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10話 目敏くても大丈夫!

「私は……多分だけど、これだよね」

「そう、菊の中心に蔦を模してみたんだ。見て分かるかもしれないけどイメージはアイビー、いつまで経ってもカイリとの絆が途切れないように願って掘ってみた」

「能力は簡易的な思考の共有と並列思考補助かな。確かに今の私が苦手な分野だもんね……本当に嬉しいよ、ありがと」


 一緒に生活すれば嫌という程に悪い点が目立つ。

 特に後方支援を任されている俺からすれば戦闘面での弱点は分かりやすく見えるからね。どこをどうすれば連携が取りやすいか、戦闘の荒さを解消してやれるか……どれだけチート能力を持っていようとも改善点が無いなんて有り得ない。

 だから、俺がするのはそこを見つけだす事。

 見つけた上でアプローチをかけて、直し切れないのなら補助具で上手く出来るようにする。やりもしないで出来ないとは認めたくないし、やって出来ないのなら出来るようにしてあげれば他にするべき事も無い。


「折角だし、他の物も見るか」

「うん……紫色の蕾みたいなものと黄色い花、それに四葉のクローバーかな。どれも共通して思考の共有が付与されているみたいだけど……花の感じからしてフィアナ、アリス、クロムって予想してみるけど、どう」

「おー、正解正解」


 そういうところは共通認識なんだなぁ。

 まぁ、魂という一点に置いては変わらずに兄妹のままなんだから感性に差が有り過ぎる方がおかしいんだけど。いや、兄妹と括ってしまうと友達に怒られそうだな。そう、魂から繋がるソウルメイト、もといソウルファミリーには分かって当たり前の事実だ。


「一つ目にフィアナ、これは菊の中心にヤハズソウをイメージして作った。まぁ、これはダジャレなんだけどさ」

「ああ……源氏輪に並び矢の矢をイメージしたって事かな。確かに、あの子は忍びや武士を重宝しているけど……その憧れの対象が服部半蔵でいいの?」

「ヤハズソウの花言葉は素直な心だよ。あの子程、素直にいられる存在は知らないからさ。それに信頼って意味合いもある。だから、ピッタリだと思って選んだんだ。この魔道具への付与効果は連撃、二十秒間に魔力を帯びた攻撃を与える度に火力を増加させていく力だよ」

「ふーん、そういう意味ならそれでいいや」


 割合で言えば1.1倍、でも、そこじゃない。

 フィアナの一番の強みは他者を寄せつけない速度と手数の多さだ。連撃の強化は無限に続くし、効果が消えるのも魔道具へ魔力を注ぐのをやめた時だけ。要は連撃に失敗しても火力が減少するなんて事も無い。単体でも小さな街の年間収入ですら購入出来ない価値の代物だと思っている。

 ってか、本当に分かるとは本気で驚いた。

 確かに歴史好きだからって、不必要な知識まで教えはしたけど覚えているなんてね。そこら辺も本当に俺と話を合わせられるように勉強したとかなのかな。だとしたら、済まない……俺の知識はゲーム依存なんだ。




 と、馬鹿な考えは後回しにしよう。


「二つ目にアリス、これはナズナだね。無邪気なアリスにはピッタリだと思って選んだんだ。まぁ、他の花言葉も理由としてはあるんだけどさ」

「あの子の性格からして……そっちも意味合いとしては強そうだけどね。まぁ、付与している能力も吸血と魔素吸引だから本当に根本的な部分の強化をしたかったんでしょ」

「そりゃあね、アリスは強いけど単体になった時には仲間を無視した攻撃しか残らなくなる。本当はそういう部分の改善をしたかったんだけど、それをするのも彼女の良さを消すような気がして嫌なんだよね」

「うーん……本当に厄介ファンみたいだよね。下手したらカプ厨よりも酷いんじゃない。あの子はあの子なりに頑張っているんだよ」


 頑張るけど上手くいかない、それも良さだ。

 可哀想は可愛いとまでは言わないけど、本気の努力が実らない愛らしさくらいは覚えてもいいだろう。それを否定する人は貧乳を気にする女の子を見て愛らしいと思わないのと同義だ。ハッキリ言おう、そんな男とは性格が合わん。

 ってか、伊達家とか畠山家とか言わないんだな。

 服部半蔵がどうとか、忍として有名だけど普通に武士としても活躍しているとか理解した上で言ったと思うんだけどな。いいや、そういう話を持ち出す事自体がおかしな話か。そういう事をしているからドン引きされるんだぞ。イキって黒板の訂正をした時の地獄を忘れたのか。


「三つ目にクロム、これは言わずもがな、四つ葉のクローバーだね。これには幸運という意味合いを持たせているんだ」

「……本当に幸運を付与しているんだね。まぁ、最前線に立つ盾役だから当たり前なんだけどさ……あの子が簡単に負けると思っているの」

「違うよ。でも、お守りだと言えばクロムは本気で力を行使出来るだろ。要は心持ちの話だ。例え、付与した力がラック値を最大まで上げるだけだとしても本人は気にせずに喜ぶよ」


 そう、これだけは変なスキル付与はしなかった。

 それだけクロムの体は異質だし、下手な事をして邪魔になるものなんて作りたくないからね。あの子だけは魔道具を作る時には逐一、使い勝手を聞いていたくらいだから。まぁ、強い人には強い人なりの悩みがあるといったところだろう。


「ところで、ここにあるのが全部なの。四つ、どれもに違う花が中心に掘られているけど……お兄ちゃんのはどこにあるの」

「俺は……ほら、未だに勇者パーティーにいる事を許していない人がいるからさ。下手に刺激をしたくなくて作っていないんだ。それに俺の分を作ってしまえば他の魔道具の妨害になる可能性もあるからね」

「……別に有象無象の言葉に耳を傾ける必要なんて無いのに。守られるだけの存在が何を口にしようと選ぶ権利は私達にある。剣も振るえない存在に兎や角と言われても気にしなくていいんだよ」


 それは暗に俺が有象無象を気にしている、と。

 はぁ……別に否定出来ないのが嫌なところだな。有象無象とはいえ、ソイツらの意見が大きく反映されるのが社会だ。排斥するべきという声が挙がれば容易に消されるのも事実……どれだけ力を貸そうが邪魔となれば消そうとするのは人としての性だと思っている。だから……俺は、俺達は人というのがあまり好きではない。


「むしろ、良い機会だし、殺しちゃおっか。多少は間引いておかないと不和に繋がっちゃうからね。ほら、最大の敵は無能な味方だって言葉があるくらいだし」

「やめとけ、それをするのは勇者じゃない」

「だけど……ほら、よく聞くでしょ。強固な港町や堅城が落とされた原因は馬鹿げた鍵の閉め忘れだったとかってさ。もしも、それが恣意的に起こされでもしたら怒るとかで済む話じゃ」


 無意識にイヴリンを抱き締めていた。

 何が……そんな事は俺には痛い程に分かっている。既に赤く染まった手だとしても汚して欲しくないと思うのは兄としてのワガママだろう。だけど、俺のために手を汚そうとするのは絶対にゴメンだ。そんな事をされるくらいなら静かに全てを消し去るだけで済む話だからね。


「そのために俺がいるんだろ」

「……うん、ごめんなさい。ちょっとだけ考えたくない事が頭を過ぎっちゃったんだ。仮に、だとしても起こってしまった時には……本当に何をするか分からなくなっちゃうから」

「起こらないよ。だって、俺は兄なんだから」


 勇者の力は絶対、それは世の理だろう。

 だって、話に聞く魔王はそれだけの脅威だし、その配下だって簡単に倒せる存在ではないだろうからな。だから、その程度を簡単に倒すために俺のような無能がいる、足手まといがいる……微力な手助けが生き残るための糧となるのなら喜んで命を燃やそう。


「それよりも明日は早いんだろ。さっさと皆に配ってダンジョン攻略の準備でもしよう。幾ら皆でも油断していれば死ぬ可能性だって高まるよ」

「その時は……皆、お兄ちゃんが助けてくれるんでしょ」


 そのニヤケ顔は本当に変わらないままだな。

 とはいえ、確かに大切な人が危険な状態となっているのであれば間違いなく助ける。その時点で否定なんて確実に出来なくなるのだから本当にタチが悪い話だよ。でも、全て男任せの女の子になって欲しくないから一言だけ伝えておく。


「助けるけど、自立しない女の子は嫌いだぞ」

「うん! 頑張る!」


 なるほど、真意は伝わっていないらしい。

 けど、面倒だから変に口を開くのはやめておいた。俺の右腕に手を回してくるとかいう変な行動をし始めたけど、それはそれで機嫌が良くなったのならそれでいい。これで監禁コースは無くなったからね。




「明日はずっと一緒に居られるね!」


 どうやら、監禁ではなく軟禁コースらしいです。

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