表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

白いタキシードのおじさんを川に落とすと呪われます

我らが私立八見高校には様々な暗黙の了解というものが存在する。

たとえば、グラウンド横の冷水機は三年生のみが使用できる、バレンタインのチョコは教室の椅子の上に置くこと、屋上には近づかない(これは単純に井上祭理の所為である)などだ。


そのなかでも新入生が徹底的に叩き込まれ、どんなに素行の悪い生徒でも、先生であっても絶対に遵守されるルールが1つだけある。

それは『KFCには何があっても逆らわない』というものだ。


別に白いタキシードのおじいさんが化けて出てくるといった類いのものではない。

KFC、それは表面的には「関東福神漬けクラブ」というれっきとした部である。

日々福神漬けの添え物がカレーであるという信念のもと福神漬けの普及に努めている。

しかしそれはあくまで仮の姿。


真の名を「柿生貴己ファンクラブ」という。


柿生貴己とは八見高校の古文担当教諭であり、身長185cm、甘いマスク、優しい性格、美しいテノールボイスはさることながら、その丁寧な教え方により生徒から絶大な信頼を得ている29歳の男性である。

そのため八見の生徒に限らず他校でも有名であり、時には暴徒と化す生徒もいる始末であった。

そこで柿生教諭が安全かつ平和に心地よく指導を行えるようにと5年前発足したのがKFCなのである。


日常生活ではファンレターの整理や差し入れの規制、運動会などのイベントでは彼の通路の確保や身辺の警備を担当している。

また、彼の授業での遅刻、居眠り、宿題の忘れは決して許されないのである。


そしてここで、今一人の女子生徒がこき使われている。

1年生にしてKFC副会長を務める松宮亜貴、またの名を「鬼の番人」という。


KFC会員は普段、非常時に備えて鍛練を欠かさない。

ランニングで持久力を鍛え上げ、クラヴマガやジークンドーといった格闘術の鍛練に精を出してる。

そしてなにより大事な活動、それは古文学習である。

KFC会員になる条件は

1、柿生貴己のファンであること

2、柿生貴己の迷惑になるようなことは一切行わないこと

そして3番目が「古文の校内偏差値が65を越していること」なのである。


そんなKFCが活躍する行事の1つが運動会なのである。

まずい、非常にまずいぞ。

男どもをビデオに収めていたら柿生先生の警護をする暇なんてない!!!


「先生、私はKFCであるため運動会ではお手伝いできません。」


何があっても鬼の番人が抜けることは許されない。

KFCであることを告白すると、井上くんは明らかにドン引きしている。


「お前あのキチガイ集団だったのかよ…。」

「キチガイとは失礼な。各行事で八見生が安全に活動できるのはKFCのおかげなんですよ?」


女子が多いただの集団と侮るなかれ。

泣く子も黙るKFCの腕章である。


「俺の手伝いを断るだなんて良い度胸だな。BL小説音読するぞ。」

「残念ですね。私はKFCの柿生貴己を称えるための歌を写経することにより一時的に心を無にする技を身に付けたのですよ。それに運動会だけは抜けられません!どうかご容赦を!」


そういうと私は仕事場を走り抜けた。


「速きこと風の如く!?さっさとカメラを持っていかんか!」


井上祭理は人選ミスを疑うことになった。

そしてそれと同時に、仕事を断ったことは思わぬ事態を引き起こすことになったのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ