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27話 卵

「断て、ライディングスライサー!」


 武技を放ち、入り口付近に群がる魔物を吹き飛ばす。

 それだけでは終わらない。


「轟け、炎の舞!」


 ココアの忍術が炸裂して、魔物が炎に飲み込まれた。


「砕け、円月脚!」


 ミレイの武技が炸裂して、魔物が蹴り飛ばされた。


 強引にダンジョンに突入したものの、中も大量の魔物があふれていた。

 核となる魔物を探す暇がなくて、次から次に襲いかかってくる。


「くっ、キリがないぞ!」

「スタンピードの卵とはいえ、数が半端ないわね! どうする?」

「……強行突破でいこう」


 なるべくなら退路を確保して先に進みたい。

 でも、後のことは忘れないと難しい。

 今を乗り切ることだけを考えていこう。


「核がいるところまで、とにかく最短で突撃する!」

「でも、場所は? 核がどこにいるのか知っているの?」

「ココアがいるから大丈夫」

「にゃん?」




――――――――――




「さすがね」

「自分で言っておいてなんだけど、本当にうまくいくとは」

「なんか、素直に喜べないぞ……」


 ココアが先頭を進み、ダンジョンの捜索をすること少し。

 核となっているであろう魔物を見つけることができた。


 三つの首を持つ犬型の魔物。

 ケルベロス。

 地獄の番犬と呼ばれている、Aランクの魔物だ。


 どうしてAランクの魔物が学校のダンジョンにいるのか?

 疑問は尽きないけど、今は後回しだ。


「それにしても、ココアに匂いで探してもらうとか、よく思いついたわね」

「奈落に落ちた時、似たようなことをしてココアが助けに来てくれたから。だから、核となる魔物も探せるんじゃないかな、って」

「あたしは犬じゃないんだけどな……複雑だ」

「でも、おかげで核を見つけることができたわ。あとは……」

「こいつを倒すだけ!」


 核になっている魔物は強化されている可能性が高い。

 それを確かめるために、まずは俺が先陣を切る。


 剣を両手でしっかりと持ち、突撃。

 途中で軌道を変えて、ケルベロスの横を駆け抜けつつ刃を振る。


 ギィンッ!


 ヤツの毛は鉄のように固く、剣が弾かれてしまう。


「うそだっ、ありえない!?」

「学校から支給された量産品とはいえ、強度はしっかりとしているはずなのに……それを弾くなんて、明らかに強化されているわね」


 本来ならAランクの魔物を相手にするのは厳しい。

 俺達は見習いで、ランクすら持っていないのだから。


 それが強化されていたら、普通に考えれば勝ち目はない。

 撤退の一択。


 でも、それはできない。

 ここで核を倒す。

 そして、スタンピードの卵を収める。


 覚悟は決めた。

 だから迷いはない。


「やるべきことをやるだけだ、がんばろう」

「ああ!」

「ええ!」


 今度はココアとミレイが同時に駆けた。

 左右から挟み込むようにしつつ、それぞれ武技を放つ。


 ただ、いずれも鉄のような毛に阻まれてしまう。


 物理はダメか?

 なら……


「来たれイフリート、紅の火炎竜!」


 魔法で焼き払う!


 業火がケルベロスを飲み込むけど、


「……これもダメか」

「「うそだぁ……」」


 魔法に対する耐性も持っているらしく、攻撃が通らない。


「グルルル……ガァッ!!!」


 うっとうしい、というかのようにケルベロスが吠えた。

 怒りを体現するかのように、前足を叩きつけてくる。


 速い!

 そしてタイミングが悪い。


 避けることは不可能と判断して、剣を盾にして受け止めた。


「「えぇ!?」」


 重い!

 剣がギシギシと悲鳴を上げて、今にも押しつぶされてしまいそうだ。


「負けて……たまるかぁ!!!」

「「えぇえええええ!?」」


 ケルベロスの前足を逆に押し返して、その巨体を弾き飛ばした。

 追撃で蹴り飛ばして、ダンジョンの壁に叩きつけてやる。


「「うそだぁ……」」

「ココア! ミレイ! 追撃を!」

「あ、うん」

「なんか、私達の存在意義に悩むわ……」


 なぜか二人は唖然としつつ、追撃をしかけた。

 しかし、やはり攻撃が通用しない。


 壁に叩きつけてやったので、その衝撃で内臓を痛めていたら。

 ……なんて期待をするのだけど、なにも問題ないというかのようにケルベロスはゆっくりと立ち上がる。


 こちらの攻撃は通用しない。

 被害が大きくなる前に倒さないといけない。


 状況は圧倒的に不利だ。

 さて……どうする?

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