第66話 三重の美芸 vs心持竜ラメア その3
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「貴方達、ゲームをする気は無いのね?……いいわ!何度でも繰り返しなさい!そして、自心が無くなって終わりよ。」
リィラも時空の歪みに吸い込まれる。
「セレン、ありがとう。絶対に助けるわ!ラメアも倒す!」
リィラは必死の思いで食べた。
……苦い……けど
お願い最後の頼みなの!
リィラはヒートハーティーハーブを飲みこんだ。
***
雨が降っていた。曇りがかった灰色の空の下リィラは石の床に倒れていた。
周りには鉄製の機械の様なものが道路を凄まじいスピードで行き来している。
周りには誰もいない、立派な建造物が沢山並び、近くには整った林が何本か生え時計塔の様建物など、どこか中世を思わせる街だった。
ダメだったの……薬草は効かなかったの?
その時目の前が途端に真っ白になった。
***
……!!
リィラが目を開けば先程いた部屋だった。
横になって倒れていたようだ。
目の前にいたのは桜色の龍ラメアだ。
いまだ!今の内に奴が向こうを向いている内に!
「時炎怒!」
「何!?」
リィラは素早く立ち上がり右手に炎の刃を発現し、ラメアに当てる。
ラメアは突然の事に驚いたようで、リィラの炎の刃を受けるしかなかった。ラメアは自身の腕を盾に受けた。
「くっ!」
「砕練刀!」
リィラは時炎怒を解除し、身体を捻り左手に岩の刃を発現させるとそのまま回転し斬りつける。
ラメアはそれを読んでいたのか飛び上がり避ける。
ラメアの竜力は心聴相手の心の声が聞こえる、またこれから相手が起こす行動も強制的に相手の心から聴く事ができる。
「……!?」
ラメアは"無音の衝撃"を受け近くの壁に叩きつけられる。
「なんでよぉ、なんで避けられなかったの!心が聞こえたのに!」
ラメアは砕練刀が起こす衝撃の範囲までは読めていなかった。
「ログと一緒だね、こんな、厄介な竜技を持っていたなんてねぇ……」
ラメアは体勢を立て直し身体に纏わり付いた埃を払うとリィラを睨みつける。
「あんた、気に入らないよ!」
ラメアに少しはダメージを与える事ができたようだ。
その時リィラを呼びかける声が。
「リィラ、ありがとう。おかげで私戻れたわ!」
声の方向をみるとセレンが立ち上がってリィラの元に向かって来ていた。
「セレン!良かった!」
本当に無事で良かった……
「なんでよぉ?なんでセレンも正気を取り戻したのよ?」
「私の時炎怒が多分あなたの能力を全部打ち消したんだと思うわ。」
ラメアは苛立ちの表情だった。
「そう!それのせいなのね!あぁ!みんなが危険視した理由がわかったわ!アッハッハッハ」
ラメアは突然笑い出した。狂気の笑いだ。
「え? リィラ? あいつ壊れたのかな?」
「元々変なやつだと思う、セレンいくよ!早速だけど使わせてもらうね」
「解等過時呼比! 清練!」
リィラは初めて水の刃を発現させた。
出来た!セレンとエンジュの力だ!
「そんな水の刃で何が出来るっていうのよ!私に当たらなきゃ意味ないじゃない!私は心が聞こえるのよ!貴方達が何をするかなんて手に取るように分かるわ!」
「そう!なら避けてみたら良いじゃない!」
セレンがリィラに声をかける。
「リィラ、私が叢雲で貴方の清練の"強靭度"を上げるそれを1発でも当てれば奴に勝てるわ!」
「分かった!お願いセレン!」
リィラは水の刃を手にラメアを見据え集中する。
後ろで、セレンは叢雲を発現させ始める。
絶対当てる!もしかしたらあいつは……
ううん!やるんだ私! 可能性に賭ける!




