怪事件
人間は既に時と空間すら超越出来る。まだしてないだけだ。──初代研究員長ウィール=アルム
アラームの音で目が覚める。自分の部屋であるが、今までの自分の部屋ではない。少し慣れない感じのままだった。身支度を整え、部屋から出た。ゲインスさんがねいさんに薬を渡していた。
「おはよう、ケイくん。昨日は眠れたかな?」
「おはようございます、ゲインスさん、ねいさん。よく眠れました。」
ねいさんは少し調子が悪そうに手をあげた。
「こういう時にテンション上がって飲みすぎるからな、俺が早起きして皆の二日酔いの治療さ。」
ゲインスさんはケケケと笑った。その時海汰と吾大が出てきた。2人は大丈夫そうだった。
「おはようございます。吾大さん、海汰さん。」
「おはよう。」
そう言って笑顔で手を降った後2人は目を合わせた。そしてうなづいて知夏さんの部屋の前に来た。インターホンを押して呼びかける。そして海汰がインターホンの音量を全開にした。subteamの部屋に本人にとってとてつもなく恥ずかしいであろう声が響く。
「おだいしゃん、かいささん。ちょっとちょうしわういでぅ」
「知夏、音量全開だぞ。」
「ええっ!?えいくんにきかえた!?」
扉を開けて顔色が悪い知夏さんが出てきた。
手でバッテンを作り、必死に無言で訴えていた。朝の二日酔い騒動の後にメンバーが集合した。知夏さんは相変わらず耳まで真っ赤だ。ゲインスさんは知夏さんに話しかけたくてうずうずしてるようだった。
「では、今回依頼が来た事件についてです。」
ねいさんが電子黒板の前に立ち、話し始めた。
「今回の事件は簡単に言うと強盗事件何だが、ただの事件ではない。まず、起きた場所はカルカ国の外れのタムル村です。」
電子黒板に地図と場所が表示される。
「タムル村といえば、そう、昔から幽霊の話が有名な場所です。そして、今回の事件もそれに関わらないことも無いです。」
ゲインスさん以外はえっ、という反応をした。
「つまり、幽霊が物を盗んだって事だな。しっかり墓には供え物しないとな。」
「まあ、一万が一ね。事件の概要を説明するね。」
そう言って人差し指でチョンと触ると映像が始まった。
「事件は村の各地で起きていて、被害はそれぞれ財布や貴重品が盗まれている。被害者は一様に失神していて、まるで目の前で人生最大の惨劇が起きたかの様な恐怖の表情を浮かべていたそう。」
映し出された写真を見ると本当に凄まじい表情だった。
「原因は分かってないけど、黒血者の可能性もあるわ。注意してかかりましょう。今日はそれぞれ出来る限り情報収集と戦闘に向けての準備をするようにね。明日はsubteamのみでの出発よ。」
メンバー全員が返事をし、それぞれ準備をし始めた。
怪事件に立ち向かうsubteam。敵は本当に実態の無いのか?次回へ続く




