31話 元の記憶
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「リィラ...彼らは味方だ 」
岩龍ログがそう言った。
「あなた達、無事で良かったわ!」
治療士ロウラがそう言った。
「えぇ...ロウラさんもご無事で何よりです!.....僕達も加勢します! 」
「気をつけろ! 奴は瞬間移動の技がある!」
雷の猟銃と雷の刃を構えた少年と龍が言う。
「分かったわ!」
「さぁ、いくぞリィラ! 」
火龍ラヴァは時炎度を構える。
「6対1か......これではさすがに相手には出来ないね.....
落御迎戯隠・ 輪歩」
途端にリィラ達の視界がモノクロと化す。
「気をつけて下さい!奴は瞬間移動します!」
しかし、すぐに視界の色が戻った。
「あれ、あいつもう力を解いたのかなぁ?」
少年は突然の解除に困惑する。
「どこかに逃げたのか?」
黄色い龍が雷の刃を解除し回りをみる。
リィラは後ろの方で、階段を登る音が聞こえた。
(上に登ったのね、あいつ)
「追いかけよう! 上に!」
リィラは皆にそう言った。
リィラ、ラヴァ、ログ、ロウラ、ジル、ソウの6人は上階へと急ぐ。
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ーーピアがやられた.......フォーコも戦闘は厳しい......シオンと合流しなければ。
「まさか、ここまで追い込まれるとはな 」
ーーん、何だ?誰か倒れている、4人も!?
ウラノスは4Fで倒れている龍3人と少女を見つけた。
ーーシオンはいないようだな.....
--シオン? シオンって誰のことだ?
ーー何処かで見た覚えがあるな.....確か名前は.....
ウラノスは倒れている白い龍を見ていた。
途端に目眩がした。下にしゃがみ込む。
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本当ですか! 本当に村のみんなにも力を与えられるんですか?
-あぁ、余の竜技をもってすれば、そなたの村に力を分け与える事も出来ようぞ
ーして、村の長よ、そなたの竜技を使いあの村を別の空間に作り替えるのだ......余の竜技が体に馴染むのは時を重ねればならないのでな
分かりました! 今夜にお願いしたいのですが......
ー良いぞ
***
「村長、私は反対だわ、力を分け与えるってどう言う事?ちゃんと説明して」
「大丈夫だよ!実際俺も力が湧いて、自分の竜技がさらに伸びたんだよ!それに、皆にも力を分け与えてくださるんだ、この村は発展していくよ。あースレイプニルさんに何とお礼したらいいか」
「私は力なんていらないからね! 」
「ちょっと待って! 何処へ行くんだ!」
***
スレイプニルさん、やりました。僕の 落御迎戯隠で村を時を止めた別空間へと作り替えました。
ー良かろう。
-竜染化.....
スレイプニルは手の平から深緑色の煙を放つ、たちまち煙は透明になって広がっていった。
やった!これからはこの村も良くなる!みんな力をつけて、1人1人が役立ち支え合える村に....
***
どうしてこうなるんだ...
皆が皆、力を、得られる訳じゃないなんて....
村のみんなは力を得た。
問題はそこじゃなかった。
意識のある竜へと変わる物もいれば
暴走し、悉くを破壊し回る獣ような竜へと変貌していくものもいた。
スレイプニルさん!こんなはずじゃ!
ー余が悪いと言うのか?
(えっ?)
ーそうではない、悪いのは余の力を分け与えても進化もせず、適応もせず獣となった物達ではないのか?
でも....何か元に戻す方法はないのですか?
ー余が解除したら治るかもしれないな...だが
村長はこの時しっかりと覚えている。
全身真っ黒の鱗で覆われ、頭から生える2本の強靭で太い角。
その目に刻まれている黒い十字の瞳。
邪悪な笑みから鋭い歯が真っ白に煌めく。悪魔のような竜。
ーすでに余の支配下にある、諸君らは余の"傀儡"よ....
そ、そんな....あんまりです! あなたは弱さに悩む私に力を分け与えてくれた! なのに...なぜこんな!
ー初めから余は『封刃』一族を滅する為に動いておる.......まぁ余としては強力な竜技をもつ『封刃』一族を滅するのはもったいない事だ...余の駒として動くが良い。
輪歩!
村長はスレイプニルの後ろに空間の輪を発現させその中にスレイプニルを押し込もうと迫る。
ダメだ!こいつは!村から遠ざけないと!1人でも多く村の人を守る為に!
村のみんな、ごめん、僕はこういう形でしか、自分の罪を償うことしかできない。
ー闇劇化!
そのときスレイプニルの十字の瞳が紫色の光を纏った。
村長はその目を見た時、自我が失われていくのを感じ取っ
た。
ーこれでそなたも余の闇劇家の一員だ....ウラノスと名付ける。良き舞台に赴かせようぞ。
村長は視界の隅に、スレイプニルの後ろから近づく白い龍が見えた。
........リペ...ア......
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