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竜技の師と弟子  作者: 鷹城
第3章 トリガーエンパイア編
69/112

第69話 〜銃の帝国〜   入り組んだ迷宮の中で

不定期投稿ですが、よろしくお願いします。


「早くみんなと合流しなきゃ!」


私、リィラとセレンは他の仲間に合流するため、道の構造がごちゃごちゃになった道を駆けている。


……みんな、絶対無事でいて……


心配だわ……ラメアはとても強かった。……とても、1人じゃ闘える相手じゃなかった。セレンがいなかったら……私は……


これが三重(みえ)美芸(びげい)の力。その能力は圧倒的だった……


スレイプニルはもしかしたらこれ以上強いのかも知れない。しかもパイソンと呼ばれる竜も『6つの能力』を持っているってセレンとエンジュからも聞いているし……


それに、ログと洞窟から逃げた時に出会った朱色の……太陽の模様が入った目の竜もいるなんて……それに、灰色の竜まで……


「ハァッ!ハァッ!これで良い? リィラ?」


セレンはとこどころに書き置きを散りばめている。


-----ー--------------------


リィラとセレンは無事。みんなを探している


--------------------------


もちろん、目的はスレイプニルを倒すことだけど、私達の安否を知らせるだけでも、少しは心配な気持ちを和らげる事が出来る。


みんな闘っていて、不安な気持ちは一緒なんだ……そんなみんなに迷惑かけない為にも……少しでも希望をもってくれたら良いなって、私は思う。


「えぇ……誰か1人でも多く安心だと分かってくれるだけでいいの。」


2人は部屋を開けた。もう3つ目になる。


「だめだ……ここにも誰もいない……」


ここは広すぎる……体感的には龍治院(りゅうちいん)の何倍もって気がする……


外から見た感じだと高さは無いと思ったけど……以上に横長の建物なんだとは思ったけど……階層は3階くらいなのかな?



セレンは部屋に散らばった銀色の鉄製の部品の様なものを手に取ったり、隠し扉でもあると思っているのか知らないが壁をトントン叩きながら耳を近づけいる。


私はそんなセレンを横目に見ながら入り口周辺を見張っている。


「セレン……もう次探した方が……それは?」


「私も初めて見たんだよ、リィラ……何だろうこれ?」


鉄製の部品の様なものを弄りながらセレンは聞く。


ドンッ!


その時爆裂音がした。


静かな部屋でいきなり放たれた爆音にリィラはビックリして、背筋が一気に鳥肌が立ち上がったのを覚えている。


振り返ってセレンを見ると床にそれを落とし自分の耳を押さえている、額から汗が出ていた。


「きゃあ! ごめんなさい! ごめんなさい!」


「何したの? セレン? 」


「いや、あの、リィラ……これいきなりここ触ったらバカみたいな音が出たのよ……」


「これなんだけど……」


セレンはリィラに見せた。それは本来引き金と呼ばれる場所ではあるが、2人は知らなかった。


「とりあえず、ここから出よう? 今の音で敵が来たら大変だから」


2人は部屋を、急いで後にしその場所なら離れた。


「リィラ、もう本当にごめんね……エンジュ達が音に気付いてくれたらありがたいんだけどね……敵だったらごめんよう……」


「しょうがないよ、セレン……私も知らなかったんだし、とりあえず、知らないものがあったらお互いに聞き合おうね……」


「あっ、はい、もちろんです。」


セレンは申し訳ない気持ちと1つの決意が固まった様な口調で喋る。


「セレン、普通でいいよ、普通で」


「う、うん、分かった……」


2人は左右に行く道がある通路をそのまま横切った。





途端に後ろの足音が聞こえ無くなった。



あれ?


リィラは振り返る。



セレンがいた。



口を押さえられ、体の自由を奪われているセレンが……


「嘘、生きてるなんて!?」



そこにいたのはさっき倒した筈の竜。三重(みえ)美芸(びげい) 心持竜(しんじりゅう)ラメアだった。


桜色の鱗を纏うラメアは鋭い爪をセレンの首に向けている。

その目は嘲笑うかの様にリィラを見ている。


「本当よ、死んだと思った?こんなの書いちゃっていいの? ()()()()()()()()()()


ラメアはセレンが書き置きした紙をチラつかせる。


「私が何で復帰したのか……分かりやすい様に教えてあげる、あなた達が私の世界に飛ばされたのを覚えてるわね?」


あれだわ! セレンから貰った薬草無しでは戻れなかっ

た……


「私は、自身を『旅行』させたの、完全治癒する『場面』にね……そうすれば、現実世界の私にも影響するの……私の 真化竜技(しんかりゅうぎ) 瞑 想 郷(ヴィパッサロウカル)があるからこそ成せた祈りなのよ」


真化竜技(しんかりゅうぎ)?そんなの聞いたことない……

どうしよう? どうすればセレンを助けられる?


「気絶したと思ったのに……セレンを放して!」


「あら、気絶なんて生易しいこと言っちゃって……まぁ、セレンの運命は今後の行動次第ね」


ラメアはリィラを睨みつけた後少し表情を緩め笑って言った。


封刃一族(ふうじんいちぞく)のあなたが死ねばセレンは逃してあげるよ……私の感性の間違いでなければセレンは 瞑想郷(めいそうきょう)出身の様だしね……殺す必要は無いなって……あなたは別だけど」


セレンは目を見開き驚愕と疑問の混ざった表情で背後のラメアを見ていた。


「私の波解派部(ハートハーブ)を受けてまずは心から死になさい……大丈夫……感情を奪われて、"痛くない"って思える事もあるから、楽に死ねるわよ……頭の中は訳わかんない事になるかもしれないけれど……それとも体から死んでいく方がいい? アッハッハッハ!」


ラメアは鋭い爪を煌めかせ、リィラを指さし、笑った。


「くっ……分かった」


リィラは構えていた手を緩めた。


セレンは暴れて何とかラメアの手をどけて叫んだ。


「ダメ! リィラ! 逃げて!」


「いやだ! セレンが逃げて!」


「いい子ね……2人とも綺麗な心を持ってるわね……私が貴方達なら感動しそうだわ……なんだか溝に落とす様で悪いけど……それじゃ楽に心から逝こうね……」


誰か、誰でもいい!リィラを!リィラを助けて!


私のたった1人の友達。出会って間もないけれど私は死んで欲しくない。


死んだリィラのおかげで生き延びたんだなんて、この先一回も考えたくない!思いたくもない!


もう!何で!叢雲(ムラクモ)が出せれば!


体の自由が奪われているせいか力が練れない。


いやだ! いやだ! 目の前で! そんなのやめて! いやだよぉ!


波解派部(ハートハーブ)!"希望の心"よ在れ」


リィラはラメアの能力を抵抗せずに真に受ける。


大丈夫、私が居なくなっても、誰かがスレイプニルを倒してくれる。私じゃなくたっていい、みんななら、きっと出来る。


みんな……私は死を受け入れる。怖くなんてない、だってみんなが一丸となって闘い続けてると思うと、勇気が沸いてくる。絶えることのない希望なの……ただ、そこに私がいないことだけは……





ごめんね。セレンのメモ書きも書き換えなくちゃね……馬鹿だね私、これから死ぬのにね……何考えてるんだろ……


ログ、あなたと出会って色んなことが起こった。でも、私、後悔していない、あなたみたいな自分の罪と向き合っていて真っ直ぐな正義を貫いていて真面目で優しさがある、そんなあなたが好きだった。


ラヴァ、ごめん、ここまで来れたのはあなたのおかげ。私が子供の時から一緒に居てくれて、私と一緒に喜んだり、時には怒ってくれたり、稽古をつけてくれたり他にも沢山あるんだけどありがとう。ちょっと雑で天然なところは気になってたけどあなたは私の師匠で、一生の友達の様に思っていたわ。いい龍よ!


ジル、ソウ、ロウラさ……



場面旅行(シーントリップ)


ラメアは指を弾く。

リィラが続きを思う前に心は、思考は停止した。


セレンは目をつぶっていた。見たくなかったのだ、惨状を。

彼女の両目からは涙が流れ落ちている。


その時セレンの耳に凛と響く女声が聞こえた。鈴の音も1つ聞こえた。


隠壜式武竜(インヴィンシブリュウ) 奥義!」


飛鈴(ヒリン)


セレンは突然体が自由になった事に驚いた。


目を開き、後ろを振り返れば倒れるラメア。


そして………()()()()()()()()()()()()()()()龍だった。


***


ソウは探していた。味方を、そして、スレイプニルを。


「ハァ、ハァ、みんな何処にいるんだ!」


ウラノスさん……僕は最後のチャンス逃してしまった。せっかくとったと思ったのに。


一体何なんだ、この能力は、場所が変えられたのか? 移動させられたのか? ジルさんと他のみんなと離れ離れだ……


ソウは近くの部屋を開け中を見て誰もいない事を確認して、ドアを閉めて走り続けた体を少し休めた。






薬草はまだある、他のみんなは闘っているはず、僕は死ねない、みんな傷ついているかもしれない、そうしたら僕が治さなきゃ、それにスレイプニルを倒す約束を果たすんだ。


ウラノスさん、絶対に僕達は倒すから。


その時ドアが開いた。


て、敵か!


雷降(ライフル)


だが刃がソウの首に迫る方が早かった。



終わった……あっ。










「ラヴァさんですね?」


良かった、本当に良かった。




……心臓には良くないけど……まぁ……でも……まぁ


「お、おう……いきなりわりぃ。」


ラヴァは赤い鱗が生えた頭を掻いてソウから目を逸らして時炎怒(ジエンド)を解除する。


それからゆっくり溜息をした。


「ソウ? だったよな? 1人か? リィラ見たか?」


その龍の目から心配でたまらないんだと伝わる。


「そうです!ごめんなさい……」


「そうか、そうだよな……」


目の前の赤い龍は肩をうなだれた。気持ちはすごくわかる、僕だってジルさんや他の皆が心配で堪らない。


「ラヴァさん、行きましょう! 探しに!」


「よろしく頼むぜ!ソウ!」


2人は通路にでて、近くの階段を登った。


「こっちから、探さねぇか?」 


ラヴァさんは階段の2つの分岐点の左を見ながらソウに手招きする。


「わかりました!」


その時ラヴァさんがいきなり立ち止まったんだ。いきなり。


「ラヴァさん? どうしたの? 」


「……………」


沈黙といった様子だった。僕の問いかけに全く反応してない。


その時強めの口調がラヴァが見る先の方から聞こえた。


「引っかかったな僕の"思考停止"の地雷に」


この声は!


電車の時とは随分と態度が違うけど、多分あいつだ!




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