洗礼
僕はあれから、助けてもらった女の人に面倒を見てもらっていた。
僕は洗礼を終えたら面学校に入学するので、面倒を見てもらうのはそれまでだ。
気になっていて名前を聞くと、サキ・チターと言った。
そして、僕も自分の名前キリュウ・ネコヅメを教えた。
サキは防面隊に入っているので、ご飯を作ったらすぐにどこかへ行ってしまう。
洗礼を受けるまであと3年の時間があるので、体を鍛えたり、家族の面をつけて独自に使い方を学んでた。
サキの話では面は大体、血縁で決まるそうでだ。
復讐するための力をつけるために僕は他にも色々な事をやる毎日を繰り返していた。
そして洗礼式の前日、僕はドキドキしていた。洗礼式にではなく面学校にだ。
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―洗礼式―
僕は王都の神殿に向かっていた。
ちなみにサキは今日も防面隊の任務だ。お礼すら自分の口で言えないのが残念だが、手紙を置いていったので大丈夫だろう。
神殿の外には数百人の子供とその親がいる。親がいることが少しだけ憎い。
そんなことを考えていると、
「洗礼を受ける子供は中に入ってください。」
一人の男の声が聞こえた。見るからに神官だろう。
そうして、僕は神殿の中に入っていった。
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神殿の中に入った。中は白で埋め尽くされている。
そして、僕ら子供は神官に指示され、床に敷いてある絨毯に座った。
しばらくすると、白い服を身にまとい、手に本を持った神殿長らしき人物が入ってきた。
「諸君、私はこの神殿の神殿長である。これから洗礼を行うわけだが、その前にこの世界のことを君たちに教えよう。」
そう言って神殿長は手に持っていた本を、手前の机に置き、本を読み始めた。
本の話を真面目に聞いているのは数人だけだ。もうちょっと真面目に聞いたらどうなのか。そう思ったが僕も人のことを言えない。なぜなら僕はその話を以前サキに聞いており、二度も同じ話を聞きたくないので耳を手で押さえているからだ。
数十分経ち、ようやく本の話が終わった。
「それでは今から洗礼式を行う。皆の者、目を閉じろ。」
「ええっ!なんで???」
「目を閉じなければ面を受け取ることができないからだ。分かったら早く目を閉じなさい。」
僕は目を閉じた。
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「皆の者、目を開けろ。」
何秒経ったろうか。僕の目の前には、家族と同じネコの面があった。
「それでは皆、自分の目の前にある面をつけよ。それで君達はあと90年生きることができる。そして面学校についての説明をする。一度神殿を出て、中央広場に集まってくれ。」