表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜技の師と弟子  作者: 鷹城
第3章 トリガーエンパイア編
89/112

第89話 銃の帝国からの脱出

不定期投稿ですがよろしくお願いします


参来刀サンライト


陽竜ひりゅうジュアは迫り来る水の刃と岩の弓をジュア自身が発現させた陽光の刃で弾き落としていく。


そしてその2人にラヴァとギア、ソヨカ、リペアが囲む様にそれぞれの得物の刃で攻撃にかかる。


「あらら、危ないわ、ロビン、よろしく」


「分かった、螺琵輪州ラビリンス 円風ヴェントス迷宮チェス


迷宮竜めいきゅうりゅうロビンは直角に何度も曲がった様な歪な剣を横に振った。


するとロビンの周りの空間はねじられたようにその景色を曲げた。攻撃を仕掛けたラヴァ、ギア、ソヨカ、リペアの剣閃はその空間に触れた瞬間全て歪に捻じ曲げられた。


「僕の迷宮化めいきゅうかは万能ではない……だけど直接的な攻撃なら多数来ようがその攻撃が僕に届くのは困難なのは間違いないよ……じゃあね」


「てめぇ!逃げんな!」


ラヴァは再び時炎怒ジエンドを振った。


「ぐっ!くそ!」


しかし、ロビンが作った捻じ曲げられた空間に炎の刃は強制的に曲げられ思った所に攻撃がいかない。


「ダメじゃ、ラヴァ、わしらの攻撃も届かない!」


風龍ふうりゅうギアがラヴァの手を掴み止める。


「私達の、風も、曲げられた」


「ラヴァ、一旦離れて!」


ソヨカとリペアも攻撃の手を止めた。



ロビンがラヴァに言う。


「へぇ、君が『時炎怒ジエンド』の所有者だったのか?こうして生身で対面するのは初めてだね……まぁ、今はどうでもいいけど……」


「何だよ? 俺の竜技りゅうぎに興味でもあるのか?」


「別に……スレイプニルの下らない命令を思い出しただけさ……」


そう言うとロビンは一瞬、空間の歪みを元に戻した。そして再び手にする歪な剣を掲げた。


「逃がさないぞ! 怒雷武ドライブ!」


稲妻龍いなずまりゅうジルがその隙を狙いロビンの懐まで急接近していた。ジルは手にする雷の刃を左下から斬り上げた


「危ない、ロビン!」


「ちっ、お前か!」


しかし、その攻撃はロビンの前に割って入ったジュアの陽光の刃で弾かれた。



螺琵輪州ラビリンス


ロビンとジュアの2人が歪んで見える。


次の瞬間2人は消えていた。


***



「ちくしょう、逃げられた!」


ジルは自分の雷の刃を手が震える程固く握りしめた。

(遅かった……俺はただ遅かった!……)



その時天井から大きな地響きの様な音が聞こえた。そして高い所からいくつか落石した。

一同はすぐ異変に気付いた。この建物全体が揺れている事に。


「大変だわ!皆!天井が崩れる!早くここから離れないと!」


リペアはリィラの元に急いだ。


「おい皆!あれ出口じゃねぇか?」


ラヴァは白い光がさして穴が空いてる壁まで走っていた。

……がラヴァは途中で立ち止まった。


「なんだぁ!?ここたけぇぞ!まじかよ!」


「ここは1番下の階のはずだぞ?……本当だ……たか……」


ジルはラヴァの隣に立ちその稲妻の瞳で見下ろした、そこから見える電脈の光景ですらもその高さは分かりやすく、そのままで落ちていけば全身の骨が砕ける程度では済まなさそうな高さだった。


ログが見下ろす2人に近づいて話しかけた。


迷宮竜めいきゅうりゅうの仕業かもしれない、奴の竜技りゅうぎは迷宮化を行えるそうだ……もしそうならこの鉄塔の中を作り替えられるはずだ」


「まじかよ!」


「……そんな無茶苦茶な竜技りゅうぎもあるんだな……ソウ! そっちは無事か?」


「エンジュさんは何とか無事だけど……バロウさんが……」



重苦しい空気の中無慈悲にも建物は崩れてゆく。


ソウとセレンの2人はそれぞれ治薬磁チャージ零院再生レインリフレイスでエンジュの治療を終えた。


セレンはバロウの亡骸に屈みその開いている目を手でそっと優しく閉じた。


「バロウ……ごめんね……」


ーーセレンさっさと先に行け!もう俺は死んでいる!この建物もすぐに崩れるぞ!


「えっ?」


セレンは気のせいだと思った。


――ガハハ!悲しそうな顔をするな!戦友ともよ!ほら、もう行け!


気のせいじゃなかった、確かにその声はバロウだった。セレンは服の袖でいつのまにか流れていた自分の涙を拭い皆に言う。


「バロウは置いていこう……バロウが行けって言ってたの……」


「セレン……」


ソウは何も言う事が出来なかった……


「いいのか? それでよ……」


ラヴァは心配そうにセレンを見ている。


「……」


ジルやリペア、ソヨカ、ギアは黙している。


「……セレン、バロウの言う通りだ……」


そう言ったのはエンジュだった……


「エンジュ!傷が深いから安静にしててね……」


「良かったです、エンジュさん!」


「あぁ、すまないなセレン、ソウ……お陰で私は何とかやっていけそうだ……皆、ここから離れよう……バロウは言ったんだ……戦友ともと闘ったここで散るのが本望だと……私はそれを尊重したい……」


一同は頷く。



「ではみなわしとソヨカの竜力りゅうりきで飛ぶぞ」


ギアは手に力を集中させる。


得空螺衣渡エアライド!さぁ皆わしとソヨカの手に触れるんじゃ!200メートルだが飛ぶことが出来る! ソヨカ……やるんじゃ」


「分かった」


リペアはリィラを背負う。ラヴァはログに肩を貸した、セレンとソウでエンジュを支えた。


そして皆は崩壊する建物から離れ銃の帝国から脱出した。そしてギアの住処である"嵐山寺らんざんでら"へと向かった。


***



〜封刃一族編へ〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ