ラブ?んなもん注入されねぇよ。
都内某所
閑静な住宅街に
八見高校は存在する。
午前10:30その屋上。
今日の占いが11位だった事に間違いはないらしい。
松宮亜貴ここに死す。
銀髪男は笑顔で言った。
「君は何も見ていないよね?」
あたりに散らばる薄い本。てかBLやん。
銀髪男もとい不良で有名な井上祭理くんはこう続けた。
「このまま返すわけにも行かないしね。」
「君にも布教を行う事にするよ。」
「新しい世界へようこそ。」
―腐りかけのフラグが立ちました。
いやぁ時がたつというのは早いもので、あれから2日です。
屋上から脱出する為には死亡フラグの代わりに腐りかけのフラグを立てねばならなかった私は世界の男性諸君を攻めと受けというツーパターンで見る視点を得ました。
ですが彼には劣ります。
井上君は異次元を駆け巡る神速の腐男子。
一瞬で属性まで判断が出来るそうです。
だがそれだけでは終わらない。
「おいボサッとしてんな。早くアイスティー持って来い。」
はいはいガムシロップ二つでござんすね。
何してるかって?
井上先生の奴隷だよッ!このピーーーー(自主規制)
井上レイナ。
突如として現れ数々の賞を総なめにし、代表作『ヘッドロックで捕まえて』により同じくBL作家で『珍情ロマンピカ』で名をはせた小村秋菊先生と共にBL界の金字塔を打ち立てた彗星。
そのとおり井上君のことですね。
現在彼の仕事場で雑用させられています。
バイト代は一時間1000円。
資料集めとかもさせられています。
だがまだ熟しきっていない私にはBL小説をレジに持っていくのが苦痛です。
もう少しだけBL感を内に秘めたままにできないかなぁ。
熟しすぎた皆さんは家族に隠すの大変だろーなー。
「先生明日はB組とC組で合同の体育がありますのでチャンスかと。」
「んじゃ学校の用意しとけ。双眼鏡忘れたら五ページ音読だから。」
それぐらい自分でなんて言えません。
音読とはBL小説を読まされるってことです。
なんかもうビショビショになる。
いや手が。手汗でね。
だから先生の言いつけは絶対。
あの人神にも責任を持たないから。法律と神の上にたってるもん。
「夜中のアニメ録画したら帰っていいから。」
「うっす。では学校で。」
「お前は馬鹿なの?死ぬの?荷物もちだよ。」
それの元ネタしらねぇよ。
自給1000円じゃ足りない。ゲームみたいに草むらに金落ちてないかなぁ。
うんざりしながら管理人のお兄さんに挨拶してエントランスに向かう。
「お気をつけて。」
くそっ30代間近の色気が見にしみるぜ。
明日の事を考え辟易としながら私は家に帰った。
ちなみに管理人さんは腹黒敬語ドSらしいです。
先生が身悶えながら仰っていました。
松宮亜貴
今回の獲得物資
・BLという名の新しい戦闘フィールド
・腐りかけのプライド
・攻めと受けのツーパターンによる新たな世界
井上祭理
今回の獲得物資
・奴隷