タイミング
デートの練習に付き合う日
当日…
全然乗り気しねー…
だるー…
あー、でも待ち合わせの時間だ。
行かなきゃだ。
乗り気しないまま、待ち合わせ場所へと向かった。
今ごろ高梧は、ウキウキなんじゃね?
もうすぐ実来と付き合えるってさ。
…
乗り気しないまま、待ち合わせ場所に到着した。
「おはよう実来」
「おはよ〜。どう?かわいい?」
ワンピースを着て、ひとまわりする実来。
「かわいいね。てか、デートの練習ってことは…もう付き合ってたりすんの?」
「ううん。」
…
まだ付き合ってなかった。
けど、これは時間との勝負みたいなもんだろ…
と言いますか…もう無理なんだよ。
こればっかりは、諦めて応援するしかない。
「実来さ…もうデートの約束は、したの?」
「もちろん」
即答だった。
付き合ってないけど、デートの約束は、バッチリだった…
「で、デートってどこ行くの?」
「それが、まだ決まってなくてね。わたしは、一緒にいられたらどこでもいい…の」
めっちゃ好きやんけ…
一緒にいられたらいいとかさー…
もう、大好きやん…
「実来が高梧をそんなに好きなんて知らなかったよ」
「え?高梧くん?好きじゃないよ。友達としてなら好きだけど」
「じゃあ、だれを好きになったの?」
実来は、恥ずかしそうにかわいいキーフォルダーをだしてきた。
「このキャラだよ」
⁉︎
こ、これは…
「あー…そう…なんだ」
「なによ?今バカにしたでしょ?そもそも理玖夜は、どうなのよ?好きな人いるとか全く聞かないけど」
…
いや、オレはそもそもあなたに中学のとき告白してございますがね。
「オレは、中学の時告白してフラれてるし」
実来は、目を見開いて
「はぁ⁉︎ほんと?えっ…知らなかった。ぜんっぜん知らないんだけど⁉︎だれ?だれに告白したの?」
と、せめたててきた。
…
いやいや、あなたですが?って言いたかったよね。
…これはガチでオレの告白を過去に気づかなかったやつですね。
「だれだれ?」
と、せめたてる実来。
…
「だれかは、教えない」
「えー、てか教えないってことは、今でもその人のこと好きなんだ⁉︎」
…
「うん」
「えぇー‼︎一途ー‼︎ヤバー、すごー」
…
「で、だれ?」
…
さっき教えないって言ったのになぁ…
「秘密」
「教えてよー…」
「なんで?そんなに気になる?」
「うん、知りたい‼︎」
「オレのこと、そんなに好きなんだ?」
…
「えっ?理玖夜を…わたしが?それはないでしょ…」
と、いいつつ固まる実来。
そして立ち止まり遠くを見つめだした。
「おーい、実来ー?」
オレの言葉にハッとした実来は、
「あー…なに?」
と我にかえったっぽい。
「どうかした?」
「あ、ううん。なんでもない。」
「やっぱりオレのこと好きなんだ?」
「は?ないよ。」
「ふーん。オレは好きだよ」
言ったー‼︎
ついに言ったぞー‼︎‼︎
これで通じるはず…だったのに実来は、
「幼馴染としての好きでしょ?わたし、ちょっとトイレ行ってくるー」
と、走って行ってしまった。
幼馴染としての好きじゃないのに…
訂正する間もなく、走って行ってしまった…。
さっき…一瞬固まったのは、めっちゃトイレしたかったから?
いつからトイレ我慢してだんだよ…
まったく…
はぁ…それにしても、またスルーされたな。
オレって、どうやっても告白がうまくいかないんだよなぁ。
もうさ、この際手紙でも書こうかな?
…
実来の場合…それもスルーされる可能性もありそうだな…。
まあ、でもです!
実来が高梧と両思いじゃなくてよかった〜。
かわいいキャラに恋しててよかった〜。
って、安心したんだけど…
なんだか実来の様子がへんですね?
トイレから帰ると…なんか目が少し腫れてるっていうか…泣いたみたいな感じだったんだよね。
どうしたんだろう?
お腹痛すぎて泣いたとか?
これは…聞いてもいいのだろうか?
でも…デリケートな問題だし…
「あのー…実来…その…大丈夫?」
恐る恐る聞いてみた。
「え、うん。大丈夫!てか、アイス食べよ‼︎ね!」
と、アイスコーナーへと連れて行かれた。
お腹…大丈夫なんかな?
オレの心配をよそに、実来はダブルでアイスを注文して、ペロペロと美味しそうに頬張った。
安心して、フッと笑うと実来も笑い返してくれた。
でも、その笑顔がなんか…いつもの笑顔ではなく、無理しているようにもみえた。
トイレで何があったんだ⁉︎
実来は、アイスをあっという間にたいらげて、たこ焼きからのラーメンからのお好み焼きとフルーツ飴のテイクアウトまでしていた。
帰り道たくさんの食料をみてオレは、
「それって…デートでひかれないか?」
って、つい口走ってしまった。
「…なぎるくんは、そんなことじゃひかないの。そもそもアニメのお方だからデートとか、なかなか難しいし。でも…いつかなぎるくんみたいな彼氏みつけるんだから‼︎今にみてなさいよ!」
と、息巻いていた。
なぎるくんみたいに、オレも真似したいけど…そもそもオレは、なぎるくんみたいにスポーツ万能ではない。
なんなら、髪色も…シルバーとかムリ…
てか…実来?
あれ…これはやらかしてしまったっぽいぞ。
「ごめん、実来はたくさん食べるところがかわいいんだよな。だから、買いすぎとか言ってごめんって。泣くなって」
「うゔっ、な、泣いてないからっ…ほんとこれは、嬉し涙なんだし…っだいたいそのくらいじゃ泣くわけないしっ、わたしはそんなに弱くないんだから」
…
どうしたと言うんだ?
トイレから帰ったあたりから、情緒不安定な気が…するって…
あ、もしかして女の子の日か?
これは…そっとしとくべき…だよね?
「実来、体調悪かったならいいなよ?」
「ゔっ…グスッ」
結局…実来は、家に着くまでずっと泣いていた。
「荷物、これで全部だと思う。部屋まで運ぶ?」
実来は、フルフルと無言で首を振った。
「じゃあ…な?元気だしなよ?」
実来は、泣きながらうなずいた。
そんな実来に、オレは元気づけようと笑顔を見せたんだけど…
その顔をみるなり、実来がメチャクチャ泣き出した。
土砂降りくらい大泣きした。
「え、マジでどうしたんだよ⁉︎」
…?
あまりに実来が号泣するから、どうしていいかわからなくなって、その場にただとどまっていた。
「ひどいよ」
ん?
今…ひどいよって言わなかった?
「今さ…ひどいって言った?」
「言った」
⁉︎
「なんで?」
「だって、だって好きな人教えてくれないし、いつのまにか告白とかしてさ…わたしの知らない理玖夜がいて…」
「え?それでずっと泣いてたの?好きな人教えないから?」
「うん」
…
え、じゃあ…それって…そんな泣くって…
「実来、やっぱりオレのこと好きだったんじゃん」
「ううん」
…
そうじゃなかった。
「じゃあ、なんでそんなに泣くの?」
「だって、ずっと好きじゃないって思ってたのに…だれかに告白したって聞いたら、なんか涙とまんなくて…だから…」
「だから、オレのこと好きなんでしょ?」
「ぅゔっ…そうなの?それってそうなの?」
「そうに決まってるよ。実来は、オレが好きだから涙止まらないんだよ?」
「でも、だから…優しくしないでほしい。」
「なんで?」
「だって、どんどん好きになっちゃうから」
「いいよ。好きになりなよ」
「報われない恋なのに、なんでそんなこと言うの?」
「だって、オレが好きなの実来だから。中学のとき、告白したでしょ。好きなんだって。そしたら、実来はこの曲わたしも好きとか、唐揚げのにおいわたしも好きって言ってさ、オレ…はじめは、はぐらかされてんのかなって落ち込んだかんな」
「えっ⁉︎わたしに告白してたの⁉︎」
「うん」
…
「そっか。でも…中学の頃は、ごめんなさいしてたかも。好きって気づかなかったし…でも、今は好き‼︎泣いちゃうくらい大好きなの。だから…だから…」
「うん、オレも大好きだよ。だからもう泣かないで?」
「ぅっ…うんっ」
ようやく実来が笑ってくれた。
挙句に、やっとおもいが伝わった。
誘導尋問みたいになってしまったけど、でもこれが一番わかりやすかったのかもしれない。
髪色シルバーにしなくてすんでよかった。
「これからよろしくね、実来」
「はいっ。」
実来の涙を拭い、顔を見合わせ笑い合った。
「やっぱり実来は、笑ってるのが一番だね」
「ほんと?」
「うん…あ、でも大口あけて爆食いしてるところもかわいいよ」
「はぁ?そんなのヤダ‼︎」
「いいじゃん、かわいいんだし。今度またワンピースきて、オレの彼女として大口あけた大食いみせてね♡」
「ヤダ‼︎わたしだってかわいい口できるもん‼︎」
「どんな?」
「こんなっ…」
チュ♡
「かわいい口いただきました♡」
「不意打ちとかずるいー」
「なら、もう一回しよ?」
「いいよ」
チュ〜♡
こうして、やっと結ばれました♡
もしかしたら、タイミングが悪ければまだ付き合えてなかったオレたち。
なんなら、フラれていたかもしれない可能性大…
やっぱり、タイミングってすごい大事ですね♡
おしまい♡