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動き出した闇
改めて森を見渡す。私の故郷。
森の運命。私の運命……。
さだめに従い、都を護る。
(左大臣どもが動き出した)
突如青龍の声がした。
ついにくるのか……。
邸に戻ると、お師匠様が式盤を見ていた。
「お戻りですか? 神将を使役に下され
た……。 良かったですねぇ」
何も言わずとも、お師匠様はお分かりに
なっていた。
「これからですね。 左大臣率いる僧侶
陰陽師が、何やら策を立てている様です。
内裏に近づく為の……」
「先ほど、青龍も申しておりました」
「小物のあやかしを、内裏に放ち騒ぎを
起こす。 きっかけを作り帝に近づく。
稚拙過ぎて飽きれますね」
小馬鹿にする様に笑った。
「面倒ですね。 まぁ、結界を張っておき
ましょう。 厄介ですし」
「しかし、その様な事をすれば、返って
帝に危険が……」
「どちらにせよ、危険は避けられません。
少し時間をかせぐだけ」
「相手の出方を待つのですか?」
「こちらに来るでしょう。 これもまた、
避けられぬ事。 都を護る為には」
お師匠様は、再び式盤を見た。