彼女の始まり
prologue
どこまでも白い世界に男女がいた
『本当にすまんかった』
男または神というものが女または人に謝っていた
「それはどういう意味でしょうか?」
簡単に神さまの言った事を説明すれば、私は本来死ぬはずてはなかったということらしい
確か私の死因は食中毒だったはず、なのにそれがミスとはどういうこと?
『この書にイタズラされてしまっての』
寿命表と書いてあるそれを見せてくれた
『全て元に戻した筈だったんじゃが』
「私のぶんだけ見逃していた、と」
わからなくはない
他の人は文丸ごと等大幅に変更されているが
私のは、こう変更されていた
88→18
たった一文字、されど一文字である
後70年生きられるはずだった私の人生はこんな、つまらないイタズラのために閉じてしまったのだ
「で、どうなるの?」
『転生じゃ』
「テンプレね。」
私は背を向きながらそう言った。
『それがルールでのぅ』
「本音は?」
『わしもやってみたかった』
は?
いや本音聞いてそんな回答が出てくるとは
『わし、神の中それなりに優秀でな今回の一文字違い以外の間違いはほぼ0なんじゃ』
しかしと神は続けてこう言った。
『わしもミスって転生というやつをいつかやってみたいと考えとった』
まさか
『わざとではない。わしは、そこまで人生に干渉するつもりはない』
「じゃどうするつもり?」
『無論おぬしの望みはある程度叶えるつもりじゃ』
「ある程度?」
『際限なく与えてもそれはつまらんじゃろ?』
「確かに」
「じゃあ私は-」
そして望みを言った
『ふむ、確かにその能力ならば与えられるし、そのように人生をつくることもできるが、理由を聞いてもいいかね』
「理由?簡単よ私は主人公になりたくないの、でも物語に関わりたいのだからそうしたのよ」
『では来世もがんばりなさいな』
「殺した本人いえ本神が言う台詞じゃないわね」
『それもそうじゃな』
…
……
………
「落とさないの?」
『わしテンプレが好きじゃないんじゃ』
「そう、それじゃ行かせてもらうわ」
そのまま歩き出して数歩して立ち止まって顔だけ神様を見て聞いた
「もし、私の知り合いが転生するのなら、」
『するのなら?』
意地の悪い顔をした神を見ながら
「妹にしてくれない?」
きっと、私も同じ顔をしていたのだと思う
だって私は見つけていたから
もう一人ミスがあったのだから
名前は柊アスハ
私-柊美由-の妹だ
再び私は歩き出した。