第65話 三重の美芸 vs心持竜ラメア その2
不定期投稿ですが、よろしくお願いします。
……!?
リィラは目を覚ました。
「リィラぁ!」
隣にセレンがいた。とても心配しているようだ。
「リィラ、大丈夫!? 突然居なくなってビックリしたのよ!?」
ここは、さっきと同じ場所?
おかしいわ、さっき私は敵の攻撃を受けて死んだんじゃ?
体中全部見渡してみたが傷は何処にもない、それどころか完治していた。
「リィラもしかして、別の場所に飛ばされた?」
「そう、私死んだはずなのに……」
セレンはリィラに耳打ちした。
「リィラ、黙って聞いて。」
突然身を近づけて来たセレンにビックリしたがリィラは頷く。
「この状況を打破出来る可能性があるの、私ソウからこれを貰ってたの」
セレンはポケットから薬草を取り出し見せる。
これは? 薬草?
「そう、これはヒートハーティーハーブ……火傷を治したり、精神的な治療も出来るの。」
……そうか、これを使えばここから出られる!?
「でも、1つしか無くて……半分にしたら、もしかしたら効果が薄くて効かないかもと思ってるの……」
セレンはそれからリィラを見て言った。
「私、これをリィラに使って欲しいの。」
「えっ、私が!?セレン!あなたが使わなきゃ!だってあなたのものよ!」
「でも、私じゃあいつには敵わない……だって、私の竜技は水の刃を扱う竜技。あいつは、心を読むのよ?つまり攻撃が当たらないって事なの、相性は良くないの。」
「それは、私だって一緒だよ、私の竜技は解等過時呼比っていって、人や龍の力を再現する能力なの再現するにはお互いの承認が必要なんだけど……今、私が再現出来るのはログの砕練刀、ラヴァの時炎怒なんだけどね……」
……そう、色花の都で私は記憶を取り戻したんだ、私の本当の能力は、力をコピーする事だ。私は子供のころから封刃一族の村に住んでいる人や龍の色んな能力の"真似"をして遊んでいた。
今じゃそれがどんな能力だったのか思い出せないけれど。
もしかしたら、思い出せば今この状況をすぐに抜け出せたかもしれない。
もっと色んな能力を使い分け出来たら……
セレンがリィラの肩に手を乗せた。
「セレン?」
「リィラ……だったら四つよ貴方の能力は」
セレンは右手に水の刃、空中に水の刃を発現させた。
「これは、清練」
セレンは右手の水の刃を見せる。
「これは、叢雲」
「私もエンジュも貴方の事を信じてる、だから、お願い!あいつを……ラメアを倒して!」
セレンは少し照れながら、リィラに手渡す。
「これは?」
それはちぎられて折り込まれた紙だった。
「私達の能力の詳細よ……そこに書かれてるわ。使い方が分からないならこれを読んで。」
リィラは包まれてるものをポケットにしまい、中を見た。
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私の竜技の師、青龍エンジュが使う清練セイレンについて、
清練セイレンは水によって生成される刃、その効果は"鋭い"ものと弾き合うことで無限大の"強靭度"を得る事ができる。解除すると"強靭度"は元通りになる。水場がある場所だと刃の長さを自由自在に変えることが出来る。
備考 /////////////////////
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あれ、確かここには……
「セレン、なんで、ここの文字消してるの?」
「えぇ、なんで分かったの!もしかして、あの時読んだの?もう!」
リィラとセレンは大分前に龍治院でぶつかった時の事を思い出していた。
「あっ、ごめんね、なんでもないわ……でも」
リィラは微笑んでいった。
「私はセレンも強いと思うし、カッコイイと思うよ」
「えっ?」
「だって、少ししか会った事ない私に……ここまでやってくれるんだもの」
自然にセレンにも笑みが浮かんでいた。
「当たり前でしょ、リィラは私の友達だから。それに」
「貴方の竜技が解等過時呼比で本当に良かったと思うわ!」
その時セレンの周りに歪む時空が現れた。
いつのまにか謎のぬいぐるみが現れていた。ラメアだ!
「セレン、竜技をこの場で出すなんて、攻撃の意思をこうもあっさりと示しだすなんて、呆れたわ、いいでしょう、死の場面に行きなさい。そしてもう貴方は4回目よセレン、完全なる精神崩壊が起きるわ!」
ラメアの竜力 場面旅行
1.ラメアの波解派部を受けた状態で発動するとラメアが作り出す幻想の世界に引きずり込まれる。(現実世界では寝ている様子になる)感情を奪われる罠があちこちに仕掛けられる、その仕組みは様々な形で作られる。
2.この世界で攻撃の意思や攻撃を繰り出そうすると回避不可能な死の場面に移動させられる
3.死の場面で死ぬと感情が奪われる、死の場面で4回死ぬと精神崩壊を起こし、現実世界では何も考える事の出来ない廃人状態となる。
セレンはあっという間に時空の歪みに吸い込まれた。




