第46話 〜銃の帝国〜 セレンとエンジュの乱舞
不定期投稿ですが、よろしくお願いします。
...危なかった...
エンジュが私を守ってくれた。
これはエンジュの藍擬透だ。こんなに遠く離れているのに守ってくれた。
「エンジュ、お願い! 見て!」
***
「ふん、その水の盾には爆図火が効かないという事か」
「ならば! 直接殴るのみ! 」
バロウはセレンの方向に駆ける。
「待て!貴様!」
エンジュはバロウの後ろを追いかける。
...セレンを傷つけさせてなるものか!
「叢雲!」
セレンは水の刃3本を発射する。
「そんなものが...当たるか!」
バロウは水の刃を避けた。そのまま地面を蹴って跳びあがり距離を詰める。
セレンの前に巨躰が立ちはだかり、紅鉄の得物が振り下ろされようとしている。
「バロォォウ!」
エンジュはまっすぐに投げた、清練を。
バロウは瞬間的に反応し、横に跳びのき避ける。
「エンジュといったか? 誰に向かって投げているんだ?」
...なんて、反応速度だ!
水の刃はそのまま、セレンの方向へと向かう。
「藍擬透!」
エンジュは渦の盾をセレンの場所に発現させた。
「ふぅ...危なかった 」
「水の盾はお前の力だったか...」
バロウは一旦立ち止まり、それから再び爆図火を構える。
「爆図火! フラゴル トライアングルゥ!」
バロウは火の玉を撃ち込んだ。弾は2つに分かれ、それぞれエンジュ、セレンの方向に飛んでいく
エンジュはすぐさま水の刃で火の玉を切る。
そして、セレンの元に藍擬透を発現させ、正面を守る。
しかし、火の玉は途中で三角形状になる、セレンの方向を真正面に飛ばず、側面を回転した。
「火の玉が軌道を変えた!?」
セレンは突然の事に慌てる。
...まさか、後ろ!...
バロウは牙を煌めかせ、黄色と赤の混ざる鱗が入った拳を握り。ガッツポーズをとる。
「トライアングルは曲がる爆弾だ!」
回転した火の玉は背後からセレンを捉える。
...ダメだ避けられ...
「藍擬透!」
エンジュはセレンの背後に渦の盾を発現させ、何とか凌いだ。
...ハァ...危ない...何とか間に合った...
「ほう、複数出せたのか!ならば!」
「フラゴル レクタングルゥ!」
バロウは再びセレンの方向に火の玉を撃つ。そのまま宙回転し、エンジュの方向へ跳び紅鉄を振り下ろさんとする。
セレンは全力疾走でまっすぐとびかかる火の玉から離れる。
「お前 息が上がってるな!...力を使いすぎだ!」
バロウの攻撃をエンジュは清練で受ける。
「うおおぉぁあ!」
バロウは振り下ろす紅鉄に、力を込める。
...くっ、足が動かない...
...重いっ! このっ!
「...!?」
ついに、エンジュは攻撃を受け流せず地面に仰向けに叩きつけられた。
地面は激しく砕ける。
「ぐはぁ!」
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...!? エンジュを助けなきゃ、守られてばっかり、私...やっぱり弱い
...違う!今そんな事考えている場合じゃない!集中して! 私!
「零院再生!」
...落ち着け...この竜能は落ち着かないとうまく維持出来ない...
...焦るな、降るのを待て.........雨、雨、降れ、降れ!
...
...
...
...
-セレンの周囲でザーッと音が聞こえた。
...やっと来た! 遅いわよ!
セレンは雨を利用し無数の50cm程の水の刃を無数に作り出し、空中に浮かばせる。
目を閉じる、集中している。
整った!
セレンは目を開き無数の水の刃を一斉に射出する。
「雨多の叢雲!」
****
バロウはとてつもない気配を感じ後ろを振り向く。
....!?
かなりの水の刃が自身に射出されているの悟ったバロウは本能的にファーストウェポンを発動させていた。
「爆図火! フラゴルダイアモンドォォ!!」
紅鉄から射出された火の玉1つ1つはひし形の形で、バロウ自身とその側面を守る壁のように、無数に展開されていた。
セレンの無数の水の刃とぶつかり合い激しい爆発と水しぶきを起こす。
「やるなぁ! 人間! 弱いと思ったが撤回しよう!
お前も俺が殺してやるぞ!」
***
...くっ、頭が....痛い...私の体もボロボロか...
その時エンジュが見る横の地面に書くような音が聞こえた。
...なん...なんだ?
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エンジュ!清練で倒す!
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...これは、セレンの目模か...
たしか、壁や地面に文字を書けるって言ってたな
そして、...っ、痛い...セレン..叢雲を使ってるのか
目の前で、バロウとセレンが力を撃ち合っている。
バロウはひし形の火の玉でセレンの水の刃を防いでいるが端の方は防げず叢雲が降り注いでいる。
エンジュは、何とかそこまで移動し、清練を発現させた。
...あぁ、そうだな...セレン...奴に力で敵わないのなら、
"強靭な刃"で斬るのみだ!
清練を握る青い鱗が生える腕に血が流れる....
...いいぞ!研げてきた!「」
滝よりも激しい水音をたて、エンジュは再びバロウの背中を狙う。
セレンの叢雲は勢いを無くし、止んだ。
「ふん、互いに弾切れのようだな!人間!」
バロウは、紅鉄を肩に担ぎ、再び接近戦に切り替えていく。
「バロウ!」
...セレン!任せろ! 俺に!
「エンジュ! 行っけー!」
「清練 滅流刀!」
エンジュは渾身の水流の斬撃を横一閃に振るう。バロウの背後目掛けて。
バロウは地面を勢いよく跳んだ。
エンジュの刃は届かない。
「無駄だ!火灯差知で気配がバレバレだ!」
「貴様のその話は聞き飽きた。」
「あぁ!?」
エンジュは 清練 滅流刀を地面に叩きつけた。
途端に水しぶきがかなりの範囲で周囲一体を包み込む。
「俺が外したとしても...」
「な、何だ!周りが良く見えん!」
エンジュは空を見上げた、そこに希望を感じて。
「セレンが当てる!」
空中から落ちようとしている、バロウの背後にセレンが現れた。滝が落ちる様な激しい音がする水の刃をバロウの背中に直撃させた。
「清練!」
「ぬわぁ!人間だと!」
バロウは地面に叩きつけられる前に感づいた。
...くそぉ!水しぶきは俺の 火灯差知の力から気配を隠すためだったのか...
...人間に俺が、敗れる...とは...
そして銃帝六射バロウはセレンの"強靭な刃"の一撃に倒れる。
「なぁセレン、知っていて損じゃなかっただろう? 」
「うん、エンジュ、あなたの竜技を知れて良かった...ありがとう!」
2人は無事勝利した。銃帝六射は後2人のみ...のはずである。




