第73話 〜銃の帝国〜また1つの幕開け
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その時爆発が起きた。
「なんじゃ? 自爆か?」
風龍ギアは敵の場所を振り返る。
投爆竜ボマードが倒れていた位置で再び爆発が起こっていた。
爆煙が立ち込め、消える頃に竜のシルエットが浮かび上がる。その構えは……
「ギア爺、来るよ」
黄緑色の髪の女性のソヨカはギアに声をかける。
2つの爆弾が更に投げ込まれた。
「分かっておる」
ギアは風の槍、"嵐翠"を振り風を起こし、1つを、敵の場所まで跳ね返した。
しかし1つは敵の"銃帝六射シュールの方向に投げられていた。
「なぜじゃ?」
こいつ、正気じゃないわな 自らの仲間を攻撃して何の意味があるんじゃ? 情報を漏らす事を恐れたのか!?
「てめぇ! 仲間じゃねぇのか!」
火龍ラヴァは憤慨する。
「爆前令済」
爆煙が消えかかる頃敵は再び爆弾を構えていた。
「また、同じ手を撃つ気か!」
ギアは敵が爆弾を投げる前に瞬時に距離を詰め槍で手に突きを繰り出す。
が……
何!? どういう事じゃ!? 槍が動かせん!?
「ギア爺何して……」
ソヨカはギアの加勢に向かおうとしたが足に感触を感じた後、それから何も考える事が出来ずただ立ち止まる。
「苦零然阿、思考停止の時間だよ。」
「時炎怒!」
どういう事だ! こいつまだ闘う力、残してやがったのか!
意識を失い壁にもたれ倒れていたはずのシュールが奇襲を仕掛けていた。
「変数、それを振れるのは10分後だよ、そして君のそれを撃つのもね」
「なっ! 動きが!」
「……!? 雷降が撃てない!」
ソウは焦る。
「治薬磁……」
「させない! その動きも10分後だ!」
……!? 僕の治療が発動しない!竜能を使っている感覚があるのに!
シュールは次々に能力を仕掛けていく。ギアの攻撃を封じ、ラヴァの攻撃を封じ、ソウの攻撃を封じ、ソヨカを思考停止させた。
近くで爆発が起き風龍ギアが吹き飛ばされる。
「……ど、どういう事じゃ……こいつら」
ギアは少しよろめき立ち上がり、地面に風の槍"嵐翠"を突き立てる。
……敵の傷が癒えてる……完全に……なんちゅう事だ……
一気に状況が悪くなってきおったわ!
わしの"嵐翠"も止められたし、どうしたものか。
「ボマード、助かったよ……さすがの再生力だ」
再生だと! まさか、あの爆発事態がそうだというのか!?
投爆竜ボマードのサードウェポンは爆前令済である。その能力は"爆発力"を"回復力"に変える能力。任意に爆発にするか回復にするかを瞬時に切り替え出来る。
ギアは足に力を入れる。蹴りを繰り出そうとしていた。
唐突に足が痺れた。
……何じゃ!
「変数! 足は動かせないよ!」
「今のはお主か!」
……足が動けんわい! なら! 飛ぶしかないのう!
「得空螺衣渡」
ギアは自身を浮かせ宙に浮かせ天井スレスレの位置から急降下し疾風の速さでシュールへタックルを繰り出す。
「変数」
しかし、ギアの攻撃は失敗し地面に落下する。
……ぐぬ! まずい! ここまで止められては……
ギアは地面でもがく、足が上手く動かせないせいか、立ち上がることが出来ない。
「うぉぉぉ!」
ラヴァがシュールに炎の刃を振り当てた。シュールは攻撃を喰らい吹き飛ぶ。
……何で? 僕が変数で動きを止めたはずなのに、何でやつは動けるんだ!
「ソウ、今息を吸うんだ!奴の能力が解ける!」
ラヴァは時炎怒を、早急にソウの鼻元に近付ける。
「わぁ! 熱……くない……」
「ありがとうございます!」
「雷降!」
まとめて当てる!
「紅蓮練土!」
爆弾が複数投げ込まれた。
ラヴァはソウの前に立ち炎の連閃を繰り出し爆発を無力化していく。
「だメダ!通用しナイ!」
……まずい、あの赤い龍は俺の天敵ダ!先に撃つべきだッタ!失敗シタ!
その隙にすでにソウは宙に多数の雷の紋章を浮かばせていた、雷が落ち始める。
「しまった! 紋章照準カ! シュール!」
ボマードはシュールに声をかける。
「変……」
シュールが雷の発生を遅らせようとしたが、間に合わずシュール、ボマードは共に雷撃を受ける。
「まったく、よくもまぁやってくれたのぉ!」
「わたし、油断してたわ」
ラヴァに能力を解いてもらったギアとソヨカは敵へ近づく。
冷徹な睨みと怒りを露わにして。
……あぁ、負けた。
とシュールとボマードは思った。
「嵐翠!」
ソヨカとギアは風の槍を生成し、瞬足の突きと嵐舞で敵に止めの蓮撃を与え2人を倒した。
***
「いやぁ、しかし助かったわい、悪いのぅ……助太刀したつもりじゃったが……」
「ごめん、わたし油断してたわ」
「いいよ、気にすんなって!それより先に進もうぜ! リィラが危ねぇんだ!」
「怪我はないですか、僕が治療しますよ!」
「おぉそれはありがたい少し見てくれ頼む。」
「わたしは大丈夫だから」
4人はリィラ、スレイプニルを探し先へ向かう。
***
岩龍ログははぐれたみんなを探していた。
「……!?」
ログは突然足元に火花が散ったのを見て警戒した。
「見つけたぜ、ログ」
「……君は……」
声の方向をみるとそこにいたのは、三重の美芸 銃躙の龍神 応射竜パイソン。
「まさか、会える敵がアンタとはな……」
銀色の鱗で覆われている竜のパイソンは6つの能力を有していると言われる竜技、六模流場を構えていた。
「こっからだ、俺の銃躙は。」
「砕練刀」
ログは以前よりも強化された立派な岩の刃を生成し構える。
……今の俺なら問題ない……パイソンと互角に闘えるはずだ
2人は視線を交わし、また1つの闘いが幕を開けようとしていた。




