Sequence57:好敵手たちは拮抗する
マリンブルーとレッドブレイズの一年生同士による練習試合のファースト・コンタクトは、フィールド外で観戦していたエリオットとサフィアスの予想とは全く別の形で生じることになる。
試合開始と同時に、マリンブルー側の魔術で両ロングに展開された障壁によって、お互いの陣形をミッドに向けてギュッと絞り込まれる。
これは、先んじて行われ、エリオットたち自身も参加していたキングスフィールドとの練習試合での陣形と同様の展開に思われた。
ミッドと両ショートを守る三人が前衛として出ながら、両ロングの二人が後衛としてその支援に回るというお馴染みの陣形である。
それに対応するかのように、レッドブレイズも同様の陣形へと移行していた。
相手のロングを守る選手が中央の支援に回った以上、自分たちだけそのままの陣形を保持すれば、簡単に数的有利を作られてしまう。仮に中央をそのまま抜かれてしまえば、ロングを抜かれるよりも遥かに大きな得点を相手に許してしまう可能性が高いのだから、それは当然の反応だった。
意外だったのは、そこから先。
最初、エリオットの視線を引いたのは、先に仕掛けたマリンブルー側の動きだった。
ミッドのジャンがAショート側へと斜めに仕掛けるように前へ出ると、その両サイドにいたショートの選手たちも彼を追うように攻撃支援の体勢を見せる。
当然、それに対応するかのようにレッドブレイズ側の陣形も重心がAショート側へと偏る。
格闘はAショートで行われる、かのように思われたその瞬間。
なんと、Bロング側に設置されていた障壁から、正反対のAロングを守っていたはずの選手が飛び出してきたのだ。
Aショート側に注意を持っていかれていたエリオットからすれば、何者も通さないはずの障壁からスパイクを保持しながら神出鬼没に抜け出してきたその姿は、この世の者ではない、幽霊が現れたかのようにすら見えた。
エリオットの横で、同じ様にそれを見ていたサフィアスが驚愕の声を上げる。
「幻影か!!」
しかし、異常なのはそれだけでは終わらなかった。
相手の動きに合わせてAショート側に寄ろうとしていたレッドブレイズのアレンが突如としてバック・ステップして方向転換すると、味方を押し退けるかのような物凄い速度でBロング側へ駆けながら、そのまま見事なタックルを決めたのである。
それは、当初は先程の試合と同じ展開になるだろうと予想していたエリオットからすれば、あまりにも目まぐるしい試合の展開だった。




