9.突如として現る強敵(月久視点)
三人と一緒にウィンドウに表示した地図を見ながら、色々と拠点とする時に必須になる条件を出し合っていく中、赤い点が俺たちの後ろ側の茂みの方に着陸した
赤い点に首を傾げるリジーちゃんとバラックくんを他所に俺と椎名くんは振り返り、その茂みに目をやる
じいっと見ていると頭が出てきた
赤い眼をした鷹のように見えるが明らかに大きく、明らかに異常性を感じさせる
茂みから余裕を漂わせ、こちらを軽視したような警戒の無さで出てきたその下半身は猫科を彷彿とさせるその姿は正に異形と取れるだろう
俺達が後ろを向いていることに気付いたリジーちゃんとバラックくんも後ろを振り返り、その異形を見て目を見開き、驚愕と恐怖の感情をない交ぜた表情をする
手元に召喚用プログラムを構築していく中、バラックくんが恐怖を滲ませたような震えた声で呟く
「グリ…フォン…」
「チッ、序盤から出るようなやつじゃねーだろ」
「あっ、あぁ…アタシ達ここで死んじゃう、の…?」
腰が抜けたようで地面に座り込むリジーちゃんの目の前に移動し、掌をグリフォンに向ける椎名くん
唾を飲み込む音と一緒に決意を固めたようで、魔法杖とは別の腰のベルトに差さっていた細身の剣を鞘から抜いて、眼前とグリフォンと呼ばれた異形に切っ先を向けるバラックくん
「(グリフォンねぇ…ヤバいやつっすか?)」
≪私達みたいな学生には普通、倒せない≫
「(成程、生還は零に等しいってことっすか)」
≪…うん≫
「(はははっ、こりゃ無いっすわ)」
グリフォンのヤバさをヒツキちゃんから聞いてこれは酷いと改めて思いながら、展開していたプログラムを起動する
流石にそれで何かを勘付いたらしいグリフォンが雄たけびのような鳴き声を上げて、グリフォンの目の前に魔法陣が出来ていく
しかしその魔法陣が完成間際になって突如として、パキンッとキーの高い音を立てて割れていく
「【魔力よ 散開せよ】よし、成功っと」
「武器召喚プログラム起動、選択 死刑執行人シリーズより【死降ろしの弓】――召喚」
「【我が名はバラック 魔力を操りし奏者が命ずる 我に力を与えよ 魔力鎧】」
椎名くんがどうやら魔法陣の完成を阻止した様子を見つつ、ポリゴン状から形を成した水色と白を基調としたゴツい、機械チックな弓を握りしめ、一緒に召喚された弓矢を構える
動作を終わらせて、狙いを定めている俺を他所に魔法で多分だが身体を強化したのだろうバラックくんがグリフォンに向かって走り出す
魔法陣の生成を邪魔した椎名くんに注意を向けていたグリフォンは、バラックくんが走ってくるのにワンテンポ遅れて反応し、一歩二歩飛ぶようにして下がる
そのまま追おうとしたバラックくんは突如として立ち止まったかと思うと、すぐさま後ろへと飛び下がった
ワンテンポ遅れてグリフォンの前足、鷲の足のような見た目をした鋭い爪を生やした前足が先程、バラックくんが居た地面を抉る
バラックくんがあのまま、グリフォンに向かって行ったらその鋭い爪の餌食になっていただろうことを察した
前足が降りたのを見て、すぐにまたグリフォンに向かって突撃をかますバラックくんに拍手を送りたい気持ちを置いておいて弾いていた弦を離す




