表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

主人公になりたい。

作者: 遅筆

月曜日のこと

 今日は晴れた。久しぶりの強い日差しに目が眩んだ。僕は学校へ向かい、窓際の席で授業を受ける。

 君は一時間ほど遅刻してくると、僕の隣の席に座った。仄かに苦い香りが漂う。

 昼休みになると君は、当たり前のように姿を消した。


水曜日のこと

 君は珍しく、昼休みが終わる前に教室に帰ってくると、本を読み始めた。

 本の名前は、恥ずかしいからと教えてくれなかった。

 少しだけ、トランプをした。やり方がわからないという君をみんなが笑った。一からババ抜きを教えて、二人で飽きるまでしていた。


木曜日のこと

 放課後、教室にいる僕に、ぽたぽた、と雨が降った。顔を上げると、びしょ濡れの君がいた。僕がハンカチを差し出すと、それを無言で受け取り、ずっと握りしめていた。

 雨は降り続け、土砂降りの中を、君は帰っていった。


最後の月曜日のこと

 君は学校に来なかった。教室がやけに静かに感じた。




終焉

 この人生が、読み終わって少しでも面白いと思えるものならいい。本が好きだった君は、きっとそう思いながら目を閉じたのだろう。


でも、できるならば、

 主人公になりたい。

そう言っていたことを僕は忘れない。


ずっと君は、僕の主人公(ヒーロー)だったよ。


この本の中では永遠に君が主人公でいてね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ