所長 バウル=カーン
犯罪集団:無国家地域で主に発生する。準国家地域を中心に狙う組織。稀に国家も襲う。
僕は書類を描いた後、世界中心機関所長のバウル=カーンさんに挨拶しに行くことになった。彼は世界中心機関所長として平和を求め続けた。ウィール国消失事件後からは人権侵害や迫害の激しかった黒血者や獣耳者の差別の反対運動の中心人物となっていた。今も尚差別は続いている地域があるが、彼は呼びかけをしている。
「ここが所長の部屋だよ。あまり厳しい人では無いからあまり緊張しなくても良いよ。それでは行ってらっしゃい。」
僕はうなづいて、扉は前に立った。ノックをして失礼しますと言って部屋に入る。中の様子は壁にビッシリとある棚の本。今どき紙に書かれた本は珍しい。今では殆どタブレットによる本へと以降している。木製で艶のある机に向かっている年長者の方がいた。坊主頭で少し長めの白ひげを生やしている。
「こんにちは。今回、subteamに入隊します、キッドケイです。」
「キッドケイ君。ようこそ要らしてくれた。そこに座ってリラックスしなさい。」
そう言って机を挟んだ対になっていたソファーの片方へと進んだ。僕も反対側に座った。
「其方はオルファ国出身であったな。」
「はい、そうです。」
近くに来ると、より彼から出ている優しさのオーラを感じる。
「あの国は素晴らしいですな。なんせ国民達が皆平和を望んでいて、治安の良さでは一番であるからな。」
「ありがとうございます。」
「それでは私から其方に一つ質問をしよう。」
彼の目の色が変わった。全てを包み込む様な優しいオーラがまるで獲物を狙う獣の様なオーラへと変わった。
「其方は何をしにここへ来た。」
「全世界の平和を実現して、誰も苦しまない様にするためです。」
「では、殆ど見ず知らずの人を助けることに何か其方にメリットはあるのか。」
予想外の質問であった。しかし、彼の向けている鋭い眼差しからはとても冗談とは思えなかった。
「僕は、オルファ国で警備をしていました。度重なる犯罪集団の脅威に晒されて来ました。僕はオルファ国を平和にする為には他の地域を平和にし、犯罪集団の出現することが無いようにするべきだと思いました。」
「ほう、続けなさい。」
「しかし、その事について考えると、苦しんでいるのは僕達だけではない。ましてや僕達はうんと平和な所で過ごすことが出来ていました。だから、他人にも苦しんで欲しく無いんです。他人が不幸になる事に何も良いことはありません。オルファ国の皆も、世界中の皆も。」
僕は精一杯心の中に思ったことを言った。バウルさんは1度うなづいて顔をあげた。その目には優しさが戻っていた。
「宜しい。其方の平和への心意気は充分なものである。subteamに入るにふさわしい。」
彼は机の棚を開け、衣類とバッジを取り出した。
「これがsubteamの証のバッジと制服だ。正式に其方がsubteamに入隊したことを認める。おめでとう。」
彼は拍手をした。僕はありがとうございますと言って礼をした。バウルさんは見回して、話し始めた。
「この部屋に入った時に驚いた事だろう。こんなにも紙の本が置かれているからな。」
僕はうなづいた。
「私は紙の本が好きでなあの紙をめくる時に感じる、紙の脆さ、そして質を感じ取れるんだ。今はタブレットが殆どとなってしまったが、それでも紙の本を読みたいと思った。もし、其方が本を読みたいと思ったら付属の図書館に行くとよい。紙の本も少しであるが置いてある。」
僕ははいと言った。
「本について熱く語ってしまったな。それではsubteamの部屋に向かうとよい。メンバーが其方を待っておるぞ。」
僕はソファーから立ち上がってありがとうございましたと言い、礼をした。subteamの部屋に向かうために所長室を出た。




