第41話 〜銃の帝国〜銃帝六射 マーレアの襲撃
初めましての方は、初めまして。
不定期投稿ですがよろしくお願いします。
「ふー、倒した....」
揺れる電車内の中で稲妻龍ジルはソウとウラノスの所に戻った。
「ジル、ウラノス!」
空創竜ウラノスはお茶を飲む手が止まっていた。
「ん、ジル私は一体...何故茶をこんなに飲んでんたんだ...」
「それよりウラノス!敵の襲撃をうけたぞ!」
「何!? 敵がいたのかここに....」
少年ソウも目を覚ます。
「ふー、あっ、ごめんなさい、随分長く寝てましたか?」
「いや、ソウ...20〜30分くらいだ。」
...とりあえず早くここから出ねぇと
「ここから、出るぞ!」
「いつの間に僕たちは電車に....ウラノスさんお願い出来ますか?」
「あぁ、私の 輪歩なら可能だ...うっ!」
「ウラノスさん、どうしたんですか?」
「はっ、吐き気が...」
ウラノスは近くの窓を、割って吐いていた。
その苦しそうな背中をソウはさすっていた。
ジルは怪訝な表情でウラノスを見る。
「おいおいウラノス、やっぱりお前飲み過ぎだろ...」
「ウラノスさんって、酔いやすい体質なんだね...
今度乗る時言ってね...僕"プラスハーブ"っていう酔い止めの薬草もらってきたから...次は"治薬磁"するね」
一行は知らない。銃帝六射シュールの
引き寄せの休息にかかっていたことは。
ウラノスはお茶を飲み続け、ソウは寝続けていたという事実に。
*治療磁の能力については
第17話、第39話参照。
***
電車内にいる3人を少し遠くから発見する人物がいた。
「なるほど、私の"狩場"にすでにいたのね...」
金髪の女性は"標的"を見つけたようだ。
「ボマードから、聞いている、確か侵入者の特徴は黄色い龍と群青色と藍色の髪に金髪が混ざったひよっこ。」
「自動操縦解除!」
****
「電車が止まった!ジルさん、ウラノスさん 」
「そ、それじゃ、私の輪歩は使わなくても大丈夫なのか?」
「まぁ、そうだが、もしもの時は頼むぞ、ウラノス!」
その時電車にある、10個の窓ガラスが全部割れた。そして車内の天井は水しぶきが溢れ、濡れていた。
「危ない伏せて!」
ジル、ウラノス、ソウは伏せる、ジルはソウの身体を覆い庇っていた。
...何だ?今のは? 水か!? 水の鉄砲?
...ただの、水にしては強すぎる...天井に穴をあけてるぞ!
再び激しい銃音が聞こえる。女性の強気な声が窓の外から聞こえる。
「ほらほら! 出てきな! 侵入者! そこにいるんだろう?」
銃声が止んだ。
「...みんな、怪我はないか?」
「私は大丈夫だ!...輪歩でさっさと離れよう!」
「いや、待て敵がどんな奴か見ないとな...さっきお茶を配った少年も敵だったからな、奇襲されずに済むだろ...」
「分かった! 可能なら僕の 雷降で迎え撃つ!」
「合図をしてくれ、そうすればすぐに輪歩する!」
ウラノスは電車内の窓の下の壁に隠れ、待機した。
ソウとジルは顔半分を窓の上に出し、電車の外を見た。
「...ジルさんいたよ...あのでかい建物の間だよ...」
ソウはジルに囁いた。
...ん?どこだ?...建物の間?...いた!あいつか!
「ちっ、あの女が狙ってたのか!」
「金髪の女の人だ...ジルさん!やばいかも!」
その女性は後ろに水で生成された巨大な水車を発現させた。その高さはジル2人分はありそうだ。
ジル 身長 225cm
「雷降!」
ソウは彼女へと照準を向けた。
しかし、その紋章が現れたのはその女性の横の地面だった。
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「...これは、紋章照準!」
...まずい、離れなくては!
銃帝六射マーレアは"水車"を解除し、後方へ避けた。
後ろで激しい雷が落ちる。
...ふう、それにしても厄介な侵入者ね
...とても強力なファーストウェポンを持っているようね。
*ファーストウェポン...(竜技)
まさか、パイソン様のように紋章照準(エンブレイム)を使うものが他にいるなんて
紋章照準とは、紋章を撃ちこんだところに攻撃を発生させる、光の照準のことである。
ちなみにソウは雷降の竜技を使用しており、
ソウの場合は、撃ちこんだ紋章の場所に雷を落とす能力である。
ちなみにソウは紋章照準という呼び名を知らない。
...まだ、電車内にいるかな...侵入者の奴ら...
「爆流貫!」
マーレアは自身の背中に浮かぶ巨大な水車を発現させた。
マーレアは再び歩き電車目掛けて数発、水の弾を発射する。
「おとなしく、出てきなさい! 侵入者!それとも一生そこにいる気?...いいのかな?そこは私の絶好の"狩場"なのよ!」
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「ジルさんすみません、外しました!そして奴が撃ってきた!」
電車内に数発水の弾が弾き当たる。
「合図はまだか、このままだと当たるぞ!...今の内だ!」
「すまない、ウラノス、ソウ、俺はあいつを倒しに行く、あいつの竜技に追い詰められたら一貫の終わりだからな。」
「分かった!でもジルさんどうするの?」
「ウラノス、俺をあいつの場所まで飛ばせるか?」
「危険だ!1人で挑むのは!」
「あぁ、分かってる、ソウ! 雷降で援護を頼むぞ!ウラノス、もし何かあれば援護してくれ!」
「...仕方ない、反対してもどうせ行くのだろうな、君は...
ただし、私の 落御迎戯隠・輪歩はもしもの時に使う!分かったかい!」
「あぁ、それでいいぞ、頼んだ!」
「輪歩!」
ウラノスはジルを女性の背後まで"瞬間移動"させた。
***
ジルは女性の背後の少し後ろの空中に"瞬間移動"し、現れた。
...怒雷武。
ジルは静かに彼女の背後を狙い、雷の刃を両手に空中からそのまま、振り下ろす。
その時彼女の背後の後ろの水車が水の銃弾を数発ジルの方向に発射した。
「なっ!」
ジルは怒雷武を解除し、空中でなんとか身体を捻り避けた。
地面に着地する。
ザッ。外の砂利の音に反応し女性が振り返る。
「何!?あんたいつのまに!」
...ちっ、やばいぞ!バレた。
「爆流貫!」
水の弾が発射される。
ジルはそれを雷の刃でいくつか受け流し後ろの道の突き当りのすぐ横の角に隠れた。
「危ないわね、私の爆流貫が"表裏一体"の水車弾で無ければ不意打ちを確実にくらっていたわ....」
銃帝六射 マーレアの
ファーストウェポン "爆流貫"は"表裏一体"の銃口。
前方を撃てばそれに対応した後方も撃たれる仕組みになっている。
しかし、殺傷力はマーレアが撃ちたい方向にのみ攻撃力が劇的に上がる。つまり、さっきの場合だとジルに向かっていった弾は無意識で撃たれた弾のため、ダメージは少ないのである。
ジルは近くの壁を蹴り、高く跳んだ、眼下に敵が映る。
「今度こそ終わりだからな! 怒雷武!」
「ふん、空中なんて隙だらけよ!爆流貫」
マーレアは空中に浮かぶ水車を横に水平にし、空中に向け水の弾を放つ。
しかし、マーレアは間違えてしまった。
水車は"表裏一体"に銃を撃ちこむ。
一方は空を、一方は地面を。
地面の砂利に水の弾を撃ってしまったため砂利がマーレアの目に飛び散ってきた。
「砂利が、邪魔!見えない!」
..やばい、斬られる!こうなったら一か八か!
マーレアは水平にしておいた水車を半分にし、それぞれ右手がわと左側に浮かべ空中への射撃範囲を広げた。
それを上からみれば、まるで浮かぶ水車型の半月がふたつあるようだ。
「やつの竜技が、分裂した!? 」
ジルは空中で今にも届きそうな刃を振り下ろす前に相手の水の弾に被弾した。
「ぐぁっ!」
ジルは弾を受けた、右腕、右肩、右太腿に。傷口から血が溢れ、彼女の水車の方へと向かっていく。
水車は血を取り込み、少し赤い血で濁る。
稲妻龍は地面に倒れた。
「ちっ、周りがよく見えないけど、当たったようね!
今、止めさすから、大人しくしてなさい。侵入者!」
マーレアは目を擦っている。視界が戻ればすぐにジルを殺るだろう。
***
「ジルさん!」
ソウは雷降で援護していたが、うまく当たらなかった。
加えて今は砂埃がソウの狙う場所を邪魔していた。
「ウラノスさん、ジルさんが危ない!」
「えっ!? 大丈夫ですか!ウラノスさん!」
ウラノスは肩を負傷して、倒れていた。
後ろで銃声が聞こえる。
...間髪入れずに撃ってくる!
「ちくしょう! これじゃ!... ウラノスさん!輪歩を!今 治薬慈で直すから」
「いや、私は後でいい、ジルを助けに行くんだソウ!」
「輪歩」
「私も後から、追いつく!」
「えぇ!? でも!」
「いいから、早く行け!ジルは君の大事な師だろ!」
...ウラノスさんにそんなこと言われるなんて....
...そうだ!急がなければ
...ウラノスさんはまだ助かる!
ソウは"瞬間移動"した。
...待ってて...今助けに行くから...ジルさん!




