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バクエジオに会いに行く

ブックマーク100件突破しました!

ありがとうございます。



「もうお昼ですかぁ……?」などと寝ぼけたことをぬかすアルテミシアを担ぎ、部屋の窓から飛び降りたところで、ちょうど騎士達が宿に踏み込んできた。


飛び降りた勢いをそのままに、人目につかないよう路地裏を駆けていると、背後からがなり立てる騎士と、客が失踪して困り果てている宿主の声が聞こえていた。


「あのおっさんには悪いことしたな」


今頃騎士に理不尽にも怒鳴られているのだろう。

流石にちょっと申し訳ないし、お詫びに何かしらを帰りに置いて行くことにしよう。


そんな事を考えながら、走り続けること数時間。

日が昇り始め、辺りが明るくなってきた頃になって、ようやくアルテミシアは目を覚ました。


「……ん、んにゅう。氷川、様?」

「おはよう。ようやく起きたか」


間の抜けた声を上げるアルテミシアに笑みを見せる。

現実でこんな変な声を出すやつが本当にいるんだな、と感心しながら。


「おはようございます。えっと……ここどこですか?」

「ここはバクエジオのいる場所。牢屋の近くにあるちょっとした小屋だ」

「……ええええええっ!」


寝起きとは思えないほどに大きな声で叫ぶアルテミシア。

この姿を見てこいつが王族だと思うようなやつはいないだろう、というくらい品のない驚き方だった。


「おい、もう少し静かにしろ。別に喋るなとは言わないが、だからと言って見つかるほど五月蝿くもするな」

「は、はい、ごめんなさい。……でも、行動が早すぎませんか?というか何があったんですか?」


意外と早く驚きから帰ってきたアルテミシアが問いかけてきた。

すでに混乱もなく、目には冷静な光が宿っていた。


「あー、実はな」

「はい」


そういえばアルテミシアを囮にした事を話していなかったな。

俺は思い出して、思わず口ごもった。


「何ですか?言えないようなことをやったんですか!?」

「そういうわけでもないんだが……」


言い難いのは確かだ。

逡巡する俺の肩をアルテミシアが揺さぶってくる。


「一体何をやったんですか!答えて下さい!」

「あー……」

「早く!さあ!」

「分かった、分かったから手を離せ!」


結局、どんどんヒートアップしていくアルテミシアの勢いに負けて、俺はボソボソと一部始終を話すはめになったのだった。







話を聞いたアルテミシアは激怒した。

それはもう怒った。

普段温厚な人物が怒るとどうなるのかを、これ以上ないほどに思い知らされた。


けど、それはアルテミシアを囮にしたことに対するものではなかった。


「そんなに私は信用できませんか……?」


一周回って、怒りが冷めたのかしょんぼりするアルテミシア。


俺が、アルテミシアに何も伝えなかったこと。

その事が、まだ信用されてもらっていないとして、アルテミシアの心に引っかかったのだ。


もちろん、俺はアルテミシアを信用している。

他ならぬ柚子希の友人なのだ、信じられないわけがない。


だが、それとこれは別の話。

アルテミシアは、王族なだけあって潔癖なところがある。

人殺しなんかには忌避感があるし、ましてや自分の手を汚すことなどできるはずがない。


そんなアルテミシアに、「これから追っ手が来るから適当に拷問して情報引き出してから殺す」なんてことを言えるだろうか。


答えは、否。

アルテミシアには今のまま、黒いところのない綺麗なままであってほしいから。


アルテミシアを悲しませることになっても、俺は話すわけにはいかなかった。


「……信用していないわけじゃない」

「なら!」

「それでも、言えないことはあるんだよ」

「……」


俯いて、悲しそうに顔を歪めるアルテミシアを見て罪悪感がわいてきた。

俺は見ていられず、話をそらしてしまうことにした。


「……悪いが、この話はここまでだ。これからの話をするぞ?」

「……はい」


どんよりした空気を纏って、俺の話に耳を傾ける。

そんなアルテミシアに向かって、俺は躊躇いながら言った。


「まず、第一にバクエジオに会う」

「……どうやってですか?普通に面会しにいっても、罪人とはそう簡単に面会させてもらえることはないでしょう?」

「そうだな。それに俺たちは得体の知れない旅人なんだ、余計に会わせては貰えないだろう」


今の俺たちは、人がほとんど来ない国に好き好んでくるような変人、ハッキリ言って不審者である。

元教皇だということを除いても、そもそも誰かに面会することすら難しいだろう。


「じゃあ、どうするんですか?」

「一応、二つ方法はある」


俺は右手を上げ、人差し指を立てた。


「まず一つ。アルテミシアの本当の身分を明かすこと」

「それは本末転倒では?」

「そうだな。しかも、それをやったところで確実に会えるとは限らないわけだし、実質この方法は無いようなもんだ」


ならどうして上げたのか。困惑気味に眉を寄せるアルテミシアに向かって、俺は中指を立てて見せた。


「こっちはアルテミシアが拒否しそうだから、一応上げといたんだよ。……で、二つ目。入れてもらえないのなら、勝手に入ってしまおう」

「へ?」

「ようは潜入だな」

「へええええええ!?」


もう二年以上も前になるが、地球にいた頃に聞いた言葉を思い出す。


ーーバレなきゃ犯罪じゃない


悲鳴なのか何なのか、よく分からない叫び声をあげるアルテミシアを見ながら、俺は心底楽しそうに満面の笑みを浮かべるのだった。



キャラ紹介とか入れたいなあ……。

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