天井を見た。1点に目が止まる。背中に背負ったエア・スケートボードで浮き、天井についているスプリンクラーに触って電撃を起こした。ざぁっという音と共に全てのスプリンクラーが作動した。

「これならあなたの冷気の能力で氷も起こせるし、万が一で私が電流を流すことも出来るわ。」

「ありがとう。あなたの発想にはいつも助けられているよ。」

ビンセントは床に溜まった水を凍らせて、2人はその上を滑っていった。


───────────────────


僕はヘリコプターで低空から監視をしていた。先程一瞬だけトロスパートがゲインスさんの近くにいた所は見えていた。外ではビンセントさんの指示に従い外で博物館の方に向いて待機をしている。ゲインスさんから連絡が来た。

『はい、ケイです。』

『ゲインスだ。実はトロスパートを最初に見つけて駆け出した勇敢なあの人がいないんだ。何処かで無理してるかもしれない。もし暇があって発見したら教えてくれ。』

『了解です。』

僕は双眼鏡をもち見渡した。最初に叫んで駆けていったあの人は僕もなかなか心に残っている。とりあえず探すことにした。跡形も無く消え去ったということは考えたくない。1列で博物館の窓や扉のある所を囲んでいるのでヘリコプターの運転手の方に沿って飛んでもらった。半分を過ぎたその時、その方を見つけた。僕はヘリコプターの人に感謝の気持ちを伝えて飛び降りた。この前のねいさんがくれた機械のおかげで難なく着地出来た。

「すみません。SUBTeamのケイですが」

「はい、どうしました。」

「先程の爆発で…」

そう言った瞬間10メートル程離れたところで爆発が起きた。僕は銃を構え、集中した。あの人が走っていく音がした。疑問に思ってその人の方を見るとその中にはいなかった。そして博物館の窓には割れて人が入った形跡があった。間違いない。

『ゲインスさん、あの人はクロです。


───────────────────


『そこの角を進んで真っ直ぐ、もうすぐ鉢合わせるわ。凍らせて。』

『了解』

ビンセントは角で立ち止まり、待機した。水の上を歩く足音が聞こえる。その足音が近づいたその瞬間、足元の水を凍らせた。怪盗トロスパートはその場で転んだ。

「トロスパート、今度こそ確保だ。」

「おや?僕の能力を忘れたのかな?それ以上近づけばこの場で爆破することも出来るのだよ?」

ビンセントは歩みを止めた。そこに広がる沈黙。その静寂を打ち破る様に、ねいからの通信が聞こえた。

『そいつについて情報が来たわ。爆発の能力はどうやら協力者の能力らしいわ。だからさっさと捕らえてちょうだい。』

トロスパートは急に表情を変えた。

「だそうだ。」

ビンセントがまた歩き始め、トロスパートの腕を取ろうとした時、爆発が起きた。

「トロスパートォ!大丈夫か!?」

「レイング!全部バレてる!逃げるぞ!」

2人が駆け出したため追いかけようとするが爆発がまた起き、進めない。

『ねい!電流を流してくれ。手加減なく精一杯のを!』

『了解!』

ねいは手に最大の電力を貯めて床を満たす水に流した。すると一つの叫びが聞こえた。その方向に走っていくと気絶したレイングを引っ張るトロスパートの姿があった。

「レイング、すまん!」

そう言ってトロスパートは駆け出した。

「ビンセント、こっちはレイングを連れていく。そっちはトロスパートをお願い。」

「分かった、すぐ捕まえる。」

氷の上を滑るビンセント、全力で走るトロスパート。トロスパートが窓を突き破り、外に出た。その瞬間、警察の銃口がトロスパートに向けられる。トロスパートが煙幕を使った。警察や2番隊は何とか煙幕を払おうとしたがその前に煙幕から小型のジェットを付けたトロスパートが飛び出した。

「覚えてろよ。次はこうは行かないからな。」

そう言って凄いスピードで飛んだ。逃した、そう思った瞬間ガンッという鈍い音と共にトロスパートがバランスを崩す。ケイは狙いを定め、麻酔銃で撃ち抜いた。確保ォ!!確保ォ!!その大声を合図に安堵した。やっと捕まえることが出来たのである。

「ゲインスさん、ねいさん、お疲れ様です。」

「今回は骨が折れる任務だったな。とりあえず、本拠地に戻ったらしっかり休むぞ。」

ねいは何か気になっているようでビルの上を見ていた。

「ねいさん、何かあったんですか?」

「少し気になることがあってね…。少し様子を見てくるわ。」

そう言ってねいは行ってしまった。


───────────────────


ねいはその気配を感じ取って階段を駆け登る。直感の様な、また確証のあるものに向かって。ねいがそこに辿り着いたと思ったところで止まった。そこには白髪のロングヘアーの兎耳の女性がいた。片耳の欠けている特徴のある。

「サツ!?」

「姉貴?」

「やっと会えた…。元気だった?」

「ああ、元気だけど…」

「なら、一緒に来ましょう。キョウを探して、また3人で過…」

サツはねいの頭額を小突いた。ねいは気絶し、倒れた。

「ごめん、姉貴。今の私には無理。」

その後、ねいが気絶している所を発見された。彼女自身は疲れて寝てしまったと説明した。そして、彼女は再開できたと思った束の間の別れに悲しみを感じていた。

怪盗トロスパートとその協力者レイングの逮捕に成功したsubteam。しかし、ひとり悲しみに浸るねい。そのチームは平和のために戦い続ける。

次回へ続く

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