第17話 挨拶は基本、のはず
1年3組のクラスに、担任の白石先生と入っていく。
予想通りの、何と言うか自由な方々だった。
机と椅子はどこにあるの?そんな感じの教室。
床に直接座って、カードをやっている人たち。
どんぶりにあるサイコロを振っているのを、取り囲んでいる人たち。
その周りに散乱している、お札や硬貨も無秩序さに更に輪をかけているようにしか見えない。
女の子たちも、そのまま床にすわりこんで、メールや化粧に余念がない。
私がさすがにあきれて見ていると、担任の白石先生が、今日はちゃんと、転校してくる私のために、こうやって揃ってるんだから、カワイイもんだ、と私をからかうように見て言った。
ふ~ん、この担任、どうも私がお気に召さないようね。
お互い様って言葉が、最近好きだわ。
どうしようか?と思っているうちに、白石先生が大きく声をはりあげ、こちらを見るように言う。
ふ~ん、教室にいる生徒らしき残骸どもが、それなりに白石先生の声に反応している。
この担任には一目置いているってわけね。
さて、私はこの残骸どもに、どういう感じでいこう。
そのままお嬢キャラ通して、様子見でいいか。
何せ、このお嬢キャラ年季が入っているからね。
ちょっやそっとじゃ崩れる事はない。
私は残骸どもの方に、まるで信じられません!的な顔をして、フルフル感を忘れずに、一番最初の自己紹介を、小さな怯えまじりの震えそうな声で言った。
「聖泉女子学園から、転校してまいりました、しの・・、いえ三島薫でございます。いろいろとお教え下さると助かります。どうぞよろしくお願いいたします。」
優雅な所作を心掛け礼をしながら、心の中では、ええ、本当にいろいろ教えてもらいましょうか、そう思い笑っていた。