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新たなパートナー


 アマゾナイトノベルズ様より2026年2月3日配信開始!

 『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』 第2巻!


 ぜひぜひ応援よろしくお願いいたします!



 新たなパートナー、高坂恒一からの連絡はあまりにも事務的だった。


 用件だけを切り出し、感情的な修飾は一切ない。


『会う前に条件を確認したい』


 ただそれだけが最初の一文だった。


 提示された条件は私にとって、もはや見慣れたものだった。


『代理出産』

『妊娠期間中の生活管理』

『出産後の完全な親権放棄』

『金銭以外の関係性は一切持たない』


 金額は2億円。


 分割ではなく、段階払い。妊娠成立時、一定額が即時に支払われる。


 交渉の余地はほとんどなかった。


 だがマシューやルーカスと違い、高坂は一切の「試す言葉」を投げてこなかった。


 人格評価も、説教も、心理操作もない。


 あるのは最初から最後まで一貫した合理性だけ。


――必要だから選ぶ。


――それ以上でも以下でもない。


 私はその乾いた態度にむしろ安堵すら覚えていた。


 感情を求められない。期待も、失望も、起きようがない。


 ここにはもう、傷つく余地がなかった。


 対面で会った高坂は、穏やかな男だった。


 年齢は四十代半ば。身なりは控えめだが、細部に金が掛かっているのがわかる。


 彼は私を見て何も言わなかった。


 容姿の評価もなければ能力への感嘆もない。


 浮遊能力についても医学的・遺伝的な確認事項として淡々と質問しただけだった。


「感情的な負担を減らすため、妊娠中は極力接触しません。そして契約違反がない限り、こちらから干渉することもありません」




 それは冷たいというより、完全に割り切った態度だった。


 契約書は分厚く、内容は明確だった。


『妊娠成立をもって契約は本実行段階へ』

『妊娠中の生活環境は高坂側が全額負担』

『出産後、正式な対価が支払われる』


 つまり、今はまだ「途中」。


 それでも私は迷わなかった。


 妊娠までの過程はまるで医療実験のようだった。


 指定された海外の医療機関。


 生活リズム、食事、ホルモン管理。すべてが数値化され、管理された。


 私は「母体」として扱われ、個人としての感情や希望は最初から想定されていなかった。


 だが、それでよかった。それがよかった。


 どうせ、私なんて誰でもいい。だったら、一番高く売れる場所でいい。


 そう考えることで、私は自分を保っていた。




 数週間後、妊娠判定の日が来た。


 医師の口から告げられたのは、簡潔な一言だった。


「妊娠が確認されました」


 その瞬間、私の胸に湧いたのは、喜びではなかった。


 達成感でも、安堵でもない。


 ただ、一つの工程が完了したという感覚だけ。


 同日、指定口座に振り込まれたのは契約どおりの「妊娠成立時報酬」。


 通帳に印字された金額は、これまでの人生で一度も見たことのない数字だった。


 これで、私はもう“負け”じゃない。


 そう思った瞬間、胸の奥に微かな高揚が生まれた。


 それは幸福とは程遠く、むしろ「優越」に近い感情だった。


 たった数年で、誰かの生涯年収を超える。


 その考えが私の中で、はっきりと形を持ち始めた。


 妊娠中の生活は、静かで、過剰なほど整っていた。


 高級マンション。専属スタッフ。何不自由ない日々。


 だが同時に誰とも深く関わらない日々でもあった。




 お腹の中で命が育っているという実感は、ある日突然、強くなった。


 夜、無意識に腹部に手を当てている自分に気づき、私は一瞬だけ戸惑った。


 だがすぐに、手を離す。


――これは、商品。


――感情を持つべきじゃない。


 そう自分に言い聞かせた。


 それでも「もう戻れないところまで来た」という意識だけは日ごとに強くなっていった。


 そして私はこの妊娠を誰かに誇示したくなっている自分に気づいてしまう。


――私は、選ばれた。


――私は、稼げる女になった。


 その思いがやがて致命的な一言となって、刀理へと向かうことになる。



 お読みいただきありがとうございます。


『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』 第2巻!

 2026年2月3日 アマゾナイトノベルズさま より配信開始!


 悪役令嬢が現代日本に逆転移!?

 戸籍も、頼りも、お金も、住処すらない絶望的な状況。

 しかも「人を一生愛せない呪い」まで掛けられていて……。


 ぜひぜひ応援よろしくお願いいたします!


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『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』
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 配信日:2026年1月6日
 アマゾナイトノベルズ様より



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