第74話 三重の美芸 vs 応射竜パイソン
不定期投稿ですが、よろしくお願いします
俺が奴に勝つためには……能力をいかに早く忘却出来るか……それしかない。
手数の多さでは奴の方が上だ。
鉄製のガラクタが散らばる広間の中、応射竜パイソンと岩龍ログの闘いが始まる。
「悪波出過!」
先に攻撃を仕掛けたのはパイソン……手に構える銀色の銃から特殊能力のこもった鉄製の弾を撃つ。
ログは向かってくる弾に対して砕練刀を振り、衝撃で弾こうとした。
……!!
ログの右上膊に痺れるような熱が走る。
……衝撃をすり抜けるのか。
エンジュから聞いていた。パイソンは"すり抜ける銃弾"、"炎を発生させる攻撃"を有していると言う事を。
ログの砕練刀から発生する"無音の衝撃"ならば止める事が出来るかもしれないと感じてログは岩の刃をふるったのだが、パイソンの凶弾は衝撃もすり抜けた。
ログは岩の刃を左手に持ち替え、パイソンに接近する。
「場運土処図」
パイソンは近づいて来るログに対して更に銃弾を撃ち込む。
その弾をログは砕練刀で受ける。
火花が散る天井、右の壁、左の壁、床、様々なところで樺色の火花が舞う。
……!?
再びログの前に先程弾いた弾が下向きの角度で向かってくる。
ログはギリギリの所で砕練刀の刀身から衝撃を発生させた。
衝撃はその攻撃を止めた。
パイソンはその間に遠く離れて思案顔で六模流場ログに狙いを定める。
「炎舞練六火灯」
突然パイソンは空中に向け撃ち込んだ。
ログは上を一瞬目視する、赤い紋章が浮かぶ。
……間違いない、これは炎だ。
ログは瞬時に左側に飛び込み避け、紋章の範囲から離れる。
紋章からは下に降り注ぐ様に炎が燃え盛っていた。
「減狙突螺」
パイソンはログが避けた先に銃弾を撃ち込む。
ログは砕練刀で地面を叩きわり床の瓦礫を衝撃で壁の様に浮かせ防御をした。
が、パイソンが撃った弾が壁を貫通し、ログの脇腹に命中した。
ログはその激痛に呻き声を上げる……が構わず左手に力を入れて再び地面を叩きつけ、構える。
「忘岩」
岩で生成された弓を構え、砕練刀を矢の代わりにし狙いを定める。
敵の視界を遮断していた瓦礫の壁が床に落ち視界が開け、敵が見えた所にすぐさま放った。
パイソンはログに撃った後。横に飛び退き避けようとした、そこをログは岩の矢で追撃する。
岩の刃は外れたが、岩の矢は敵に命中した。
……よし……忘岩が当たった!これで奴の能力はあと5つだ。
気付けば火花が散っていた部屋が映る。
「ぐうぅ!」
更に右腕に激痛が走る。敵も攻撃を仕掛けて来ていた。
……この攻撃は……厄介だ……攻撃の場所がまるで……読めない……
ログは立ち上がり、砕練刀を構え直す。
「ちっ、痛ぇなぁ、弾もすくねぇ……」
「留風波連飛」
パイソンは空中に向け弾を撃つ。するとパイソンの持つ六模流場に銀色の光が四つ宿っていく様に光が集まった。
どうやらログは先の読めない攻撃が苦手のようだな。
奴を倒すには俺の跳弾 場運土処図が鍵だな。
パイソンは再びログを撃つ。
……どう言う事だ!
今弾かれたよな? 俺の弾……
何で跳弾しない? あぁ、そうか!
パイソンは少し焦った。
「操憶の龍神ってのも伊達じゃないな、あんた、封刃一族の無力化数が一番多いと言われていただけはあるなぁ」
「おかげで、あんたを殺す方法が4つになってしまったよ……」
「そうか、忘れてくれたか」
ログは涼しい顔で言った。
「あぁ、だが忘れちゃいねぇ、あんたは三重の美芸の裏切り者だって事を、俺が三重の美芸代わりにあんたを倒すからな!」
パイソンは顰めっ面で睨め返す。




