一通のラブレター
部活で、初めて心を許せる友達ができた。
その子は、とっても大人しくて、タイプであった。
けれど、その時の僕にあまり接点もなく、単に部活動が一緒ってだけだった。
とある日からなぜか彼女と日に日に目を合わす事が多くなった。
ただでさえ、目を合わす事さえなかった僕にとって、それは願ってもないチャンスであった。
記憶の奥底には彼女の笑顔で埋め尽くされていた。
一緒に帰る事もあれば、一緒に話す事もあった。
…だから、フラれた時…
僕は、彼女のメールアドレスを、友達に聞いて告白をした。
けれど、彼女の返答はNOであった。
…僕は、確かに彼女をあきらめる決心はあったが、その次に届いたメールは、僕を地獄の底へと引きづり下ろした。
今日話したOO君ね、「気になっていました、好きですハート」とか送ってきたんだよ、キモくない?
…間違って友達に送ったメールが僕に届いたのだ。
その内容は、かなりひどい物で、彼女の心は僕を嫌っていたと悟った。
…まあ、仕方ない。これも…元々わかってたんだ。
部活でも、話をかけるのは僕の方であった。
あまり話す時間さえなかった僕にとってはその時間はかけがえのない記憶。
「…なんで…、クッ…ソ・・・」
わざとだ。
きっと、そうなんだ…。
そうに違いない。
彼女は…アイツは、僕を嫌っている事をわざと知らせたんだ。
僕は傷ついた。何も考えられないほどに…。
中学生の時、僕はいじめを受け、友達さえ満足にできない状況でようやく高校という新しい道へのきっぷを手にした…というのに…。
好きな人からの、たった一通が…今の僕には心底…悲しく感じた。
メール内容を見れば、本当にムカついて来るような内容だ。
確かに、僕はメールに ハート をつけた。
これまでに付けた事のない…絵文字。
僕がそれを付けたのは、彼女のメアドを教えてくれた友達からのアドバイスだったからだ。
…もしかして、グル?
僕を陥れるための?
何のために?僕はもう、退部してしまった彼女には会えないというのに!?
何が…何が…。
僕にとって、唯一の居場所…それは、心の安らぎと言える、僕を嫌わない場所…。
それが、高校であったというのに・・・。
ああ、何も知らないんだ。
苦しみさえ、憎しみさえ、自分さえよければすべて丸く収まるんだ。
今になって、僕は悲しみを覚えた。
まるで、クモだ。
クモは、幼虫を育て、愛情よく育てる。
それは、紛れもなく自らのエサに有りつくためだ。
まったく、彼女はそれに比例する。
熟するまで時間をかけて…苦しみ、絶望する様を単に見ていたいだけなのだ。
ああ、そうかそうか…だったら、勝手にしろ…。
僕が好きだった人は、僕が憎しみを持つ人へと変貌した。
…さようなら…。
「死ね」