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昇華  作者: 内山
第一章
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1.前世の記憶をもつ令嬢

初投稿になります。ミクロなみの心臓なのでお手柔らかにお願いします。

 前世の記憶もちだと唐突に突きつけられたのは、幼き日のありふれた日常だった。


 朝、いつものように侍女に起こされ身なりを整えられる姿鏡の前で、胸の下あたりまである緩やかな波を描く青みのかかった白銀の髪、長い睫毛に縁どられた金色の瞳を眺めた時だった。

 チカチカと目の前が点滅しクラリと視界が揺れたと思えば、走馬灯のように一気に押し寄せた記憶。


 莫大な量の記憶が頭の中を複雑な時計仕掛けの軸のように巡っていく。 肺が圧迫され苦痛に喘ぎ、玉の汗をかきながら胸を抑え「痛い、苦しい」と、その場に踞った。


 

 2歳にも満たない小さな身体には負担が大きく、そのまま気を失い一週間と高熱をだし、うわ言をつぶやき、時に悶え苦しんでいたという。

 




 脳天を突き破るかのような痛み、皮膚を引き裂かれ、目の前が真っ赤に染まった。


 ひどく切なくもあり絶望と悲しみと怒り。

 黒く渦巻く感情と痛みとともに・・・・・私は目を覚ました。













 前世の記憶があると楽だと思うこともある。

 たとえば、マナーやダンスだとか必ずとも身に着けなければならない教養、たとえば妃としての勉強とか。 あの頃は泣きながらも覚えたことは、意思に反して体は動き頭はスラスラと問題を解く。


 ただ困ることは、どこで加減するか加減しないかである。  優秀といわれるまでは良いが、神童などといわれてはいけない。


 私は天才ではない。

 前世でコツコツと努力したからこそ、今の私がある。



それ以上にもそれ以下にもなってはいけない。







「アリーシャ様は本当にすばらしい」


 私の教育係のエレノア様は、頬を硬直させなから嬉しそうに賛美するが、そのエレノア様の仕草一つ一つが優雅でとても洗練されていると私は思う。 だけど、まるで自分のことのように褒めてくれるので、謙虚ながらにして小さな礼をとり「ありがとうございます」と、姿勢を正し唇の端をほんの少しあげた。


「もうどこのお茶会に御呼ばれしても大丈夫でございますわ。 アリーシャ様のご年齢でここまで完璧にできるご令嬢はそういらっしゃらないとおもいますわ」

「ありがとうございます。 まだまだ不安はありますが、エレノア様にそう言っていただけると太鼓判をおされたようで、自信がもてますしとても嬉しく思います。 これからも宜しくお願いいたします」


 エレノア様は目を輝かせ嬉しそうに微笑んだ。

 

「私こそ、そうおっしゃっていただけるととても嬉しく思いますわ! アリーシャ様は本当に謙虚でいらっしゃいますわね。 でも貴女様はも少し自信をもって胸を張っていてもよろしいのですのよ?」


 私は曖昧に頷いた。

 それから授業終了の短い時間の間、エレノア様は私を褒めたたえてくれた。 その後はぐったりと疲れてしまい、椅子の背もたれに背中を預けていたら迎えに来た侍女に苦笑いされてしまった。

 



 アリーシャ・ルナ・ダグラス。

 それが、前世の記憶と同じ私の名前。


 自然豊かで資源も豊富であり貿易、外交にもすぐれ、薄くなりつつある魔法を維持している大いなるクレール王国。 国自体は大きくはないが周りの国を友好国に導き、または同盟を結び国には頑固たる地位があった。


 そのクレール王国の王家の次に権力もがあり、財力もある由緒正しい公爵家。

 近いところで曾お爺様は前国王の弟君であり、お爺様は引退しているけれど将軍として国に仕えていた。 今でも将軍閣下として国の兵士の訓練や軍事会議にも出席されるくらいの功績を誇っている。 しかも、隣国であるインスタンル国の当時の国王の姫君を貰い受けている。


 クレール王国の宰相である父は濃い金の髪にアメジストの瞳。 整った顔は研きあげられた鋭い刃のような綺麗系美人。 冷徹にして残忍とも言われ、国王を陰で操ると噂される人物でもある。

 紫の研ぎ澄まされた眼差しがそのイメージを拡大させるが、愛娘である私には蜂蜜のように甘いのは周囲の承知。


 社交界の女神と賛美される母は、白銀のサラサラと揺れる髪と金に薄らと緑が混じった瞳をもち、エキゾチックな美人で立ち姿はカトレアの花、微笑めば白薔薇の微笑みと絶賛される摩訶不思議な存在。

 天真爛漫な性格で父を翻弄させ見事おとしたと言う強者。 当時の社交界の絶対の人気を誇っていた父が、数ヵ月の間に他国の王女にあっさりと奪われた令嬢達は、物陰に隠れるように殺意の念を送り、無名で届けられる贈り物の中には呪いの人形など多々あったという。

 父は父で、母の国の刺客に何度も命を狙われていたらしく、我慢の限界を終えて情け容赦なく打ち負かしたらしい。


 時期宰相とも言われる優秀な6歳上の兄。 その兄の容姿は父とそっくりで性格も父よりだけど温厚な一面もある。 但し、身内でも敵とみなせば容赦はしない性格でもある。

 現在は第一王子と共に留学しており、年に数回ほどしか帰省していない。


 祖父(将軍閣下)の再来と謳われる4歳上の兄は、銀色でウエーブのかかった髪をして、紫が強い金の瞳を持つ。 お爺様大好き少年で、暇をみつけてはお爺様の屋敷に通い訓練を受けている。 非常に活発でガサツだけどきちんとした場所ではちゃんとしているので、叱られることもなく世渡り上手と言われている。 愛嬌のある人懐っこい笑顔で人を魅了する不思議な兄。


 私と言えば、母を幼くした容姿で、透明度の高い金の瞳は至宝と言われている。




 王家の血さえも流れる公爵家。

 誰もが羨み賛美し、嫉むその存在。


 





 前世の私が、勘違いするのは無理もないと思う。


 私は、高飛車だった。

 私は、傲慢だった。

 私は、わがままだった。

 私は、自分が一番だと勘違いしていた。




 兄2人を見習えば、周りに目を向け話に耳を傾けていれば、―――18歳を目前にして死ぬことはなかっただろう。

 




日中は仕事、夜はバイトに明け暮れてますので誤字脱字も多いとおもいますが、最後まで投稿してから訂正なりしたいと思います。ご了承くださいますよう、お願い申し上げます。

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