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狂信者達の国へ向かう

文字数が安定しません。

あと、今回の話はかなり適当なのでツッコミは無しでお願いします。



桧原が何を考えているのか、そして漆田は何を思ってこの三人を選んだのか。

気になることは山ほどあるが、それについては後でまた考えることにした。


「……とりあえず、また何か新しい情報が入ったら教えてくれ」

『分かりました。これからは予定通りに?』

「ああ。この間話した通り、グランエジオ神聖国に向かう」

『そうですか。……アルちゃんのこと、よろしくお願いします』


柚子希は俺の返答を待たずに、念話を打ち切った。


恥ずかしかったのだろうか。

まだいくつか聞きたいことがあったが、切られてしまったものは仕方がない。

こちらからは連絡の取りようがないので、諦めよう。


「さて、アルテミシア」

「はい?」


俺が念話で柚子希と話している間、黙ってこちらを見ていたアルテミシアに声をかける。


ふと思ったが、念話をしてる時ってどうみても変人だよな。

側から見れば、一人で喋ってる頭のおかしい人にしか見えないし。

女性の目の前でそんな奇行に走っていたことを理解し、いたたまれない気持ちになった。


「……氷川様?」

「あ、すまん」


そんな俺を見て、アルテミシアが不思議そうな顔をする。

俺は僅かに目を逸らしながら、話を戻した。


「俺たちはこれからグランエジオ神聖国に向かうわけだが」

「はい」

「情勢とか、聞いてみてもいいか?俺、本に書かれてることしか知らないからさ」

「ええ、別に構いませんよ」


何でも聞いて下さい、と微笑むアルテミシアを見てホッとする。

教えてくれないと思っていたわけじゃないが、そんな事知ってどうするんですかとか、そもそもそれくらい調べておいて下さいとか言われたらどうしようかと思った。

幸いそんな事は言われなかったし良かったんだけどな。


「じゃあ、まず何が知りたいですか?隣国ではないですが、かなり詳しいですよ、私」

「そうだな……」


何から聞こうか。

聞きたい事が多すぎて、何から聞けばいいのか悩んでしまう。


うんうん唸って答えを出さない俺を見て、焦れたのかアルテミシアが提案してくれた。


「思い付かないなら、そうですね。まず氷川様が知っている事を教えてもらってもいいですか?」

「うん?」

「本に書いてある事が正しいとも限りませんし、私が逐一補足していった方が早い気がします」

「ふむ」


俺は考える仕草をとる。

確かに俺が読んだ本は、いつ発行されたのか書かれていなかった。

それでもそこまで傷んでいなかったし、古すぎるという事はないだろうが、やはり情報が古い可能性が高い。


隣国ではないのにどうして詳しいのかとか、気になった事もあるがひとまずそれは後回しにして俺の知ってる事をアルテミシアに話すことにした。


グランエジオ神聖国。

元はただの教会だったらしく、教徒達が貧困や弾圧に耐えかねて、グランエジオという司祭が旗頭となって反乱を起こし、その結果一国家となった国である。


元は『エスリル教』という宗教の教会だったらしいが、グランエジオ神聖国の建国に伴って様々な戒律が都合の良いように変化し、今となっては『グランエジオ教』と呼んでもいいくらいにかけはなれた宗教になっている。


エスリル教は、俺の知っているキリスト教に近しい宗教らしい宗教だったのだが、グランエジオ教はそうでもない。

建国当初は教徒のための戒律が多かったが、時を経るにつれて上層部の人間の都合の良いように戒律が作られるようになり、今となっては教徒のためなんて口が裂けても言えないような宗教となっていた。


「……その上、グランエジオ教以外を認めない、税が重い、民に階級があるなど、ロクでもない情報ばかり。さっさと潰れちまえって思うくらい酷い国ーーってのが、俺の知ってるグランエジオ神聖国だな」


俺は言い終えて大きく息を吐く。

建国に関する部分以外、話してて胸糞悪くなるばかりだった。


「そうですね、今でもほとんどは変わっていません。ですがいくつか、大きく変わったこともあります」

「へえ?例えば?」

「まず一つ、冒険者や他国の人間など、よそ者に対して寛容になったことです」


冒険者だろうが何だろうが、グランエジオ教で決まった戒律を破れば即捕まる。

どれだけの罰が与えられるのかも、その時の相手の胸先三寸で決まる。


何とも腐りきった話だが、それが今では多少改善されたらしい。

冒険者、もしくは他国の人間であると証明できれば、それこそ殺人など他国でも罪に問われるようなことでもない限りは見逃してもらえるのだそうだ。


「それは当たり前って言っちゃいけないのか?」

「狂信者がそれを聞き入れると?」

「狂信者っていうほど熱心な信者には思えないけどなあ……」


否定も肯定もせず、俺はぼやく。

狂っていると思うのは確かなんだが、宗教に狂っているとはとても思えない。

そんな俺の気持ちが伝わったのか、アルテミシアは少し補足です、と言って話を続けた。


「あれは間違いなく狂信者ですよ。……ただ、信じているものが宗教かは分からないだけで」

「ああ、そうかい……」


信じているものは金、もしくは権力。

そういうことなのだろう。


俺はため息を吐きながら、これ以上の追求はしないようにしようと心に決めた。



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