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あの言葉の再評価


 アマゾナイトノベルズ様より2026年2月3日配信開始!

 『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』 第2巻!


 ぜひぜひ応援よろしくお願いいたします!



 世界は相変わらずうるさかった。


 スマホを開けば、そこには賛否というより評価が並んでいる。


 人が人をどう値踏みするか、その見本市みたいな光景だった。


『よくやったと思う。叩かれすぎ』

『女が自分の価値を最大化して何が悪い』

『男だって同じことしてる』


 擁護の言葉は、たしかにあった。でも、それらはどこか薄っぺらかった。


 まるでテンプレートを貼り付けたような言葉。


 誰に向けたものかもわからない正義感。


 一方で、圧倒的に多いのはこちらだった。


『金に目が眩んだFBBA』

『計算高すぎて引く』

『馬場茜 ババア カネ』

『承認欲求の化け物』


 それらはもう驚くほどでもなかった。慣れてしまった、というのが正しい。


 ただ、胸の奥が冷えていくのを感じていた。


 一番堪えたのは味方だと思っていた層の沈黙や反転だった。


 これまで「女性の自己決定」を掲げて声を上げていた人たちが、金額と条件が具体的になった瞬間、急に距離を取り始めた。


『さすがにそれは違う』

『フェミニズムを盾にしてるだけ』

『他の女性の印象が悪くなる』


 その言葉を見たとき、私はようやく理解した。


――ああ、ここでも私は“象徴”だったんだ。


 誰かの思想を正当化するための材料。


 都合がいいときだけ持ち上げられて、都合が悪くなったら切り捨てられる。


 結局、誰も私を見ていない。


 たとえツイフェミでなくても、叩きやすいレッテルと勝手に一緒にして叩く。


 それをよくわからない人間がわからないまま理解しようとせず、とりあえず叩く。


 そうやって叩いて快楽を得られればいいだけの人間が腐るほどいるのが現実だ。


 そして叩きやすければ叩きやすいほど良質なサンドバッグが私だったというわけ。


『浮遊能力を持つ女』

『炎上中の女』

『金を欲しがる女』


 レッテルだけが一人歩きして、私そのものは最初から存在していなかった。


 そう思った瞬間、外部の評価というものが、急に信用できなくなった。


 褒められても怖い。擁護されても裏がある気がする。叩かれるのは論外としても、どちらに転んでも私は“消費されている”。


 それが、はっきりとわかった。


 そして恨みも浮かび上がった。


 私とは関係のない、ツイフェミなんて一部のバカな女がいるから私も一緒にされて叩かれたのだ。


 女の敵はやっぱり女だった! 死ね! ツイフェミ死ね!


 私はスマートフォンを伏せ、深く息を吐いた。


 そのときふと、ある言葉が脳裏に浮かんだ。


「能力そのものよりも、それを持つ人間の資質のほうが重要だということです」


 マシューがあのとき言った言葉だった。


 あの外国人男性。淡々としていて感情をほとんど見せなかった男。


 当時の私はあの言葉を冷酷な切り捨てだと受け取っていた。


 資質? 何を今さら綺麗事を。


 そう思っていた。


 だってマシューは最終的に私を選ばなかった。


 知能や性格が遺伝する可能性があるなら、やめておく。


 そう私を全否定して躊躇なく席を立った。


 だから私は「上から目線の合理主義者」「女を数字で見る男」そうラベリングして、心の中で彼を切り捨てた。


 でも、今は違った。


 ネットの喧騒をひと通り見たあとで、あの言葉を思い出すと、まるで別の意味を帯びて聞こえてくる。


――知性、性格、資質。


 それは条件でも、能力でも、金額でもない。


 他人とどう関わるか。不利な立場にいる人間をどう扱うか。自分が選ばれる側に立ったとき、何を要求するか。


 マシューは最初からそこを見ていたのではないか。


 浮遊能力が遺伝するかどうか。それ以前に、その能力を持つ人間がどんな選択をするのか。


 私は選ばれる側として、ずっと「どれだけ出せるか」「どれだけ条件がいいか」ばかりを見ていた。


 でも彼は違った。


 どんな人を選ぶかという視点に立っていた。


 その違いに、今さらながら気づいてしまった。


――もしかして、問題は私だったのでは?


 この考えは今まで意地でも避けてきたものだった。


 だってそれを認めたら、ここまでの行動が全部“自分の未熟さ”に帰結してしまう。


 でも。


 誰にも見られていないと感じた今、誰の承認も信用できなくなった今、ようやくその問いを、真正面から考えられるようになっていた。


 私は選ばれる側として、相手に何を見せていたのだろう。


 能力? 金額? 条件?


 それ以外に私は何を差し出せていただろうか。


 マシューの言葉は責めるためのものではなかったのかもしれない。


 少なくとも今の私はそう思えるようになっていた。


 そしてその視線は必然的に、ある一人の男性へと向かっていく。


 合理的でも、条件でもなく、それでも私を切り捨てなかった存在へ。


 それは仕方のないこと。


 だってもうこれ以降、私が出会うすべての男は私をそういう目で見るんだろう。


 だったらもう、私を理解してくれるような男性は今までに私が出会ってきた男性に限られるし、一人しか残っていない。



 お読みいただきありがとうございます。


『現実世界に追放された悪役令嬢はモブを育てる』 第2巻!

 2026年2月3日 アマゾナイトノベルズさま より配信開始!


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 しかも「人を一生愛せない呪い」まで掛けられていて……。


 ぜひぜひ応援よろしくお願いいたします!


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 配信日:2026年1月6日
 アマゾナイトノベルズ様より



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