流れ星屋さんのなやみごと
流れ星屋さんは、とても困っていた。
なぜなら、さいきん地球さんからの流れ星の注文がとてもへっていたからだ。
いつもであれば冬には注文がふえるはずなのに。
あまりしたくはなかったのだけれど、流れ星がうれないと困ってしまうので地球さんに電話をすることにした。
「もしもし、地球さん。こちら流れ星屋さんです。」
「……ああ、おひさしぶり。
きゅうに電話なんて、いったいなんの用ですか?」
「実はさいきん、地球さんからの流れ星の注文がへっていて、すごく困っているんだ。
なにか、そちらでたいへんなことでもあった?」
「………ちょっと今、僕の中でウイルスがはやってしまって、みんな家からでてこなくなってしまったんだ。
家からでてこないのなら、流れ星をみることもできないでしょう?」
「なるほど。そんなことがあったんだね。
それはたいへんだ。」
「僕もほんとうは流れ星をたくさん注文して、それをみてみんなに元気になってほしいのだけど、ウイルスをこわがってだれも家の外にでてこないんだ。」
「そうなんだ。それは困ったことだ。
ふむ、なんとかできないものかな。僕も考えてみるよ。」
そう伝えると、流れ星屋さんは電話をきった。
さて、いったいどうしようか。
地球のみんなは、家から出れなくなってしまったみたいだ。
それじゃあ、地球からウイルスをなくす?
いやいや、ただの流れ星屋にそんなことはできない。
それとも、みんなの家のなかに流れ星を届ける?
いやいや、それではだれかといっしょに見る楽しみがなくなってしまう。
それとも、流れ星をテレビにうつしてみんなが見れるようにする?
いやいや、せっかくつくった流れ星だから、しっかりと目で見てほしい。
「どうしよう。いい考えがうかばないよ〜」
流れ星屋さんはひとりで考えたが、なにもうかばなかった。
「そうだ。ひとりで考えてもわからないことは、聞けばいいんだ。」
そうおもいついた流れ星屋さんは、太陽系でいちばん大きい太陽さんにきいてみることにした。
「もしもし、太陽さん。流れ星屋さんです。
すこし、僕のなやみをきいてくれませんか?」
「はい、太陽です。
いいですよ。なんでしょう。」
「実は、さいきん地球さんの中でウイルスがはやって、みんな家からでてこなくなってしまったみたいなんです。
みんなが家からでてこないから、流れ星の注文もとてもへってしまって、困ってしまったんです。
僕はどうしたらいいんでしょうか。」
「ふむふむ。そうなんですね。
それでしたら、いい方法がありますよ。」
「ほんとですか?おしえてください!」
「地球さんのなかでウイルスがはやっているのなら、みんなを宇宙につれてきて流れ星をみせればいいんじゃないでしょうか。
宇宙ではウイルスのしんぱいもないでしょう?」
「そうか。そうすればよかったんだ。
ありがとう!太陽さん。」
「いえいえ、お役にたててよかったです。
またこちらにも流れ星を届けてくださいね。」
「はい。それではまた。」
太陽さんとの電話をおえると、流れ星屋さんはさっそく地球さんにこのことをつたえた。
「もしもし、地球さん?
流れ星をみんなに届けるために、地球のみんなを宇宙につれてきてほしいんだ。
宇宙ならウイルスのしんぱいもなく、みんなに流れ星を見せることができるから。」
「なるほど。それはすごくいい考えだね。
わかった。さっそくみんなを宇宙につれていくね。」
そういうと地球さんは電話をきり、地球のみんなを宇宙につれてきた。
「地球さん。わたしたちを宇宙につれてきて、いったい何をするんですか?」
ウイルスでつかれた顔をしたみんなが、地球さんにしつもんした。
「みんなにすこしでも元気になってほしくて、流れ星をたくさん注文したんだ。
僕の中だとみんなであつまることもできないから、こうして宇宙につれてきたんだ。」
「そうだったんですね。それはとても楽しみです。」
さっきまでつかれた顔をしていたみんなも、地球さんのことばをきいてわくわくした顔にかわっていた。
「流れ星屋さん、じゅんびはできた?」
「うん。それじゃあ、はじめるよ。
たくさんの流れ星をみて、みんな元気になってね」
そういうと、宇宙にたくさんの流れ星がながれはじめた。
あか、あお、きいろ、と、いろんないろの星がながれていく。
「とてもきれいだ。」
「みんなと流れ星がみれてうれしいな。」
みんなは宇宙を見上げ、うれしそうなかおで流れ星をながめていた。
それをみた地球さんも、うれしそうなかおで流れ星屋さんにいった。
「流れ星屋さん、ありがとう。
僕の中のみんなが、元気になったよ。」
「いえいえ、こちらこそ。
流れ星がみんなに見てもらえてよかったです。」
流れ星屋さんもとてもうれしそうなかおでこたえた。
こうして、この夜はみんな元気になることができましたとさ。
おしまい。