第二話 一人じゃないと死ぬ病
一人旅はいいものだ。自分のペースで歩けるし、人に合わせる必要もない。どの店に寄ろうが、どの観光地に寄ろうが全て自由に決定できる。
元の世界でも、自分のバイクで色んなところを一人旅したなぁ。愛車のGN125で東北から九州まで行ったっけ。日本各地で催されてた「星宙間大戦」のイベントに行くことが多かったけど、各地のご当地ラーメン食いに行ったりもしたな。
岩石ダマシガニ…だったかな?さっき受注した討伐クエストもターゲットの住処に行くまでにいくつか商店や飯屋もあるだろう。自分一人で戦えるとわかった以上、かなり気が楽だ。道中楽しみながら向かおうかな。
誰にも邪魔されないことが魅力なんだ、一人旅ってのは。誰にも邪魔されちゃ「ねえアンタ!ねえアンタ!」
――誰だよ、邪魔するのは。一人旅が大好きなのに。
「さっきの見たわよ!アンタ強いんでしょ!あたしの仲間になりなさい!」甲高いアニメ声で話しかけたのは金髪の少女だった。背は150cmもなく、黒を基調としたロリータ服を着た小柄な少女だったが、その背には似つかわしくない太刀が差してあった。
身の丈よりも大きい、刃渡り6尺ほどあるような太刀――
俗に言う「斬馬刀」だろう。人の首どころか馬の首までちょん切れるようなシロモノだ。
「あたしはアリア、数々の敵をこの刀で真っ二つにしてきたの!アンタの名前は?」金髪の少女は問う。
「オレは馬理雄、目黒馬理雄」
「マグロマリオ?変な名前ね。マリオって呼べばいい?」
「まあ好きに呼べばいいよ……」
ああ、オレの苦手なタイプだ。自分のペースでグイグイいくタイプだ……こんな奴を同行させたらオレの旅がムチャクチャになってしまう………
「あの、オレは一人で岩石ダマシガニを倒しに行きたいと思って「さあ!岩石ダマシガニを倒して名乗りをあげるわよ!休んでいるヒマはないわ!早く行きましょう!」
「悪いけどオレ、一人じゃないと死ぬ病にかかってしまって「乗り合い馬車が行っちゃうわ!早く行きましょう!」
「わ、わかりました…」
ダメだ、全く聞いてねえ……
プラスに考えよう、一月待っても来なかった念願の仲間ができたと……
――剣士アリアが仲間になった!――