第85話 vs三重の美芸 源染竜 スレイプニル
不定期投稿ですがよろしくお願いします。
「弾切れだ……仕方ないな」
バロウは接近してスレイプニルに炎を渦巻く紅鉄の円筒、爆図火を鈍器の様に持ち直し迫る。
「黒砂」
スレイプニルは地面に手を触れた。
――おぉう? 何だ? 地面から熱の気配がするな!
バロウの火灯差知がスレイプニルの直前の床から何かを感じ取った。
バロウは後ろに引いた。
「これは、鉄!?か?」
地面から現れたのは黒い鋭く尖りだった……約2m程度の円錐が地面を突き破っていた。
「鉄ではない、が鉄の硬度は持っていよう」
スレイプニルの頭から生える二本の角がいつの間にか消えていた。
「ん?? お前の頭何か無かったか?」
「その通り。余は自分の頭に生える角を……」
「清錬」
青龍エンジュは水の刃を持ち列に連なる黒い尖りの脇を抜けスレイプニルの近くに走り込む。
「……離れた場所に発現させる、本の少しだが」
ドンッ!と突如後ろに生える棘がすぐに沈む様に砂埃を立て地面に消えていった。
「エンジュ、正面だ!避けろ!」
「正面!?」
エンジュはバロウに言われた通り左に走る方向を急転し「」た、その時地面がゆれ、気づけば先程の棘がそびえている、方向を変えずに走っていたら直撃だった。
「はぁ!」
エンジュは勢いよく接近し足腰に力を入れスレイプニルに横一閃に水の刃 清錬を振るう。
「何!?」
波が弾ける音が鳴った。
「ふん、鉄の硬度を持っているのだ、切れるものか」
スレイプニルは2m程の黒い角を自身を守る様に横に並列になる様に発現させ、エンジュの水の刃を受け止める。
「構わない、鉄の硬度だろうと、鋭いのならば!」
エンジュは清錬で円錐の頂点の所を何度も何度も弾くように振っている。
「……無駄な事を……」
しかしスレイプニルは直後気付いた……目の前の水の刃から滝の様な音が響いている事に。
「まさか!?そなたの……これは!?」
スレイプニルは動揺している口調で言った。
そして、ついにスレイプニルの角は真っ二つに砕け斬られた……
――力を増している! 信じられん! 余の 竜力は鉄の硬度を誇っているのだぞ!
そのままエンジュスレイプニルにニ振り目を繰り出す。
「……そなたは、余の角がもう無いとでも思っているのか?」
その時エンジュの背後から地面が砕ける音が鳴った。
エンジュは背中の左下側に激痛を感じた。
「うぅ!」
エンジュはたまらずその攻撃を受け左に倒れ込む。
「余の角は2本だけある様に見えるが、根元の方にある小さい角も操る事が出来るのだ……大きさもある程度までは変えられる……」
そう言うスレイプニルの2本の角には確かに根元の方に八角状の角が大きい2本の角に沿うように生えていた。
「うおぉ!」
バロウが紅鉄でスレイプニルを狙い振りかざす。スレイプニルは後ろに飛び退き避ける。バロウの攻撃はそのまま地面に当たり砕けさせる。
「エンジュ!お前傷は?」
「まだ闘える、かすり傷だ」
エンジュは地面に 清錬を突き立てヨロヨロと立ち上がった。
スレイプニルは少し足を引きずって2人から遠ざかる。
バロウは再び追いかけ攻撃する。スレイプニルはバロウの攻撃を地面から角を生えさせ壁の様に使いその攻撃に対応していく。
スレイプニルはバロウの背後から攻撃を仕掛けるが、バロウは 火灯差知で角を熱帯感知して避けていった。
「この攻撃、キリが無いな!おい、エンジュお前ならこれを切れるだろう!」
「分かってる!」
バロウは一旦後退した、エンジュが向かって角を斬り込む。
「くっ!余の角がいとも容易すく!」
再びエンジュの背後から地面が割れる音がする。
「エンジュ、背後は俺が見る! お前が攻めろ!」
バロウが後ろから迫る黒い円錐の角を何とか上に押し曲げて防いだ。
エンジュとバロウは目を合わせ黙って頷いた。
「はあ!」
「くっ!」
「うぉぉ!」
激しい攻防が続くバロウとエンジュは背中を鏡合わせにしスレイプニルの攻撃を掻い潜っていった。
「ぐぁぁ!」
そしてエンジュは遂にスレイプニルの黒砂による攻撃を真っ二つに砕き、スレイプニルの腹を右上に斬り上げた。




