第84話 裏模流場
不定期投稿ですがよろしくお願いします
「ハートハーブには感謝しねぇとな……」
「それは……ラメアの竜技……」
「あぁ、そいつのおかげで俺は心を取り戻せた、そしてこうやって現れた」
応射竜パイソンは驚いた……
「そいつ?……まさか、それも……」
「そうだ、ハートハーブも俺と同じ存在だ」
リボルバー=エルドラドはパイソンを哀れむ目で見つめて言う。
「それにしても、パイソン……利帰場令所を撃ってくれって言わないんだな……欲しいだろ?命」
「俺はもういい、六模流場……いや、エルドラド……あんたに聞きたかった事がある……」
「ほう、欲が無い奴だな……何だよ?何を聞きたいんだ?」
「あんたは俺を認めていたのか?」
「……一度は蘇らせてやった……少なくともその時は認めていた……だが負けた、まぁ、敵さんの増援が増えたから仕方ない事、残念だが……俺は今弱い奴は欲しくないんだ……」
「というより、この姿に戻るのに時間がかかっただけって話だ……というかこんな事聞いて何の意味があるんだ?何が手に入るというんだよ?得の無ぇ質問だな」
「そう……か……弱い使い主は欲しく無い……か」
そういえば……幼い頃から 六模流場を発現させてかなり使い込んでいたな……寝る前にもだして言葉を返す訳ないのに寝る前の挨拶も欠かさなかったっけ、でもどうだろうな、いくら俺と一緒に封刃一族と闘い抜けたとは言え、パイソンは気付いていないが本来12個あるリボルバーの能力をたった6個しか扱えて無い半端者だ……
まあ、戦闘センスはずば抜けてたがな。だが負ければそこでおしまいだよ。
敗者は俺が欲しいものではない。
「まあ、せっかく俺は出られたのだから自分で手に入れる、欲しいものは自らの手で……」
エルドラドは楽観そうに言う。
「欲しい……物だと?」
「あぁ、とりあえず、封刃一族の命は固定だな、奴らは俺らと対峙する運命にある。あとは俺が欲しいと思った物全部だ」
パイソンは感じた、底知れぬ欲深さがその黄金色の竜の言動から、ギラギラした目つきから、純粋な強欲の意思を。
「手始めに、パイソン……お前から命を貰おうかな……お前は重傷でどうせ助からないが、俺は俺に死ぬまで待って欲しかったが、俺は俺に久しぶりに竜技の試し撃ちをして欲しくなった……」
「裏模流場」
エルドラドは銃を構えパイソンを狙う。
「終止」
エルドラドの使用竜技 六模流場と裏模流場の能力。
六模流場
① 悪波出過 透過の銃弾。任意の瞬間で実体化出来る。タイミングの調整は難しい。
②炎舞練六火灯 炎が発生する 紋章照準 赤い色の紋章を撃ち込んだ後炎が発生する、鏡に反射する性質を持つ。
③場運土処図 物に当たると跳ね返る性質を持つ銃弾。
④利帰場令所 傷を治す弾。死後、熱があれば復活させる事も出来る。
⑤減狙突螺 貫通する弾。威力が高い。
⑥留風波連飛 撃つと①から⑥の弾から任意の能力を任意の個数装填する。
裏模流場
① 終止 撃たれた物は数秒経つと魂を消滅させられ死に至る。
② 〜⑥ ???
「ん?」
エルドラドは撃とうとしている指を止めた。
「もう、死んだか……」
エルドラドは興味なさそうにパイソンに背後を向け立ち去った。
――
「スレイプニルだな!セレンじゃないのががっかりだが……」
青龍エンジュと爆攻竜バロウは走った通路の先の階段の下に見える広場の一室から逃げようとしているスレイプニルを見つけた。
「ちっ、どいつもこいつも余の邪魔をする!」
「爆図火」
スレイプニルの前に爆発を発生させ道を塞ぐ。
「お前は逃がさないぞ!」
「どうしたものか……余は追い詰められている!」
焦りの混じった声で言う。そして、十字の瞳がバロウとエンジュを睨みつけた。




