第19話 再会?
久しぶり?それって会った事があるって事だよね。
私には心当たりがなかった。
そばにいる幸子ちゃんたちが、きゃっきゃって感じに、「今井さんだっ。」て言ってるから、この人が、あの残念な「ケルベロス」というネーミングなチームの総長さんとその一行らしい。
う~ん、ダメだ、わからない。
大体私「ケルベロス」なんてチームと会うような環境になかったし。
ほら、一応「お嬢様」頑張ってたからね。
私の疑問がわかったらしい今井という総長は、私のそばまできて、私を抱きよせるようにすると、私の耳元で、
「あんた俺の目潰そうとして失敗したじゃん。」
そう囁いた。
目?目?何の事?。
すると急に楽しそうなその気配を一変させて、何かを孕んだ熱く激しい眼差しで私を憎むように凝視しする。
「忘れたなんて言わねえよなぁ。俺はあれからお前を思わない日はなかったぜ。俺はお前にがんじがらめで息さえ熱いんだ!」
そう言って私をそのまま強く抱きしめた。
「きゃあ~。」っていう黄色い悲鳴と「おお!」という野太い悲鳴?の中、私は至近距離で今井という男を見つめた。
もう全てがふれあいそうなその距離で、私はその今井の瞳を見つめた。
その茶色いガラス玉のような瞳を。
色素の薄い瞳って色っぽいんだなぁ、と思いながら、私はやっと思い出した。
あの店の喧噪とタバコの匂い。
それとバカ女に、我が兄にボロボロにされても最後まで弟を守ろうとしたこの男の事を。
あの兄の携帯で私を呼び出した、あのバカ男だった。
あの店の支配人は「できる」男だったな、とついでに思い出した。
すると今井は、まるで私が何を考えたかわかったように、更にその瞳を剣呑とさせ、
「他の男のこと考えてんじゃねぇよ!」
そう言って私をその大きな体で、今度こそ隙間なく抱きしめてきた。