強い(確信)
じゃらり。音が反射してくぐもっている。
音が反射している事から狭い洞窟の様な所だろう。黒で塗りつぶされた空間。ぴよんぴよん、と水滴が落ちる音。辺りに波紋が広がるような冷たい音。すーっとゆっくり空気が流れる。光は一切ない。
じゃらり。
そいつはいた。私の担当。ようやく目が慣れてきた。光はないはず。なぜ見えるか。それは私が、
「うるせぇな」
……そいつは呟いた。伸びた髪の間から、ぎろり、とこちらに食い殺さんばかりの目を携えて。……こちら?
「聞こえてんだよ」
そんなはずはない、なぜなら、
「それ、記していいのか? 俺に不利になる様な事をあまり記して欲しくねえなあ」
……。
「くっくっく、いい子だ」
屈辱的である。実に遺憾である。説明を求める。
「まあまあ、いいじゃねえか。ずううううううっと、暇だったんだこっちはよ」
じゃらり。両手首を吊るす様に重い鎖が動きを制限する。胡坐をかいている足にも大きな鎖が見える。壁に縛り付けられたその姿を見てもなぜか安心出来ない、あの目がさせてくれない。
「びびんな。俺の担当だろう。そんなんじゃあ食い殺すぞ」
……私は大変なクジを引いたようだ。
そろそろ雰囲気掴めたかい?