深紅と漆黒の血晶
ビンセントさんとSUBTeam3人、ゲンベルト国議会代表のエイダーンさんとゲンベルト博物館館長のナルタさんの6人で今回標的にされた宝石を見に行くことになった。その名前は「深紅と漆黒の血晶」。最初はニュースでその名を見た時誤字なのかと思ったが、実はこれであっているらしい。原則として博物館の中を撮影することは禁止されていて、特に今回予告状の届いたこのお宝はより厳重になっている。
「皆さん方こちらが『深紅と漆黒の血晶』です。」
そう言ってポケットから出したボタンを押すと壁が開き、機械音がなった。6人で歩いていき、突き当たりについた。ゲインスさんが何かを呟き、ねいさんと話し始めた。
「何か、この宝石に異常でもございましたでしょうか。」
「あーっと、正直に言うとこれは死体だ。」
「え?」
「あまり周りに言いたくないがこれは赤い血の人物が体内に黒血を注入して、その成れの果てだ。」
2人は黙った。恐らく、博物館に死体を飾っていた様なことにショックを感じていたのだろう。
「とにかく、壁に偽装したこの場所に今隠しているなら、ここに永久保存した方が宜しいでしょう。それと、この事は他言しないようにお願いします。金稼ぎに用いる可能性があるので。」
「…ではこれは盗まれた方が良いのか?」
「それはそれでダメじゃないか?少し疑問に思うことがあるが、これはこの博物館の中で最も高級な物か。」
エイダーンさんとナルタさんは目を合わせた。
「確かに、これはとても高いですがもっと高いものがあります。」
ゲインスさんは黙って考え込んでいる。
「とりあえず、怪盗を捕獲してから考えましょう。早くしないと予告状の時間になってしまいます。」
僕が言うとみんな肩の力が抜けたようだった。
「そうね、ありがとう。ケイ君の言う通りだわ。奴を捕まえて、正義の力を見せつけてやりましょう。」
そう言って出口に向かっている最中に外から大音量の爆発音が聞こえた。遂に来たか。
深紅と漆黒の血晶に隠された謎、進行する怪盗。忍び寄る謎の影。世紀の捕獲劇が今始まる。
次回へ続く




