1.とある男の最後
宇宙空間を旅するシップがある
そこには他種族が共存し、同じように暮らしていた
数百年前に姿を現した、大きい黒い膿のような存在"ロッザ”の殲滅を請け負いながらに、その他に宇宙に点在する様々な星々の文化や住まう原住民、その星にしか存在しない植物や生物の情報を入手しながら宇宙空間を旅をする
数年に一度、本拠地となる場所に戻り、各々の休暇を満喫した後、また直ぐに宇宙空間を旅する。そんな存在だ
そのシップの所有機関「レノード」に所属し、また他の者達と同じようにシップ内で生活する職員の一人、それが俺こと月久である
――――
そこまで書いて、俺は一体何を書いているんだと寝起きで回りきっていない頭で打った文章を消していく
ぐいーっと指を組んで上に伸ばし、背筋を伸ばす
先程起きたばかりの頭で機関の宣伝文句を考えるという名目、と言う名の指慣らしを終えて、ズレたサングラスを直しつつ空中に浮いたウィンドウに目を向け、書類を打ち始める
俺は月久、何か色んなことしている機関「レノード」の先程書いたよく分からない生命体"ロッザ”との戦闘や星に降りて現地調査を行う情報課の連中の護衛を行ったりする戦闘課に所属している
といっても、今はロッザの襲撃も新たな星も全く見当たらず暇を持て余している俺は知り合いに頼まれて情報課の助っ人というかサポートというか…まぁ、ようは臨時職員みたいなことをしている
暇を持て余した戦闘課はだいだいは、シップ内の巡回及び警備を行っている警備課の方に行くのだが、炙れる奴も居るわけで、情報整理できるやつは情報課の臨時職員に回されたり手先が器用で機械について知識があるやつは開発課に行ったりする
まぁ、俺みたいに手伝いを頼まれたからそっちの課に行くやつもいたりするのだが、俺の種族は優先的に警備課に回されやすい
何故かって?大半が脳筋だからだ
俺の種族はパドゥーマ族と呼ばれており、ある星では鬼と呼ばれるような種族だ
だからと言って、いつも角が生えてる訳じゃない。条件を満たせば出せはするのだが…
と、誰に話している訳でもなく、そんなことを考えている俺の頭は見事なまでに寝る前に読んだ小説に感化されてるようにしか思えない
その小説とは、とある星で入手した異世界転生と呼ばれる類の小説の出たしのように、自分の現状を脳内で語っていたら情報整理という名の同じことを繰り返すやりごたえのない仕事の時間が終わった
仕事を終えた後は、特にやることもなくちょっとしたことを済まして就寝
しかし、その日はいつもとは違かった
深夜、爆発音の後すぐに爆発音がシップ内に鳴り響いた
素早く就寝時に着ていた服を着替えて、その他必要となる物を装備後に部屋を出る
通路は、いつもなら仄かに明かりがついた状態である筈なのに、通路の先が見えない程に真っ暗で何が起こったのかも理解できずにいた
何が起こったのか調べようと動いた瞬間、何かが横を通り過ぎる音と共に俺の意識は暗転した