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第三話:勇者来訪(上)

「それでは、会議を始めますか」

 魔王城の最奥部にその会議室は存在していた。

 室内は薄暗く、宙に浮いた蝋燭が怪しげな雰囲気を漂わせている。中央には年代物のテーブルが置かれ、その机を取り囲むように三つの影が揺らめいていた。

 会議室には、魔王三幹部が全員揃っていた。

 一人目は、高等悪魔ゼラース。長身で細身、肌は浅黒く耳は鋭く尖っている。髪は毛玉のようにクシャクシャにねじれ、陰気そうな表情を浮かべている。どこであつらえたのか高級そうなスーツを身に纏い、ネクタイまできちんと締めている。

 二人目は、魔女。黒い三角帽に黒いマントに黒い髪、全身を黒一色で覆っており、暗闇の中に紛れてしまえば姿を消してしまいそうな格好をしているが、僅かに晒している肌は不気味なくらい青白く、両眼は黄金色に輝いている。姿そのものは美しく若々しい女性のものであるが、口元からは老練な雰囲気を漂わせており、実際の年齢は判然としない。

 三人目は、ゴーレム。白いレースのカチューシャを付けてメイドの格好をしていた。

「なんでだよっ!」

 ゼラースが思わず突っ込んでしまった。

 身体を前に乗り出してしまっていた。

「どうしたん? ゼラース」

 魔女がニヤニヤと笑いながら高等悪魔を見つめてきた。一方のゴーレムは頭を45度傾けて不思議そうな表情でゼラースを眺めている。

「いや、どうにかするだろ? どうにかしただろお前!?」

「そう?」

 ゴーレムは歳相応の可愛らしい声で答えた。

 おかしい。

 そうだ。これは奇妙な話である。

 ゼラースの記憶している限りでは、ゴーレムは巨大な岩男だったはずだ。無口で無骨ではあったが良いやつであった。少なくとも昨日まではそうであった。

 それが今では、魔王とそれほど変わらない幼い少女へと変貌してしまっていた。

 岩盤のように硬かった肌は、マシュマロのようにぷにぷにと柔らかく、石柱のように太かった手足は、小動物のように小さく華奢なものへと変わっていた。

 顔立ちは穴ボコだらけで判別のつかなかったものが嘘のように均整のとれた可愛らしいものへと変化しており、大きな黒い瞳は無感情にこちらを見つめている。

 当たり前のように体毛が存在し、首にかかりそうな黒髪は可愛らしい髪留めで軽く抑えられている。

「なんという、ことでしょう……」

 グレゴール・ザムザもびっくりの変身っぷりであった。

 思わず呆然と見入ってしまった。ゼラースは横で魔女が爆笑している声が聞こえる。

「あっはっははぁ! ゴーレムの見た目のこと? 大丈夫、大丈夫、魔王様の許可はとってあるから」

「またお前か! またお前なのかぁ!」

 ゼラースは天敵を見るような目で魔女を睨みつけた。

「いやぁ、いつまでも岩石の格好をしていても華がないなぁって思ってね。」

「いいんだよそれで! どうしてこんな格好にした! そもそもゴーレムはそれでいいのか!?」

「ん」

 ゴーレムは右手をふるふると上下に振っていた。「構わねぇよ~」と言っているつもりらしい。

 ゼラースはゴツンと頭を机に打ち付けた。「大丈夫~」と魔女がわざとらしい声をあげるが平気だ。この高等悪魔はこの一ヶ月で心を強くするすべを身につけつつあった。

 ――ゴーレムとは、先代魔王が南方の国から連れ帰ってきた魔人であった。

 本来、魔人とは主人の命令を遂行するために作られた土くれの人形のことであるが、このゴーレムの場合は多少異なっていた。自律思考型ユニットといった魔力の核が埋め込まれ、自分で考え判断して行動することができるのである。現在は魔王城の幹部として魔王様に仕えているが、それもゴレーム自身が自分で決めたことらしい。日常会話から戦闘まで、誰の命令を受けることもなく動くことのできるこの魔人は、もはや一つの生命と言って間違いなかった。

 といっても、今回のように他人の命令を従順に聞きすぎている傾向はあるので、従属性が高いというか、どこまで自分の意志というものを持っているのかは判然としないのだが。この点に関しては、今回深く語るべきことではないのでここらで割愛とする。

 はぁ……。

 ゼラースは魔女に見せつけるように大げさにため息を吐きながら、

「それじゃあ、スルーして会議を始めるぞ」

「どーぞ、どーぞ」

 会議を始めることとなった。


「先ほどの偵察部隊からの報告によると、勇者たちは魔王城の目の前にまで迫っているとのことだ」

 ゼラースは資料庫から持ってきた地図を取り出した。魔王城周辺の外観図が描かれている。

 魔王城は勾配の急な山の上にドカンと立っており、辺りは崖で覆われ、外から来たものは正面にある巨大な城門を通過しない限り入ることはできない。

 魔王城の背後には頂上が雲に覆われて見えないような巨大な山脈が広がっており、前方には湿原があり、更にその先には巨大な森が地図の先がなくなるまで続いている。

「偵察部隊が勇者一行を発見したのは、こちらの迷いの森の出口らしい。それが今から6時間ほど前の話だ」

 ゼラースは迷いの森の出口にAM 10:00と書き加えた。そこから魔王城へ向けて線を引く。

「知っての通り、迷いの森から魔王城までは常人の足であれば1~2日もあれば到達する距離だ。おそらく勇者達はもう間もなくこの魔王城へと到達するだろう」

 先ほどまでの和やかな雰囲気は消し飛び、魔女もゴーレムもゼラースの話に聞き入っていた。

「えーっと、いいかしら」

 魔女が手を挙げる。

「確認なんだけど、森から魔王城までの間に勇者たちを足止めすることはできないのよね。この地図で言うと湿原のところ。ここでは戦わないと」

「そうだな。迷いの森を抜けだした勇者達のことだ。近隣の魔獣たちは一体一体が強力なものであるが確実に足止めができるかわからん。無論、湿原で勇者たちが撤退してもらえば私たちとしてはしめたものだが、今はこの魔王城にて迎え撃つことになった場合を考えよう」

 確かに、森を抜けだした後でも足止めをする方法はいくらでもある。実際に魔王幹部の候補生と呼ばれる魔物達を既に何人か湿原へと派遣している。が、しかし、楽観的に考えないほうがいいだろう。

 集団で徒党を組んで挑んでくる軍隊ならばともかく、少数精鋭のパーティで(偵察者によると三人組とのことだ)迷いの森を突破した連中だ。生半可なモンスターやトラップでは捉えることはできないだろう。魔王城の中にも当然のように罠や仕掛けは大量に存在している。鍛えぬかれた精鋭も大勢いる。勇者を打倒できる可能性はいくらでもある。しかし、それだけで慢心してはいけない。

 悲しいことに、古来より勇者というものは小手先の仕掛けやモンスターでは敗れない。

 勇者であるが故にそうなのか、些事たる現象を物ともしない存在が勇者と呼ばれるのか、その判断ははっきりとしない。

「勇者を倒すためには決定的な敗北が必要だ」

 ゼラースは重々しい口調で呟く。

「つまり、私たちは勇者と直接戦い。そして勝利を収めねばならない」

「そうね」

(コクコク)←ゴーレムが頷いている。

 ゼラースはその様子を見て、両手を軽く組み、厳かな雰囲気で言った。

「そして、私達はこの短時間で話し合い見つけ出さねばならない――勇者に勝つ方法を」


「そういえば、魔王様はどうした?」

 ゼラースは先ほどから魔王の姿が見当たらないことに気がついた。

「自分の部屋に戻られて着替えていらっしゃるわ。魔王様にもお覚悟を決めて貰わねばならないからね。辛いことであるし今は一人にして差し上げましょう」

「そうだな」

 可哀想な魔王様。己の実力を上げるまでもなく、最終決戦を強いられてしまった。

 今さらながら言うことでもないが、何という絶望的な戦いだろう。ゼラースは冷静に今の状況を分析する。敵は恐ろしい勇者である。その実力の程は不明だが、幹部とはいえ魔族には違いない私たちに勝てるかどうか判らない。

 無論、この身の果てるまで戦い抜くことは約束する。しかし、私たちは勝たなければいけないのだ。戦士として勇ましく死ぬことと、どんな悲劇が待っていようとも魔王様に生き延びてもらうことは別問題なのである。

「最善を尽くそう」

 ゼラースはそう呟いた。


「一応、一つ作戦案は練って来たわ」

 魔女はぶ厚い魔導書を取り出した。

「これでも豊富な魔法知識はあるからね。最終決戦に際して、魔王様の力を引き上げることができないか考えたのよ」

 そう言って、魔導書のページをパラパラと捲る。《対象者の身体を大きくする魔法》《対象者の魔力を増大させる魔法》《対象者の周りに一時的に防壁が発生する魔法》……etc.

「そこで、この魔法を使ってみようと思うのよ」

 魔女はページを捲るのを止め、ある記述を指さした。

「――魔力同化術?」

「シンクロ魔法とも言われているわ。専門の術式を覚える必要はあるけど、覚えさえすれば誰でも使えるからあなた達でもすぐに使えるようになるわ」

 魔女の言葉を聞きながら、ゼラースは書かれている記述を読み取った。

 どうやら、先ほどあった《対象者の魔力を増大させる魔法》の上位互換のようなものである。

 魔法を使った術者と同じだけの力を、魔法をかけた対象者に与えることができるのだ。

 つまり、仮に、魔女の強さを10として魔王の強さを0としておこう。魔女がこの魔法を、魔王に使った場合、魔王の強さを魔女と同じ10になることができるのだ。

「ちなみにその魔物の固有の能力まではシンクロできないみたいだけどね。例えば、ゴーレムは自由に身体を変化させることができるけれど、魔王様がゴーレムとシンクロしても身体変化は起こせないようにね」

「ふむ」

「多分、単純な戦闘能力だとあなたかゴーレムの方が強力でしょう。今のうちに術式を覚えて魔王様にかけてもらえば、実質幹部と同じ実力を持った者が一人増えることになるわ」

 ゼラースは考える。勇者一行は三人組のパーティだと聞く。こちらもバランス良く三人組である。

 もし仮に勇者一行とこちらの実力が拮抗していた場合、魔王様が私たちと同じ力を得たとしたら、こちらにとって非常にプラスになるのではないだろうか。

 最弱であったはずの魔王様が、こちらにとっての切り札となるかもしれない。

 それは現状を打開するための一陣の光のようにも思えた。


「……悪くないんじゃないのか。現状考えられる作戦としては上等だ」

「そう。なら、よかった。私としても力になりたいところだったからね」

 魔女はそう言って笑った。魔女にしては殊勝な台詞であった。緊急事態に際して、魔女もいくらかナイーブになっているのだろうか(さっきまでゼラースのことを馬鹿にしていたが)。

「質問いい?」

 ゴーレムが幼そうな声で聞いてきた。声帯まで変化したのかと、ゼラースは岩時代の彼のことを思い出して涙が出てきた。いやそもそも男だったのだろうか。岩の魔人に性別はあるのだろうかとゼラースは考え、何だか触れてはいけない領域を垣間見たような気になってゾクリとした。

「ええ、いいわ。何?」

「これって、魔王城にいる人たちみんなにかけてあげられないの?」

 ――そうだ。何も魔王様だけをパワーアップさせるだけではない。この魔王城には最低でも数十体の魔王幹部候補生と一般兵数百体が存在している。彼ら全員にこのシンクロ魔法をかけることができれば、勇者を倒すことも夢ではないはずだ。

 しかし魔女は悲しそうな顔をして首を横に降った。

「ごめんなさい。シンクロ魔法が使えるのは、術者一人につき一体までなのよ。広域型魔法となるともっと弱っちいのしかないわ」

「そっか残念……」

 ゴーレムはしゅんとしていた。

「でも」

 そう言ってゴーレムは顔をあげた。

「ならせめて、魔王様の他にもあと二人分、どこからか連れてこようよ。それで彼らにも魔法をかけて、皆で勇者と戦おうよ」

 容赦ねー。ゼラースは素直にそう思ったが、いやいや最善を尽くして戦うとはこういうことなのだと納得した。

 ゴーレムが言っているのは、魔王様+適当な魔物2体を連れてきて、皆でシンクロ魔法を行うといったものであった。実質、私たちと同じ実力を持ったものの数が二倍になるのだ。これは勇者達にとって脅威的であるだろう。


「――いいわね。その案、乗ったわ」

 魔女はゴーレムのアイディアを採用した。ゼラースとしても悪くないと納得した。

 細かい方針はこれから詰めていくとして、作戦の大枠は見えてきた気がする。

 後は、魔王様にこの件を報告して確認をとるだけだ。

 重く淀んでいた空気が、どことなく弛緩していくのを感じた。

 そのためゼラースは先程の件を魔女に問いただすことにした。

「そうだ魔女。お前、魔王様の部屋にモンスターを入れるのを手伝っただろ。おかげでさっきは酷い目に合ったんだからな」

 すると魔女は面倒くさそうな目でゼラースを見てきた。

「んー? さあ? 知らないわねそんなこと。私はね。このゴーレムをメイドさんにデコレーションするのに忙しかったんだから」

「デコレーションって……。そんなのは魔法を使えばすぐにできるんじゃなのか。そもそもゴーレムは自分で変化することができるだろうが」

 魔女の目が他人を馬鹿にしたようなものに変わる。

「変化できるっていっても見たことないものに変身はできないでしょう。その構造から理解させないと。だから、まずはロリメイドという概念を教えこむことから始める必要があったのよ」

「なんて無駄なことを……」

「そうして充分なデータが揃ったら、あとは精妙な粘土細工を生み出すように組み上げるのよ。こう、こねこねって、彼女の身体をこねくり回しながら」

 そう言って魔女はゴーレムの身体を机越しに揉みまくる。

 こねこね。

 こねこね。

「あーれー」

 一方のゴーレムは無感情に両手を上げてクネクネと奇妙な動きをしていた。ノリノリだなおい。

「どう、淫靡でしょう?」

「淫靡というよりも滑稽だ。シュールリアリズムだ」

 呆れたような目をしながらゼラースは大きく欠伸をした。

 だが、こうして緩みかけた空気は緊張へと一気に変わることとなった。急に会議室の扉が激しく叩かれ、開くと一匹のフクロウが室内に飛び込んできたのだ。

 魔女がガタッと椅子から立ち上がる。残りの2人をその様子を見て呆然としているしかない。

 フクロウは封筒を加えており、それを魔女の目の前に落とした。そして煙のように姿を消してしまった。

 魔女は雑に封を切り、中にあった手紙を広げる。読み進めていく内に、表情がみるみる険しいものへと変化していった。全部読み終えると、ゼラースの前に投げ捨てるように手紙を飛ばす。

「読んでみなさい、ゼラース。勇者が魔王城の目の前に到着したみたいよ」


「――――え?」


 ゼラースは一瞬この魔女が何を言っているのかわからなかった。

 勇者一行が迷いの森を抜けたのは、およそ六時間程前の話だ。それから会議を始めてからまだ一時間くらいしか経過していない。少なくともまだ1日近い猶予はあったはずである。

「ば、馬鹿なっ! は、早すぎる!」

「そうね、早いわね」

 魔女は苦々しそうな顔をしている。ゼラースは自分の心臓が激しく動悸しているのを感じた。

「おかしいぞ! 何故だ。魔王城までは常人ならば最短でも一日はかかる距離のはずだ」

「じゃあきっと勇者は“常人”ではないってことよ。おそらくね」

 ゼラースは頭を大きく殴られたような衝撃を受けていた。

 王国の最強の刺客――あらゆる戦場における論理ロジックを無視して、規格外の力にて状況を逆転してしまう伝説の男。

「こっちは必死に計算してやってるってのに、勇者には関係ないのね。あーやだやだ」

 それでも魔女の口調にはいくらか余裕があった。そうだ。私たちにはシンクロ魔法という秘策がある。この魔法によって、私たちの力を二倍にすれば勝機があるかもしれない。

 ゼラースは立ち上がり言った。

「よし、ならば行動だ。魔女、シンクロ魔法習得にはどれくらいの時間が掛かる?」

「えーっと、術式を覚えるだけだから本気を出せば30分もあれば大丈夫。後回しにしてもらっても構わないわ」

「わかった。ゴーレム、勇者が魔王城到着から魔王の間に着くまでどれくらいの時間がかかるか計算できるか?」

「シュミレートは既に行なっている。偵察者からの情報と、迷いの森から魔王城到達までの経過時間を元に算出するに――三時間もあれば勇者は魔王城の一番上までついてしまうよ」

「そんなに早く……」

 魔王城は上に登るたび複雑な構造になっている。中で生活をしている魔物でも迷ってしまうことがあるほどだというのに、勇者はそうも易易とこの城を攻略してしまうというのか。

「無論、トラップを強化するつもり、今から城の設備に働きかけるよ」

「頼んだ。魔女にはさっきみたいなフクロウを使って伝令を頼めるか、魔物たちに戦闘配備につくように伝えるんだ」

「了解! ついでに幹部候補生の中から強そうで、口が堅そうなやつを二体分見繕っておくわ。シンクロ魔法をかけるためにね」

「助かる! それでは私は魔王様の元へと向かい現状の報告をしてくる」

「それから――」と言葉を発しながら、魔女はゼラースとゴーレムに卵状の機械ようなもの投げ渡す。

「これを渡しておくわ。魔力伝令機。城内であればどこでも音声連絡が可能だから!」

「了解した。それでは各自行動に移ろう。問題なければ一時間後、再びこの会議室に集合だ。諸君、健闘を祈る」

「オーケー」

「あんたもね」

 幹部たちの行動は迅速かつ的確であった。

 ゼラースは部屋を出て足早に魔王の間へと向かう。


「――失礼します」

 部屋に入ると魔法光がやけに薄暗いのが気にかかった。

 おかげで何度もぬいぐるみで転びそうになりながら、ベッドのある空間へと向かう。

 部屋に向かう前から、といえば言い過ぎだろう。しかし、魔王の間に入った瞬間からゼラースは嫌な予感に苛まれていた。そして進めば進むほどその感覚は強まっていく。おかしい。おかしいぞ。普段であれば、眠っている時でもない限り、近づいていけば何かしらの物音が聞こえてくるはずである。

 しかし、今はただただ魔王の間には静寂が広がっていた。

 ゼラースはベッドのある空間へと到着する。

「魔王様?」

 しかし、そこには魔王の姿はなかった。

 ゼラースは自分が異常なくらい汗をかいているのを自覚しながら、小さなテーブルの上に簡単な走り書きがあるのを発見した。


 ――ちょっと勇者に会ってくる。


 ゼラースは尋常ならざる速度で魔王城の入り口へと走りだした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次話は7月29日(日曜日)までには掲載する予定です。

感想受け付けていますのでよろしければお願いします。

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