聞いてない
しんどさを説明すると
残業続きの水曜日に飲み会に駆り出され
二日酔いして、満員電車でぐったりと出勤したらエレベーター故障で階段えんえん上がる
ページ
って感じでございます
あまりにツラいとトイレを済ませに起きる事がツラい
一応、水分をちびちびと飲んで瞼を綴じた
『しんど…』
※全身が重いってなんだ
ぐらついた視界が戻ると、騎士の男がごつごつした手で自分を掴んだままだった
『護人契約を完遂致しましょう』
『け、い…ゃく?』
断食し、沐浴し、祷りを捧げたときは一人きりだった
『貴方を唯一人の主とする契約です』
知っている人物がいる
祖母の弟とその騎士だ
大叔父にあたるその人は大陸一の魔道士で、対等に並ぶ騎士は白魔法を使う聖騎士だった
『行きましょう』
華やかな町中を抜けて、外壁を括ると森林地帯だ
『待って、なにも準備してない』
『構いません』
しばらく歩き、茂みに隠していた小さな場所の荷台からマントを引き出し、バサッとかけられた
『これから私と儀式の出来る無人島へ飛びます』
器用に持ち上げられ、荷台の着いた座台に座る彼に抱えられたままだ。
近くで見ていても不思議なものが見えるのだ
彼は青みのある金色が水晶みたいな煌めきを放つ様なオーラなのだ
そうあの聖騎士と同じものだか色味が寂しい
何故だろう
彼は何故、色味が寂しいのか
自分にしか見えない為に相談さえ出来ない
『以前なされた儀式は自然界に対してで、巫女や神官は皆経験致します』