第34話 三重の美芸
初めましての方は初めまして
不定期投稿ですが、よろしくお願いします。
★★★
ハァッ、ハァッ、
岩龍ログは走っていた。燃え上がる村の中を。
「まだ、いるのか....封刃一族.....」
「そこだ、いたぞ!」
後ろを振り返った、鈍器のような竜技を発現させた、1人の龍が襲い掛かってきた。
「砕練刀! 」
ログは岩で生成された刃を鈍器に当てた。
すると砕練刀による無音の衝撃はその龍を吹き飛ばした。
ログはトドメを刺そうと倒れた龍へと向かう。
「忘岩 (ボウガン) 」
ログは岩で生成された弓を構え、龍を狙う。
倒れた龍は意識があった。
「お、お前ら! 何の罪もない、子供達まで殺すのか! 」
「...殺す? いや...俺は、"記憶を奪う"だけだ。お前達には"封刃の意思がある 」
「何の事を言ってるんだ!"封刃の意思"だと!?」
ログは少し躊躇った。
「...お前達にはいつか、この世界の龍をすべて滅ぼす運命にある、"封刃の意思"がそうさせる」
「...だが、大丈夫だ、俺が"記憶を奪い"その意思を無くせる、俺以外の他の皆は殺す事でしか解消しようとしない 」
「記憶を奪うって事も、立派な殺しだろ!!」
「...!」
「すまない、これしか方法がない.....だが...もし他の道があるなら、俺は今まで"奪ってきた"記憶を元の持ち主に戻すと約束する.....」
目の前の龍は雄叫びをあげ、鈍器を持ちログに襲いかかる。
ログは忘岩を放つ。
"記憶を奪う"岩の矢は龍の肩に刺さった。
「すまない、今はこれしか、方法がわからない 」
ログは1人で1つの村の人や龍の記憶をすべて奪った。
********
「お久しぶり、ログ 」
ログは1人の女竜に声をかけられる。
*女竜...性別、女性の竜
「久しぶりだな.....ウェルディート」
ウェルディートとログは知り合いだ。
「すまぬな、妾が最後だったようだな」
ログは聞き慣れない女竜の声が聞こえたので声の方向を見た。
そこには、雪の結晶のような衣をまとった水色の竜がいた。冷気を纏ったような鱗は白いだったり、青だったり色々見えた。
他にも見知らぬ竜が3人いた。見た感じだと、女竜が1人と漢竜が2人だ。
*漢竜...性別が男の竜
「それでは、『三重の美芸』の皆様、始めましょう...自己紹介から始めます、初めましての方は初めまして、私は、"考動の龍神" 識竜ウェルディートと申します。 」
「あなたは?」
ウェルディートは隣にいた冷気を纏った水色の竜に聞く。
水色の竜は1呼吸置いた。
ヒューと呼吸をするだけで静かな寒さをログは感じた。
「妾は" 氷操の 龍神"
凍扇竜、シャーレア...氷雪城の 主でもある。」
「何だか、あなたが住んでいる所は寒そうね? 」
ウェルディートは想定していたように言う。
「うむ、その通りだよ、妾の城に来る時は防寒対策をしっかりとな、フフフッ」
シャーレアの隣の漢竜が話す。
「拙者は"神速の龍神
速剣竜オーダ、剣の国を治めている」
オーダは青い鱗で覆われていて和装のような紅葉ともみじの模様がはいった衣を身に着けている。
腰の辺りに刀が一本据えてある。
その眼光は鋭い。
「へー、剣の国って結構変わった服装をするのねぇ.....あっ、私はラメアですぅ、"瞑想郷"で巫女をやってます、私の竜技結構面白いのよー...
波解派部 (ハートハーブ)って言ってね...心を持たせる竜技なんだけど...」
その話を遮ってオーダがラメアに言った。
「ふむ、拙者の国ではこの服装が常だが?
それと、某の"めいそうきょう"はどんな所なのだ?」
「えっ、何、何?あっ、あぁ、いいわ、後で教えるねぇ....あっ、あと私は
"感創の龍神で"心持竜とも言われます。」
...心持竜ラメア、すごく得体の知れない竜だな"心を持たせる竜技"か.....
どんな竜技なのだろう...
ログはラメアの竜技が少し気になっていた。
というか、どうやってその力で封刃一族に対処するのだろうか。
いや、しかし彼女も三重の美芸なのだ、他の力が充分に備わっているに違いない。
ラメアは桜色の鱗で覆われおり白い衣のような見たことのない服装だった。
隣の漢竜の鱗は黒く頭から2本の角が生えているのが印象的だった。
「余はスレイプニル、"竜創の龍神、原染竜である。」




