第44話〜銃の帝国〜 開戦 銃帝六射 vs 爆攻龍
不定期投稿ですがよろしくお願いします。
...水が確保出来ると思ってたのに...
青龍エンジュとセレンは踏み入れてしまった。
銃の帝国へ。
門を踏み入れてすぐに引き返せば良かった。なんて呑気な事を言ってられない。
何故なら目の前にいたのは。
辺り一体の建物を壊す。龍が1人。
全身筋骨隆々で赤い鱗と黄色の鱗で覆われている。鰐の様な顔をした龍が暴れていた。
その龍が肩に担いでいるのは、エンジュの腕程の円周の大きさをしている、先端の空洞が空いた紅鉄が渦巻く竜技と思わしきもの。
「なんだ!? 誰かいるな? 近くに」
その龍は感知していた。居場所を。
「そこか!? 爆図火!」
その龍はセレンとエンジュが外の壁に隠れていた建物に火の玉を撃った。
建物は半壊。ものすごい、爆風と黒い煙が立ち込める。
「ゲホッ! なんて威力なの...建物が....」
「セレン、ここから、離れるんだ!」
「分かってる、エンジュ、でも...バレたの? 私達?」
「あぁ、恐らくは、そうだな、セレンここはあえて出ようか?」
「なにか、策が? 」
「とりあえず、話しを...無理なら合図する。」
「えっ、エンジュ...あなたがそんな事言うなんて...」
そう言ってエンジュは隠れていた場所から離れ敵の前に姿を現わす。
現れたエンジュに敵はすぐに現れた事に驚いた。
「意外だな...もう少しで、この辺りを更地にして正体を暴いてやろうと思ったがな! 」
「私は剣の国出身の青龍エンジュだ。貴様と闘う理由がない。...というか水が欲しいんだが...」
「そうか!、俺は銃の帝国の銃帝武者の1人、爆攻竜バロウだ! お前他国からの侵入者だな? まぁ、群青色の龍でも黄色い龍でも、少年でもないみたいだが..."侵入者"である事に変わりないな!お前には血をくれてやろう!」
「なるほど貴様の名はバロウか、ここはジル達が向かっていた国だったのか...そして、追いかけられているって事か...ふん、水を頂くのは当分後になりそうだ...」
エンジュは清練を発現させた。
強靭な水の刃をみたバロウは口を閉ざしてもはみ出ている牙を煌めかせた。
「ほう、エンジュ...それがお前のファーストウェポンか?」
「ファーストウェポン? 竜技の事か? ...まぁいい、私にも闘う理由が出来た...貴様が追いかけている侵入者は俺の知人なんだ...殺されたと聞いたら寝付きが悪くなりそうだから...貴様を倒さなくてはならないな」
「いいぞ!龍を相手にするのは本望だ!中々骨がありそうだな! それと...お前の後ろにもう1人いるのは分かっているぞ 」
...えっ!? 私...バレてる?
「...何の事だ? 」
「ガハハハ!とぼけても無駄だ! 俺のセカンドウェポンは 火灯差知だ! 人と龍の区別ぐらい出来てる...お前の後ろに温かさの気配があるぞ!これは人だな!」
「爆図火」
バロウは肩に担いだ武器から火の玉を撃つ。
その玉はセレンが隠れる建物に向かっている。
「ちっ!」
エンジュは清練による水の刃で火の玉を斬る。
斬られた火の玉は分裂し、やがて空中で消えた。
「ほれ見ろ、今明らかに庇うようだったな! やはりいるじゃねぇか...ってあれ? 爆発しない? 何でだ?」
「貴様!狙うなら私からだ!」
「何だか知らねぇが!いいぞ!お前は骨があるようだ!」
「ふん、貴様は私と相性が悪いと思うぞ!」
エンジュは水の刃を構えバロウに向かっていく。
「爆図火!」
バロウは火の玉を撃つ。
...さっきと同じ技だわ、大丈夫エンジュなら...
「フラゴルレクタングルゥ!!」
しかし、火の玉を受けようとしたはずのエンジュの水の刃は空を切った。
火の玉の形状が変化していた。エンジュのすぐ後ろに着弾し爆発を起こした。
それも、明らかな形状の範囲で。
エンジュは後ろの爆発に巻き込まれ横に吹き飛んだ。
「エンジュ! 」
セレンは飛び出し、バロウを狙う。
「叢雲!」
セレンは空中に水の刃を3本生成し飛ばす。
「爆図火! フラゴルサークルゥ!!」
球体だった火の玉は突如バロウの巨体と同じくらいの平面の丸になった。
叢雲はそれに当たった瞬間弾け、同時に爆発が起こる。
...まさか!これは、爆発の範囲を変えられる能力!?
「人間の女か...いかにも弱そうだ。」
辺り一体はほぼ更地と化している。
建物が数ある内に攻めなければ、銃帝六射バロウに立ち向かうのは厳しいだろう。




