第63話 〜銃の帝国〜 そしてそれぞれ強敵へと立ち向かう
不定期投稿ですがよろしくお願いします。
「紅蓮練土」
「爆流貫」
先に攻撃して来たのは銃帝六射のマーレアとボマードだった。
リィラ達は避けようとそれぞれバラバラの方向に向かって行く。
凄まじい、爆発と水車弾による弾幕の嵐で一気に大広間はかき乱される。
「藍擬透!」
少年ソウは敵の水車弾に被弾しそうになった所をエンジュの渦の盾でカバーしてもらった。
「ありがとうございます、エンジュさん」
「礼には及ばん、気をつけろ。ソウ」
「雷降!」
ソウは雷の猟銃を構え敵を狙う、朱色の竜が階段を降りて来る所を狙った。
雷の紋章が発現する。
途端に朱色の竜が黄色く煌めき出したと思えば高速で移動し始めた。
雷は誰に当たる事もなく階段を砕いただけだった。
消えた!?
「こっちよ、あなた。」
ソウは背筋に寒気を感じた。
振り向けば朱色の竜が後ろにいた。その片手に握られているのは刀身が朱色に輝く刃だ。
「参来刀!」
嘘だろ!あの距離をすぐ詰めて来るなんて!ウラノスさんと同じ空間移動能力があるのか?それとも……
刃がソウに振り下ろされようとしていた。
斬られる!そう思った瞬間だった。
血飛沫が目の前で飛び散る。ソウの手には鮮血が飛び散り、目の前に群青色の竜ウラノスが横たわっていた。
「ウラノス……さん?」
そんな……ウラノスさん……嘘……だよね?
「ウラノス、私があなたを殺す事になるとはね。」
目の前の竜は冷酷な目をウラノスに向けている。
「そ……そんな……」
「大丈夫よ、あなたもすぐに逝かせてあげる、あの世で"輝かせてあげる"わ」
すかさず、朱色の竜はソウに朱色の刃を振り下ろす。
瞬間黄色い火花が舞い散る、聞こえたのは雷の痺れるような震えるような音だった。
「......!?速いわね、あなた」
「ジルさん!」
稲妻龍ジルが敵の攻撃を受け止めていた。
「ソウ!早く!治薬慈を!」
そう言うとジルさんは敵の剣を弾き返し交戦する。
ソウはウラノスに治療を施そうと焦る手を掴まれた。
「ウラノスさん?」
「ソウくん、……スレイプニルを先に……討ってくれ、私は大丈夫……だから」
「絶対大丈夫じゃないですよ!」
煙立ち込める戦場の真っ只中、ソウは治療している時間があるはずがないのは心の何処かで思っていた。
周りのみんなは全員闘っている。
「ダメだ!ソウ!時間がない、今しかない、長引けば……いずれ……私達は負ける。」
「でも!」
「私はいい、既に元の体は死んでいるし、いずれはこうなる事は知っていた!だから……」
ウラノスは近くに空間移動の場を作り出した。その表情から読み取れるのは期待なのだろうか。
「最後の"輪歩"だ!頼む!」
ウラノスはソウに伝えた。
ソウはウラノスの群青色の鱗が生えた手を握る。
冷たかった……とても冷たい手。
「分かった!……ありがとう……ウラノスさん、僕達に任せて!」
「お礼を言いたい……のは……わたし…だよ」
その後ウラノスは静かに目を閉じる。
(これから、どうなるかわからず死ぬのは、嫌だった、だが……)
最後に……私は……
希望を持てて良かった……少年の決意の目を見れて死ねるなんて……
ソウ、君達ならきっと勝てるはずだ!少なくとも君たちは私を信じさせてくれたよ。
群青色の竜はそれから、動く事が無かった。
「ウラノス……さん……」
ソウは唇を噛みしめ湧き上がる感情を殺し、空間へと入る、少年は微かな不安があった、だが今、誰も彼を慰める者はいない、戦い続けるしかないのだ。
ソウが移動した先はスレイプニルの背後、まだ気づかれていない、スレイプニルの周りには誰もいない。戦場を1人傍観している。
……この距離なら"雷降で狙える!
ソウは雷の照準をスレイプニルに合わせ撃った。
「何!?いきなり余の後ろから!」
「スレイプニル!覚悟しろ!」
スレイプニルは先程の態度とは打って変わって明らかに驚いていた。
次の瞬間雷が落ちる!
「ぐぉぉ!」
雷は物凄い勢いでスレイプニルにダメージを与える。突然の不意打ちになす術もなかったようだ。
「……よくも!余の身体に傷を!」
スレイプニルは身体から黒焦げの煙を出していた、元々身体が黒い鱗で覆われているので、あまり、焦げてる様には見えないがのだが……
スレイプニルは体勢を立て直し爪を鋭く伸ばす。十字の瞳を開き怒りに目を充血させていた。
「切り刻んでやろう!」
……1発じゃダメなのか!なんて頑丈なんだ!
スレイプニルは走ってくる。地面にものすごい砂埃を立てて。
ソウは後ろに退きながら照準を当てる。
再び2撃、3撃と雷撃が襲う。
スレイプニルは避けようと身を翻し回避体勢をとるが……ソウの狙った場所は的確だったようだ。スレイプニルは再び直撃を受ける。
やった!いける!このままトドメを刺す!
その時スレイプニルは誰かに呼びかけた。
「ロビン!この場を作り替えるのだ!」
「分かりました!スレイプニル様。螺琵輪州!」
ロビンはセレンとリィラと闘っていたが突然距離を取り歪に直角な曲がった剣を地面に突き刺す。
パイソンはラヴァとログとバロウと闘っていたが突然地面が揺れたことで、攻撃を止め離れる。
次の瞬間一瞬にして"異変が起きた"
この拠点は"迷宮化"によって、内部構造が作り替えられた。
当然部分的に作り替えられたので、リィラと敵はバラバラに分断される事になった。
***
そんな!みんなとはぐれてしまった!
これはあの洞窟の時と一緒だわ……この場所も同じ様に。
リィラは探していた。通路はめちゃくちゃでまるで色んな場所を切り取ったように、異質な風景を見せていた。
1つの部屋を開ける、そこにいたのはセレンだった。
「きゃあ!だっ、誰!?」
「セレン!」
「……あっ、リィラだ!良かったぁ!」
「セレンは1人なの?」
「うん、そうなんだよぉ!怖かったよ!」
セレンはリィラと共に部屋を出ようとしていた。
振り向けば誰かがいた。
その入り口にいたのは
桜色の竜だった。
「はぁい、あなた達も、はぐれたの?一緒ねぇ?」
「私の名前はラメア、三重の美芸の1人よ」
2人は警戒する。
......たしかバロウから名前だけ聞いたことがある。
「あれ、あなた私の名前だけは聞いたことあるの?」
「えっ?」
セレンは驚いた。……私何も話してないけど?
「話してるじゃない。さっきから……聞こえるのよ"心の声が"」
「まずいわ……リィラ」
「ええ、気をつけてセレンこいつの"能力"に違いないわ」
桜色の竜はリィラを見つめて言った。
「リィラ、あなたは"封刃一族"なのね?私の心が変な音を立て始めたわ。どうやら闘う理由が出来たわね!」
桜色の竜は親指と中指を合わせて弾いた。
「波解派部"疑念よ、心に在れ"」
竜が指を弾くと手の平サイズの紫色の光の粒子がセレンとリィラに向かっていく。
「時炎怒!」
リィラは炎の刃を発現させ攻撃を受けた。
たちまち、光の粒子は消える。
「驚いた!? あなた"時炎怒"の使い手?」
「だったらどうしたっていうの?」
「へぇ、すごいわねぇ、私の竜技を打ち消すなんて」
「そっちの子は当たったみたいだけど……」
えっ! セレン!?
「リィラ!私達こんな奴に勝てるの?」
リィラはセレンを見た、特に変わった様子は無さそうだ。
「大丈夫なの?セレン?怪我はない?」
「分からない……ねぇリィラ、私おかしくない?怪我してない?」
「えっ?」
「私どうしたらいい?闘ったらいい?逃げたらいい?」
セレン?さっきからどうしたの?私に質問をしてばっかりな気がする。
「ふふふ、エッグいのはここからよ。」
ラメアはまた指を弾いた。
「場面旅行」
途端にセレンの頭上からスポットライトの様な光が照らされた。セレンはその光を浴びた後気を失ったように倒れる。
「セレン!」
リィラはセレンの元へ向かう……がラメアが立ちはだかる。
「だめよぉ、彼女は今新しい世界で旅行中なの……危ない旅だから邪魔してあげないでね?」
「そこを、どいて!」
「砕練刀」
リィラは炎の刃を解除し岩の刃を発現させ、横一閃に振るう。
ラメアはそれを見て身体を後ろにのけぞらせ避けた。桜色の竜の身体を纏う白い衣がはためいている。そのあとラメアはリィラが振り終わった直後左足でリィラの刃を握る手を蹴り上げる。
「うっ!」
岩の刃は宙を回転し近くの地面に突き刺さる。
リィラはそのままラメアに懐を掴まれ投げられた。
リィラは空を舞い地面に叩きつけられる。
……うう、痛い!なん……て速さだ。
リィラが目を開ければラメアが見下ろしていた。
「あなたも一緒に行ってきたらいいじゃない。」
ラメアは指を弾く。
「波解派部"疑念よ、心に在れ"」
リィラは敵の竜技を真に受けた。
なに?これ?
私の考えがいじられた? 洗脳された? 記憶を操るの?
セレンもこんな風に思ったの? だめだ何を思いついても疑問しか浮かばないというの? 私はもう終わりなの?
「場面旅行」
指を弾く音が聞こえた。
その言葉とともにリィラの意識は飛んだ-ーーー




