フライドポテトを作りました
ライラとのお泊まりで寝落ちをかました私は、不思議なことにあっさりと許してもらえた。
それでもチョコの研究は週一と約束させられたため、その大部分を料理長に委ねて、進めてもらうことになった。
がんばれ料理長。私はチョコが食べたいんだ!
……おっと、間違い。
がんばれ料理長。私はライラにチョコを食べさせたいんだ!
◇◆◇◆◇
「昨夜のお詫びにフライドポテトを作ったよ!」
おやつの時間。
未だに寝落ちの罪悪感があった私は、お詫びと己の食欲を満たす一石二鳥の作戦を決行していた。
チョコに続き、フライドポテトもこの世界には存在している。剣と魔法の世界のクセにシンプルな料理の幅は案外広い。
その反面で、私のイメージ通りに凝った料理や調味料の数は少なく、フライドポテトに付きものであるトマトケチャップなんかは存在していない。作れば大絶賛間違いなしだろう。
しかし今回、トマトケチャップの作成は見送った。
……なぜなら私はフライドポテト塩オンリー派なのだ!
「コギーが食べたかっただけでしょ。もう」
一石二鳥作戦……看破。
もしかして私の好きな細切りポテトだったから?
……だがしかし、今回は二段構えなのだよ!
「まあまあ、そう言わずに。あーん」
甘やかす。
メイド見習いらしく奉仕して甘やかす。
甘えん坊のライラだ。これで堕ちない筈がない。
「もぐもぐ……まったく、私を何だと思ってるのよ……もぐもぐ……」
文句を言いながらもあーんされ続けるライラ。ちょろ可愛いな。
雛に餌をあげる親鳥の気分だよ。思わず顔がニヤついちゃう。慈愛の微笑みってやつかな!