なに顔?
くだらないことばっかり言ってるオレたちは、なぜかいきなり合コンという場にいる。
三、三で向かい合い腰かけ…
「えっ?実来⁉︎」
「あー、理玖夜じゃん」
…
「あ、二人って知り合い?実来ー、こんなイケメンいるなら早く言ってよ〜」
「理玖夜、かわいいコ友達なんじゃん‼︎早く言えよ〜」
と、お互い褒められて浮かれた。
そもそも二人は、ただの仲間内の食事とだけ言われていた。
メンツ合わせ動員で、騙されたと帰ろうとしていたが、褒められてそんなことすら忘れた模様。
顔を見合わせ、フッとお互い笑った。
「えっ、二人は仲良いの?もしかして…付き合ってる⁉︎」
「「ううん、幼馴染」」
…こんなところでハモりたくない。
合唱とかで、きちんとハモりたい。
って、なわけないじゃん‼︎
オレはこっそり実来に耳打ちした。
「実来、彼氏欲しいんだ?」
「理玖夜こそ」
…
早くもそれぞれの友達は、仲良くなりつつあった。
オレたちは、孤立しつつ小声でヒソヒソ話した。
「てか、友達…知らない人ばっかりなんだけど?」
「あ、習い事してた時の友達」
「なるほどな、オレもフットサル仲間なんだよ」
「なるほどねー」
と。
…
「やっぱり二人って付き合ってるよね?」
一気にオレたちに視線が集まった。
「「ううん」」
そしてまたハモった。
オレたちの様子をじっとみていたのは、実来の斜め前に座っている高梧だ。
高梧は、どうやら実来を気に入ってしまったみたいで、やたらと実来に話しかけていた。
たぶん…いや絶対に実来は、そのことに気づいていない。
オレはすぐに気づいたけどね。
高梧って…
なかなかのイケメンだし、前髪が目にかかるんだよね…。
まぁ、オレほどのイケメンじゃないけどさ?
でも、タイプってそれぞれあるじゃん⁉︎
塩顔とか、ソース顔とか。
そもそも実来って…なに顔が好きなんだ?
オレは、どっちかといえば塩っぽいって言われるけど…
高梧は、ソースよりかな…
…
実来と高梧のやりとりをみているのが苦痛なオレは、ジュースをとりに席をたった。
すると実来が、
「わたしが美味しいドリンクおつくりいたしますよ」
と、怪しい感じでやってきた。
どんな調合されるのか不安だったから、もちろんお断りした。
ドリンクを注ぎながらオレは実来にそれとなく、なに顔が好きなのか聞いてみた。
塩?しょうゆ?まさかソースじゃないよね⁉︎
ってさ。
あえて、一番最初に塩をチョイスいたしましたよ。
するとまさかの…
えー…なに顔って…塩と醤油にソース…とかあったよね…あ、ピザにバジルソースとか美味しいよねー、あと揚げ物にはタルタルだよねー。あ、ポテトにケチャップ美味しいのに追加忘れてた。って…席にかえっていった。
美味しい…
もう、なに顔とかじゃなくなっている。
たんに好きなソースを言ってますね、この人は…
頭ん中、食べ物でいっぱいやんけ…
みんなは、恋人をつくりたくて集まったっぽいけど、オレはそもそも合コンとは聞いていなかったんだけど…
実来もどうやら、食べることがメインだったっぽい。
この後、みんなで歌おうぜってなり別の場所に移動したんだけど…高梧は、やっぱり実来のとなりを陣取っていた。
実来と高梧は、二人で身を寄せ合い話していた。
だれかが歌っていると、耳元で話さないと聞こえないもんね。
それにしても…
なに話してるんだかなあ…?
オレも実来と隣になりたい。
そして合唱…は、したくないけどもさ‼︎隣がよかったのに‼︎
…
結局…高梧は最後までずっと、実来の隣をキープしておりました。
「「「「「「じゃあねー」」」」」」
個々に解散になり、実来と帰ろうとしたら、高梧が実来に送るよと言い出した。
あー、二人って…もうそういうこと?
二人は、いい感じになったんだ?って、血の気の引いたオレは身を引くしかなかった。
そんな高梧の言葉に実来は、
「ううん、方向真逆だし…それにわたし、理玖夜と帰りたいの」
と、オレを望んでいるみたいにみつめた。
…
「オレは、構わないけど…」
「やった!なら、高梧くんごめんね。」
軽くフラれた感の高梧は、わかったといい別方向に歩いていった。
「実来…よかったの?」
「え、うん。アイスこの前奢ってくれるって言ってたでしょ?だから一緒に帰らなきゃじゃん」
って、食いしん坊発言して笑う実来がやっぱり愛おしかった。
選んでくれたのは、オレじゃなくてアイスだけどさ。
「アイスか…ナイスだな」
「ん?」
「なんでもなーい」
「へんなのぉ」
こうして、オレはアイスのおかげで高梧に勝利したと思ったんだけど…
数日後、実来がオレにとある相談をしてきた。
続く。