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 頬を恥じらいに染めたままのギャロが、美也子を見る。

「こんな村じゃ宝石屋も無いし、大きな街に行ってからになるが、そのほうが夫婦っぽく見えるだろうし……もちろん、お前が嫌だって言うなら……俺には……その……」

 嫌なことなど何もない。むしろ幸せだと、だが、それを口に出して伝えるのは憚られて……美也子はギャロの手をとった。吸盤の間に指を絡めて、しっかりと手をつなぐ。

 ぐいっと密着した腕は力強く、彼の体からは青草に似た香りが立ちのぼった。


 それから半時もしないうちに戻ってきた少女は、数人の友人を連れていた。おかげであっという間に、ちいさな木箱いっぱいの木の実が集まった。

 それを馬車に運び込む頃には日も暮れ掛けていたのだが、新婚夫婦のデートと言うことで遅い帰りをとがめるものは誰も居なかった。ただ、木箱をひょいと覗き込んだネロだけは、呆れきったように頭を振る。

「あんたら、新婚サンなのに……なにやってんの?」

 ギャロがごりごりと頭を掻く。美也子のほうはそんなことさえ気にせず、ギャロの道具箱を引き寄せ、錐を取り出した。

「ああ、危ないから、俺がやる」

 木の実は扱いが難しい。穴を抉ろうと無理な力を加えれば裂ける。力任せに道具を使う素人の手には余る代物だ。

「貸してみろ」

 ギャロは靴を脱いで、足の指の間にちいさな実を挟む。


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