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たゆとう  作者: そら
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第9話  蛇とマングース

私は三島慎二という、自称「従姉妹」どのに対峙した。


綺麗な英語の発音で、話し合いの邪魔をなさらぬようと、にっこり微笑んでお願いした。


すると三島慎二は器用に片眉をあげ、どうぞ日本語で、とこれまた綺麗なクィーンズイングリッシュで返してきた。


この野郎!


「あら、日本語通じましたかしら?おかしいわ。」


「ねぇ、お兄様、私久しぶりに、ご成人なさっているのに、同じ母国語が通じない方にお会いして驚いておりますの。」


兄に笑顔で話しをふる、後でわかったんだろうな!との意味を込めて。


兄が青い顔で何か言おうとするのを、手でおさえ、しゃべらさせない。


「勿論、お兄様も、もう一度日本語のお勉強なさるべきですわ。大好きなお兄様ですもの。心配ですわ。」


「日本語がこんなに不自由だと私、知りませんでした。アメリカなどで問題になっている外国の移民問題をリアルに日本で同じ母国語のはずなのに体験させていただくなんて。」


「それもお二人!」


それではこれで、と私はさりげなく、だが確実な嫌味を込めて可愛くため息を一つ零しつつきびすを返した。


けれどそれをまた自称従姉妹殿が阻んできた。


「ああ、お話しが理解できなかったんですねぇ。」


「これ以上に簡単な話しはないんですがね。」


そう言って、こちらをみながら上品に微笑み、困りましたね、どうしましょう、みたいな人のよさそうな態度をとりつつ。


「いやあ、これ以上簡単な説明ってどうすればいいんでしょう?」


そう言って心底困りました、という態度をとる。


十中八九、はたからみればいい人バンザイだろう。


けれど、けれど・・・・、ああ~ん、そのオプション、わざとつけてんのか!そうか!そうか、わざとか!!


その態度を裏切って、その目はこちらを心底バカにしているのを隠そうともしやがらない。


私は他人に鼻で笑われるのが大嫌い、あの祖母が唯一褒められるとしたら、うちら兄妹にそれを身を以て教えてくれたことぐらいだ。


まあいい、今は病院に運び込まれたという祖母に、心から更なるショックを誰か与えてくれんものか、と他力本願で祈りつつ、私はくるりと振り返り、再度、三島慎二と対峙した。


第二ラウンド、入らせて頂きます!







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